2024年5月12日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

延命装置を設置したマンションで、配管の漏水やあふれによるトラブル対応の契約をしているところが多数あります。
そういったマンションでは、高圧洗浄をほぼ実施していないところも多いですが、詰まりによるあふれや水はけのトラブルがほとんど起きていない状況です。
割合的には7年間のデータで1%未満となっています。今回のシミュレーションの①②の洗浄の頻度については、捨て方のマナーの悪さといった他の要因も考慮して予備費を確保する意味合いも含めて設定しました。
また、トラブル対応の契約をしているマンションのほとんどでは、配管の漏水によるトラブル対応の発生確率は、7年のデータで1%以下です。特に延命装置で漏水発生確率を抑制することが期待できる配管内の内部腐食による漏水は0.01%となっています。
詳細は、さきほどの「エルセ設置マンション 漏水発生率と費用削減効果」の動画をご参考にしてみてください。
共用部の給排水管からの漏水だけに限定すると、事故の発生の確率はさらに低いです。
とはいえ、築70年までとなると長期間にわたるので、外部腐食や捨て方のマナーの悪さといった他の要因も考慮して、予備費の確保の意味合いも含めて、シミュレーションの表の③~⑤の割合を設定しました。
各マンションで、部分更新がどの程度必要となるかについては、排水管の材質や捨て方のマナー等で変わってきます。
また、施工不良の度合いや、地盤沈下・地震等に備える予備費の額によって、配管保全に充てられる修繕積立金の金額も変わってくることと思います。
このように洗浄方法を工夫し、延命装置を活用することで、かなり保全費用を抑えることが期待できるということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
当然、余裕があれば全ての排水管を更新するのが理想ですが、多くのマンションでは修繕積立金不足で悩んでいます。
新しい区分所有者に入ってきてもらうためには、給排水設備だけでなく、外観やバリアフリー化など他にも実施しなくてはいけない改修工事がかなり多くあります。
配管保全費用は必要最低限に抑えて、他のするべき工事に回すといった総合的な判断をしていくことが肝要と考えます。
なお、漏水が起きた際には、階下への損害賠償費用が必要となるケースが多いです。
管理組合の施設賠償保険や個人賠償の包括特約は、漏水が多発することで保険が下りなかったり、契約更新拒否される可能性があります。
マンションにお住いの区分所有者の方々は各自で個人賠償保険に、外部オーナーの方は施設賠償保険に、また各区分所有者が加入している火災保険に水濡れ補償がついているかを確認しておくことをお勧めします。
保険の件については、こちらの投稿記事もご覧になってみてください。
「漏水事故に自分の火災保険は使えるの?」
今回のシミュレーションでは、排水管の立管を全て取り替えると8千万円としています。
漏水時の賠償を保険を使って支払えれば8千万円よりも、かなり排水管の保全費用を削減できる可能性が高いと言えます。
ただ、免責や求償といったリスクがあることもたしかです。
保険料や賠償費用が高くなるから全更新すべきかどうかは、その時点であと何年住み続けるのかといったことの総合的なバランスで判断していく必要があり、このあたりは、別の動画でお話させていただきます。
マンション価値を維持するために、安心して住み続けるために、配管の保全は避けて通れない問題です。
納得しないまま大切な修繕積立金を投じることのないように、配管保全センターでは、ご要望に応じて勉強会を行っています。ご興味のある方は、配管保全センターまでお問合せください。
