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排水管が塩ビ管の場合 築80年までの保全費用をいかに削減するか

2023年2月10日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

排水管の材質が、錆びる材質の場合、築80年まで住み続けるとしたら、どこかのタイミングでそれらの排水管を全て取替えることになる可能性は高いでしょう。

実際、長期修繕計画上でも、全て取替えるように予算組みをしているマンションがほとんどだと言えます。

一方で、排水管が塩ビ管なら錆びによる劣化を想定しなくてよいのですが、築80年までという長い期間では、やはり取り換えが必要になるでしょう。地震や地盤沈下といった予期せぬ事態や、汚物の捨て方によっては、排水管の詰まりの問題が生じるため、排水管も取替える可能性を考慮した予算組みをしておくほうが、安心ではあります。

ただ、排水管を全て取替えるのではなく、問題が起きた箇所だけ部分的に取替えることで費用をかなり抑えることができます。今回の投稿記事では、排水管が塩ビ管の場合、部分的に取替えることによって、築80年までの保全費用を節約する方法についてお話しますので、ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

塩ビ管の排水管を取替える必要が生じる原因例

それでは、まず、築80年までに塩ビ管の排水管を取替えなくてはいけなくなる原因について、考えてみましょう。

① 油による詰まり

1つ目は、キッチンで知らず知らずに捨ててしまう即席麺の汁といった油による詰まりです。油が固くなる前に、高圧洗浄で除去できればいいのですが、油の量や高圧洗浄の頻度によっては、油が固くなって配管を閉塞させてしまい、高圧洗浄でも除去できなくなる場合があります。

キッチンのすぐ近くに排水管の立管があればいいのですが、マンションによっては立管までの距離が長いルートで、細い横引き管が配管されている場合があります。その場合、配管に曲がり角(いわゆるエルボー)が多くなるので、そういった住居では特に要注意となります。

② 高圧洗浄時の排水管エルボー部分の破損

2つ目は、高圧洗浄を実施する際に、高圧洗浄のコードが排水管のエルボー部分を、毎回擦り続けることによる塩ビ管の破損です。

排水管の立管まで、エルボー部分がいくつもあると、その分、それぞれのエルボー部分に負荷がかかります。

破損を恐れて、高圧洗浄の頻度を下げると、今度は汚物が固着して排水管が詰まってしまうことになるので、このあたりのコントロールが難しいですね。

③ 横引き管と立管との接続部が鋳物の場合にできる錆び

3つ目は横引き管と立管の接続部が鋳物の場合にできる錆びです。

図面上は塩ビ管としか記載されていないのに、実際には、専有部の横引き管と立管との接続部が金属製の鋳物になっている場合を見かけます。この場合、錆びによる漏水や錆びコブによる詰まりが発生しやすく、接続部を取替えなくてはいけない可能性が出て来ます。

④ 地震・地盤沈下

4つ目は地震・地盤沈下です。

塩ビ管の場合は、地震によって破損してしまうことがよくあります。また、屋外の排水管は、地盤沈下によって破損したり、逆勾配になったりすることがよくあります。

⑤ 配管の経年劣化

最後は配管の経年劣化です。

専有部の排水管と立管はほとんどの場合、床下や天井裏に隠れているので、紫外線による劣化の心配はほぼありませんが、例えば1階が駐車場で、塩ビ管の排水管が露出している場合は、80年間という長い年月の間に、材質によっては紫外線による劣化で表面がボロボロになったり、また、たわんできて逆勾配になる可能性があります。

全て取替える場合と部分的に取替える場合の費用差

それでは、塩ビ管の排水管を全て取替える場合と、問題が発生した箇所だけ部分的に取替える場合の費用差について、考えてみます。

ご参考までに取替え費用は、専有部の排水管がコンクリートに埋まってしまっているのか、自分の階の床下に排水管があるのか、下の階の天井裏にあるのか、また、排水管の立管が何本あるのかといった条件の違いで、かなり変わりますが、非常にざっくりとした概算を示すと、
専有部の排水管を全て取替えるのに、世帯あたり40万~120万円程度
立管を全て取替えるのに、世帯あたり30万~100万円程度
必要となります。

