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エルセ設置マンション 漏水発生率と費用削減効果

2023年10月6日
この記事のカテゴリー : 延命工法

勉強部屋では、流動式セラミックス方式の給排水管の延命装置について何度か取り上げてきました。

流動式セラミックス方式の保全装置は、給水管だけではなく排水管にも保全効果を発揮するというのが大きな特長です。

今回は、流動式セラミックス方式の中でも、マンションでの給排水管の検証データが多数ある「エルセ」という延命装置についてお話します。

「エルセ」は設置後30年以上経過したマンションも多数あり、マンションの他にも、病院の医療機器や飲食店のスチームオーブン機内の熱交換器の保全、学校・公共施設などの配管保全に、また、新幹線の男子トイレの尿石除去でも30年近く継続的に活用されるなど、配管保全装置の業務用分野で高く評価されている製品といえます。

エルセを設置したマンションの中には、設置契約の際に、漏水事故対応の契約も締結しているマンションがあります。

配管保全センターでは、それらのマンションで、どのような漏水事故が起きたのか、問い合わせの内容をすべて把握しています。

そこで、過去7年間で起きた漏水事故のデータを集計してみましたので、その内容をお話ししたいと思います。

また、集計データをもとに、エルセを設置することで配管取替えや洗浄などにかかる配管保全費用を全体的に削減できる期待効果についてもお話しますので、ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

エルセを設置したマンションでの漏水事故の発生率

それでは、まず、エルセを設置したマンションでの漏水事故の発生率についてお話します。

下の表は、エルセを設置したマンションで、漏水事故対応の契約も締結しているマンションでの過去7年間での事故の発生率です。

発生した事故件数を契約しているマンションの全世帯数で割った値を発生率としています。

今回は諸事情により、全世帯数の具体的な数字をお伝えすることはできませんが、発生率としては、表に示したように、どちらも0.01%と低い数値となっています。

ひとつは、共用部・専有部の給水管で、給水管の配管内の錆びによる漏水の発生率です。

もうひとつは、共用部・専有部の排水管で、排水管の配管内の錆びによる漏水と、排水の詰まりによる溢れの事故の発生率です。エルセを設置することで、発生率の低下が期待できます。

対象となったのは、築40年前後のマンションが多く国土交通省の長期修繕計画のガイドラインの取替え時期を大幅に越したものも多く、最も古いところでは築53年です。

また、これらのマンションでは、エルセを設置したことで、更生工事や更新工事をほとんど行っていないというのも特徴といえます。

給水管での漏水事故発生状況 補足

給水管の漏水事故の発生状況について、補足しておきます。

契約締結したマンションの中には、エルセ設置前に、年に数件、給水管からの漏水事故が発生していたマンションも含まれていますので、大幅な改善といえます。

ただし、築年数は増す一方ですので、これからは漏水の発生確率が高くなる可能性も考えられますが、現時点での漏水抑制効果はかなり発揮されているのではないかと考えられます。

排水管の漏水事故発生状況 補足

次に、排水管の漏水事故の発生状況についても補足しておきます。

この数値には、排水管の配管内の錆びによる漏水だけではなく、排水管の立管や屋外の排水桝や排水管が詰まり、専有部に逆流して水があふれ出したという漏水事故も含まれています。

具体的には、地盤沈下により屋外の排水管が逆勾配になり、排水管が詰まって水が逆流してあふれてくるといった漏水があります。

また、各世帯でキッチンなどの排水溝に食物カスや油など、なんでも捨ててしまうために排水管が詰まって漏水するという、マナー違反による漏水も考えられます。

さらに、排水管の立管や横主管、屋外の排水桝は何十年もの間、高圧洗浄をしていないことも散見されます。

このように、排水管に関しては、エルセを設置しても直接関係しない、外的な要因による漏水が起きる可能性があります。

築年数は増す一方ですので、今までよりも詰まりによる水あふれや漏水が発生する確率は高まる可能性がありますが、現時点での発生率は0.01%ということでかなり低い数値と言えます。

給湯管などの漏水事故発生状況

マンションの漏水でもっとも多いのは給湯管からの漏水です。

特に気泡を多く含んだ熱湯が曲がり角になるエルボー部分にあたって、給湯管内が削ずられることで穴が開いて漏水する潰食(かいしょく)については、物理的な現象となりますので、エルセの効果は見込めません。

国内のマンションの漏水の90%以上は給湯管からとも言われますが、今回の過去7年間での集計データでは、90%ではなく約50%程度が給湯管からの漏水でした。

残りの50%近くは、エルセでは防ぎようのない、外部から配管が錆びてきたことによる漏水や、異種金属同士の接触によってできた錆びによる漏水、それから故意的ミスが原因となる漏水が多かったと言えます。

