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排水管立管の取替え工事 コンクリートをはつる騒音は何dB(デシベル)?

2022年5月31日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

築40年あたりのマンションでは、専有部内の排水管の立管を取替えたいんだけど、なかなか住民間での合意が得られずに困っているという管理組合さんも多いのではないでしょうか。

合意が得られない理由としては、予算の問題であったり、水が使えなくなることや、専有部内に工事業者が入ってくることを嫌がったりと、様々ですが、工事実施中の騒音問題も、合意を得るにあたっての大きな課題となります。

マンションの専有部内の排水管の立管を取替えるには、イラスト①にあるようにスラブをはつる必要があります。

スラブというのは、各階の床下にあるコンクリートの躯体で、立管はこのスラブを貫通しているため、どうしても電動ピックや電動ブレーカーと呼ばれる工具で、立管のまわりのコンクリートをはつる必要があり、その際に、想像以上の大きな音が発生します。

イラスト①

騒音がどれくらいの大きさなのかわからないので、とにかく不安ということで、そんな工事をしたくないと反対される住民の方もいらっしゃいます。

逆に、
・騒音のレベルがどの程度なのか
・最大音量の状態は何時間くらい続くのか
・大音量の間の避難等の対処方法
が予め住民間でシェアできれば、工事実施の合意を得やすくなると言えます。また、工事中のクレームも少なくできるのではないでしょうか。

今回の投稿記事では、具体的に他の生活音と比較してどのくらいの大きさになるのかや騒音対策についてお話しますので、是非、最後までご覧ください。

動画

 

はつり作業実施時の最大音量の目安

まず、マンションのスラブを電動ブレーカーではつる際の音量ですが、デシベルで表すと、だいたい95dB前後になります。

表①

ただ、95dBと言われても、それがどれくらいうるさいのか、ピンと来ないですよね。

表①に日常生活で聞こえる音がどれくらいのデシベル数なのかを示しました。

100dBあたりの例としては、電車が通る時のガード下や、ライブハウス内となっています。この環境下では、大声での会話も成り立ちにくですし、騒音レベルとしては聴覚機能に異常をきたすレベルとされております。

90dBあたりの例としては、カラオケやパチンコ店内、ゲームセンター店内で騒音レベルとしては極めてうるさいレベルとなっています。

スラブをはつる音が、およそ95dBとすると、電車が通る時のガード下よりも音量は少ないが、パチンコ店内よりうるさいといった感じで、いずれにしろ、通常の生活を行うには無理のあるレベルと言えますね。

イラスト②は、UR都市機構さんのホームページから抜粋させていただいたもので、はつり作業を実施した場合、現場からの距離により、どの程度の騒音になるかの測定結果が示されています。

イラスト②

この測定では、4階建てで各世帯は階段で隔たれており、第3階段室の2階と3階の間ではつり作業を行ってます。作業現場は、赤色で94.2dBと示していますが、作業現場から一番近い205号室の和室内では85.9dB、305号室の和室内で81.6dBという結果になっています。80dBレベルあたりだと、さきほどの騒音の目安の表では、地下鉄車内、救急車のサイレン、セミの鳴き声レベルの大きさですね。

オレンジ色で示した105号室、204号室、304号室、405号室は70dBレベル台で、高速走行中の車内、掃除機、電話のベルといった大きさで、このあたりだと、まだ耐えられる大きさといったところでしょうか。

ピンク色で示した104号室と404号室は60dB台で、時速40キロ走行中の車内、普通の会話程度、博物館の館内といった多少うるさい環境になります。

水色で示した401号室を除く黄色で示した01号室系統、02号室系統、03号室系統は50dB台で、家庭用エアコンの室外機、静かな事務所の中と同等ということで、ここらあたりになると工事の影響はほぼないと言えるかと。

水色で示した401号室は50dB以下で、閑静な住宅地の昼間、図書館内といったレベルでほぼ影響ないですね。

ただし、マンションの広さや壁や床、天井の構造や材質は、それぞれのマンションで異なるので、必ずしも今回の例と同じような結果になるとは言えません。

また、ハツリの音の大きさが小さいとしても、不快な音ではありますし、かなりの振動も伴いますので、工事中は、マンションのどの場所であっても、かなりの不快な音の騒音と振動があると覚悟しておいていただいたほうがクレームは少ないです。

工事期間中の対策例

はつり作業を行う際、かなりの騒音になることは間違いないので、住民から工事実施の合意を得るには、それなりの対策が必要となってきます。

イラスト③

まずは、①ですが、連日、大きな騒音の中で生活するのはかなりストレスもたまるので、週1日1系統ペースだったり、3日に1系統ペースだったりと余裕を持った工事日程を組むと、住民の賛同を得やすくなると考えます。

 

②は工事を行う際に、9時~17時まで終日、はつり作業が続くときついので、1日のうち3~4時間で作業を終わらせるように制限できれば、かなり楽になります。

これを実現するためには、テキパキと迅速に作業を進める必要がありますので、業者選定時に、予め工事業者に1日のうちに大きな音が発生する作業は何時間くらいかを確認しておくことは重要ですね。

 

③は、騒音が激しい時間帯は、貴重品を部屋に置かず、鍵を工事業者に預けて外出するといった対策が有効と考えます。

 

④は、集会室等が解放されていれば、外出せずとも、うるさい時間帯はそこで時間をつぶせることになります。

 

⑤の騒音に関する事前の周知徹底もとても大切です。家屋が密接している地域の場合は、近隣のマンション等にも周知しておけば、工事中のクレームを抑えることができます。夜勤勤務で、日中、睡眠をとる世帯の方には、特に、事前に説明してご理解・ご協力を得ておくことが必要です。

 

配管保全センターでは、作業を迅速に行い、騒音が発生する時間帯をなるべく短縮するといった対応が可能な工事業者と提携しております。

ご興味のある方は、こちらの配管保全センターのホームページのメールかお電話にてお気軽にご連絡ください。

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