仮に、専有部の排水管と立管を取替えるのに世帯あたり合計80万円必要だとすると、全て取替える場合は、100世帯であれば8千万円といった金額になりますね。

問題が発生した箇所だけ部分的に取替える場合は、例えば、問題が発生する確率が10%だとすれば、

8千万円×10%=800万円しかかからず、全て取り替えた場合と比較して7200万円の費用を削減できます。

仮に問題が発生する確率が50%であったとしても、

8千万円×50%=4000万円で4000万円の費用を削減でき、バリアフリー化や他の重要な大規模修繕費用に回すことが可能となります。

ということで、問題が発生する確率をいかに下げるかで、住民が支払う負担金額が大幅に変わるということがおわかりいただけたかと思います。

なお、専有部の排水管について、管理組合が修繕積立金で負担して取替えるのか、そうではなく各区分所有者それぞれの負担で取替えるのか、負担の仕方に違いがあるとしても、元をたどれば各住民が支払った金額なので、ここでは、住民の負担総額として算出しています。 

問題の発生確率を低く抑えることが期待できる対策

それでは、どうしたら問題が発生する確率を低く抑えることができるかですが、期待できる対策についてお話します。

① ムース洗浄

1つ目は、配管保全チャンネルでこれまで2回、ご紹介してきたムース洗浄です。

専有部は低圧ムース洗浄を行うことで、塩ビ管の破損リスクを下げることが期待できます。

さらに、立管は旋回ジェットムース洗浄と高圧洗浄の合わせ技によって、詰まりを解消していきます。

低圧ムース洗浄の費用は、普段利用されている高圧洗浄の費用と同じくらいか若干高め程度です。

また、共有部の立管の洗浄は世帯あたり数万円となりますが、立管を取替えた場合の費用と比較するとかなり安い金額といえます。

この2つについては、それぞれ以下の投稿記事も参考にしてください。

高圧洗浄を断られる老朽化した排水管に低圧ムース洗浄!

排水管の立管 洗浄前後の比較動画 旋回ジェットムース洗浄&高圧洗浄

② 流動式セラミックス方式

  2つ目は、流動式セラミックス方式の延命装置の設置です。

受水槽の手前か直結増圧ポンプの後ろに、流動式セラミックス方式の延命装置を1台設置するだけで、排水管が詰まりにくくなる効果が期待できます。

排水管が詰まりにくくなることで、高圧洗浄の頻度を下げて塩ビ管の破損事故を減らす効果と、高圧洗浄費用の削減効果も期待できます。

築20年から築80年までの60年間で仮に1世帯4千円で、高圧洗浄を毎年実施したとすると、60回×4千円=24万円になります。

これを流動式セラミックス方式の延命装置設置後に、組合の判断で2年に1度の実施とした場合、、世帯あたり12万円の費用削減が期待できますね。

また、専有部の排水管と立管の接続部が錆びる材質の鋳物だとしても、錆びができにくくなり、錆びによる漏水リスクを下げる効果も期待できます。

延命装置の費用は、世帯あたり4万~10万円程度です。このコストで、排水管の各種問題の発生確率を大きく下げ、高圧洗浄費用の削減も図ることが出来れば、大きな費用対効果を期待できるといえるのではないでしょうか。

流動式セラミックス方式の延命装置については、これらの投稿記事を参考にしてください。

築30年マンション 築60年までの配管修繕費用を6~8割削減する方法

流動式セラミックス延命工法 『エミール』驚きの効果と実績

排水管の詰まり対策 コスト5分の1以下に抑える工法とは? 大がかりな工事なし 工期もほぼ1日でOK

築40年のマンション エルセ設置後、20年経過の配管を内視鏡調査

③ 捨て方に注意

3つ目は、単純ですが実行は意外と難しいキッチンでの油の捨て方の対策です。

こちらも投稿記事がありますので、参考にしてください。

台所排水管詰まり 意外な原因とは?

いかがでしたでしょうか、参考になりましたでしょうか。

問題の発生確率を低く抑えることが期待できる対策の①~③を合わせ技で実施していけば、塩ビ管の排水管の築80年までの保全費用をかなり下げることができるということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
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