逆に言うと、エルセの効果により、配管内の錆びによる漏水や排水管の詰まりによる漏水事故がかなり抑えられたということができるかと思います。

期待できる配管保全費用の削減効果

ここまでで、エルセが給水管や排水管の内部腐食、排水管の詰まりに対して、漏水の発生率をかなり低く抑えることができたという実績データをご説明しました。

次に、こうした実績を考慮して、エルセを設置した場合に、どのような配管保全を行い、その結果、どのくらい配管保全費用の削減が期待できるかについてお話します。

100年マンションを目指すような場合は、どうにか工面して、共用部、専有部の配管は全て取替えるべきと考えますが、ほとんどのマンションでは、100年マンションといったビジョンをお持ちではなく、現時点では築70年程度まで持たせられればいいといった考えでいらっしゃることが多いと思います。

実際に、修繕積立金を使って専有部まで取替えられるほど、積立金に余裕があるマンションは少ないのではないでしょうか。

配管保全チャンネルでは、いつもお話していますが、理想は全ての配管を取替えることです。

ただ、現実的には修繕積立金は限られているため、専有部も含めて漏水しやすい配管から取り替えていくなど、優先順位をつけて保全していくことが望ましいといえます。

専有部の給水・給湯管について

この考えに基づくと、専有部の給湯管は漏水リスクが高いので、取替えの必要性がもっとも高い配管だと言えます。

そこで、給湯管を取替える際のことですが、給湯管だけ取替えるのと、併せて専有部の給水管も取替えるのとでは、内装復旧費用を含めて世帯あたり10万円程度しか変わりません。

ですから、専有部の給水・給湯管は一度に両方取替えるのが望ましいといえます。

給湯管の更生工事をした場合の費用などについては、以前の「超重要!! 給湯管 取替vs更生 どちらが得?」という投稿記事をご覧ください。

また、全世帯を一斉に取替える費用が貯まっていない場合は、何年間かかけて取替えていくことになりますが、エルセを設置することで、取替えるまでのあいだの専有部の給水管からの漏水リスクを下げることも期待できます。

専有部の排水管について

専有部の排水管が塩ビ管の場合は、錆によるリスクはありませんので、主に詰まりによるリスクを考慮すべきといえます。

この場合、エルセを設置することで、排水の詰まりのリスクを下げることが期待できますので、排水管を取替えずに済み、その分の取替え費用の削減が期待できます。

専有部の排水管が塩ビ管ではなく、錆びやすい配管の場合は、無理をしてでも取替える必要があると考えます。

取替えは高額になるため、取替え資金を貯めるのも時間がかかりますが、エルセを設置することで、取替えるまでの間の内部腐食による漏水や詰まりのリスクを下げることが期待できます。

共用部の配管について

共用部の給水管、排水管の立管については、エルセ設置により漏水や詰まりのリスクを下げることが期待できます。

全世帯分の給水管、排水管の立管を一斉更新するのではなく、漏水の都度、その箇所を部分補修するという考えを取り入れると、配管保全費用の大幅な削減効果をかなり期待できると言えるでしょう。

こうやって共用部の配管の保全費用を大幅に抑制することで、抑制できた金額を今まで積み立ててこなかった専有部の取替え費用に流用することで、管理組合が主導して専有部の配管を取替えるということに対して、住民から賛同を得やすくなるというメリットもあります。

給水管の洗浄作業について

給水管の赤水やヌメリ除去の対策として、炭酸ガス洗浄などの洗浄工法がよく用いられています。

このような洗浄工法により、給水管は一時的には綺麗になりますが、洗浄しない間の錆びの進行やヌメリの付着を防ぐことはできません。

そのため洗浄工法を採用した場合は、定期的に洗浄作業を繰り返す必要があり、その分費用も嵩みます。

よく勘違いされている方が多いのですが、洗浄作業では、錆の表面の浮き錆に対する洗浄効果は期待できますが、錆の進行自体を抑える効果はありません。

従って、洗浄さえしていれば、給水管は取替えなくていいということにはならないので、お気を付けください。

エルセを設置した場合、錆の進行やヌメリの付着を防ぐことが期待でき、洗浄の間隔を伸ばすことができますので、結果的に洗浄コストを抑えることが期待できます。

それぞれのマンションの状況によりますので、必ずしも今回ご提示した発生確率に抑えられるとは限りません。

ただ、統計データをもとにすると、高い確率で漏水リスクを抑えることが期待でき、配管保全費用もかなり抑えることが期待できることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
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