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排水管の立管 洗浄前後の比較動画 旋回ジェットムース洗浄&高圧洗浄

2022年11月25日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

分譲マンションでは、定期的に専有部内の雑排水管と共用部の屋外の排水管の高圧洗浄を実施されていると思います。

共用部の排水管の立管まで定期的に高圧洗浄しているところは、それほど多くないと思いますが、立管の場合、上の階の廃棄物も全て下の階に集まってくるため、どうしても下の階の立管の汚れがひどくなりがちです。

ひどい場合は、立管が汚れで詰まってしまい、特に下の階では、水はけが悪くなったり、最悪のケースでは排水が逆流してきたりします。

今回の投稿記事では、排水管の立管に対して洗浄作業を行う前と、洗浄を行った後の配管内の様子を内視鏡で撮影しましたので、それを比較しながら解説したいと思います。

どれくらい洗浄によって、立管が綺麗になったのかが、とてもわかりやすく確認いただけますので、是非最後までご覧ください。

動画

 

今回用いた工法の紹介

以前、別の投稿記事で、主に専有部の排水管を洗浄する際に、排水管の破損のリスクが少ない低圧ムース洗浄をご紹介いたしました。

今回は、低圧ムース洗浄とは別に環境アコロ社が特許を取得している工法である旋回ジェットムース洗浄という工法を用いて、排水管の立管に対する洗浄を行った事例をご紹介します。

旋回ジェットムース洗浄では、配管内に固着している汚物に合わせて調合した薬剤をムース状にして洗浄していきます。

その際、高圧洗浄も併用したほうがより効果を発揮できるのですが、立管は専有部の排水管よりも肉厚が厚く高圧洗浄による配管の破損リスクも少ないので、今回は旋回ジェットムース洗浄と高圧洗浄の合わせ技で実施しました。

実際に旋回ジェットムース洗浄とはどのようなものか、環境アコロ社のホームページに掲載されている動画がわかりやすいと思いますので、まず、こちらの動画をご覧ください。

洗浄前後の比較動画

それでは、旋回ジェットムース洗浄と高圧洗浄を実施する前後の比較動画をご覧ください。

マンションは、先ほどの動画とは別のマンションです。

立管内は、更生工事、いわゆるライニング工事をした排水管です。

左側が洗浄前で、右側が洗浄後です。

右側の動画は、左側の洗浄前の動画に合わせて、見やすいように画面を回転させています。

どちらも内視鏡の挿入口から15m程度下の部分から動画を始めています。

左側が15.1m、右側が15.3mと記載されていて、20センチほどずれていますが、コードのたるみ具合等でこれくらいの誤差は出て来ますので、気にしないでください。

少し下に専有部からの横引きの排水管が見えます。

洗浄前の左側の横引き管は、汚物が配管内に付着して地肌がほぼ見えない状態です。

一方、洗浄後の右側では、それらの汚物が綺麗にとれて、地肌が見えています。

5秒あたり:このあたりは、地肌が見えることで、更生工事で塗布した樹脂がボコボコと膨らんでいるのがよくわかります。

  • 更生工事とは、配管内の錆びを研磨してこそぎ落としたあとで、配管内に樹脂を塗布する工事ですが、錆びを削り落としきれなかったり、塗布した樹脂が年月とともに劣化して亀裂が生じたりすると、そこに排水が浸透し続けることで樹脂と配管の間でまた錆びコブが生成されていきます。

    その錆びコブが大きくなって、樹脂がボコボコと膨らんでくることが多いというわけです。

  •  

    ご参考までに、別のマンションになりますが、給水管内部を写した画像をご覧ください。

    塗布した樹脂の下で錆びコブが大きくなって樹脂がボコボコと膨らんでいます。排水管内にこういった大きなコブが出来てくると、立管でも詰まりやすくなりますし、また、これだけ大きな錆びコブがあるということは、配管の肉厚も錆による腐食で薄くなっており、漏水のリスクも高まってきます。

さきほどの比較動画に戻りますが、洗浄後の右側の配管では、ところどころ斑点が見えますが、これは錆びコブが樹脂を突き破ってしまった箇所です。

右側のほうは、洗浄でキレイになったのがわかりますね。

28秒あたり:ここは18mあたりと表示されており、最初から3mほど下がった箇所です。専有部からの排水管の接続部がまた、見えますね。

マンションは1階層あたりだいたい3mほどの高さになりますが、この動画でもほぼ3mおきに、下の階の専有部の排水管の接続部が見えてきます。

なお、先ほどは接続部が左下のほうにありましたが、次のものは右側に見えます。これは内視鏡のカメラが固定されておらず、くるくる回りながら下に降りて行っているので、専有部との接続部も必ずしも同じ箇所に見えるとは限らないからです。

右側の洗浄後の動画では赤い線が見えますが、これは先ほどのように錆びコブが突き抜けて赤錆が樹脂に浸み込んで赤くなっているものと思われます。

それでは、また先に進んでいきましょう。

35秒あたり:この部分では、赤錆が浸み込んで下に落ち込んでいる箇所がたくさんあるのがわかりますね。

45秒あたり:このあたりも錆こぶが突き抜けてできた赤い斑点がたくさん見えます。

64秒あたり:また3mほど下で専有部との接続部が見えてきました。

69秒あたり:先ほどのところから30センチほど下がったところですが、別の横引き管との接続部が見えてきました。

79秒あたり:このあたりでは、錆コブが突き抜けている箇所は左側の洗浄前は赤色、右側の洗浄後では赤色ではなく黒色に見えます。ムース洗浄と高圧洗浄により、表面上にあった柔らかめの赤錆が洗い流されて、赤錆の下に生成されていた黒錆と思われるものが露出して黒く見えています。

いかがでしたでしょうか。今回の旋回ジェットムース洗浄と高圧洗浄の合わせ技で、汚物自体はかなり綺麗に洗浄されたということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

綺麗になったがゆえに、配管自体は錆でかなり劣化が進んでいるということもわかりました。

立管の高圧洗浄は、毎年あるいは2年に1度といった頻度で実施する必要はないとは思いますが、下の階の水はけが悪くなってきたら、5年~10年の頻度で実施することをお勧めします。

洗浄前に内視鏡を挿入して、事前に状態を確認し、それほど状態が悪くなければ、洗浄は翌年度以降に先延ばしをすることも可能です。

また、洗浄後にも内視鏡を挿入して動画を撮れば、実際の洗浄の効果を確認できます。状態によっては、そろそろ立管を取替えたほうがいいという判断材料にもなると思います。

より排水管を長持ちさせるための方法として、今回の洗浄と合わせて、排水管の保全が期待できる流動式セラミックス方式の延命工法を活用することもお勧めします。

今回の旋回ジェットムース洗浄と高圧洗浄に関する問い合わせは、これに関する特許技術を保有し、施工も行っている環境アコロ社に直接問い合わせしてみてください。概要欄に問い合わせ先のリンクを貼っておきます。また、旋回ジェットムース洗浄を含めた配管保全全般に関するご相談は配管保全センターまでご連絡ください。
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