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要注意!! 排水管の洗浄残し! 高圧洗浄 実施の留意点

2023年6月30日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

分譲マンションでは、定期的に排水管の高圧洗浄を実施されていると思います。

高圧洗浄は決められた回数やっていれば大丈夫だろうと、すべて業者任せにしていないでしょうか? 

高圧洗浄を依頼する場合、洗浄後1年間は、洗浄を行った箇所の詰まりで水があふれて漏水した場合、保証がついていることが多いといえます。

それで、「高圧洗浄は保証がついているから安心だ、特に注意することもない」と思っていないでしょうか?

実は、高圧洗浄では「毎回きちんと洗浄作業が行われているかどうか?」、しっかりチェックすることが大切です。

というのは、適切な高圧洗浄を実施していないと、築30年あたりを過ぎてくると、長年、排水管内に堆積し続けてきた食べ残しや油等が配管に付着したまま固くこびりつき、排水管の口径が徐々に閉塞していきます。

そうなると排水管内の詰まりによる水あふれの事故が増え始めるのです。

そのため、築30年あたりを過ぎてからは、高圧洗浄業者から作業を実施することを断られるようになります。

のちのち、業者から断られてなすすべがなくなる前に、どのような洗浄作業をするのか、事前に業者に確認して、実際の作業時にも、居住者が洗浄作業になるべく立ち会うのが理想といえます。

すごく大変なことのように思えますが、何十年も使い続ける排水管を保全していくためには、とても重要なことです。

今回の投稿記事では、特に専有部の排水管の高圧洗浄を実施するにあたって、管理組合が留意したほうがいい点についてお話しますので、ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

洗浄箇所までノズルが入っているか、排水管から立管までの距離をチェック 

まず、一つ目の留意点として、専有部のキッチン、浴室、洗面所、洗濯機の排水口から立管までの距離を把握することがあげられます。

下のイラストのように、排水管の立管は部屋の中に1本だけの場合や、トイレも入れると3本ある場合もあります。

キッチンのすぐ横に立管があればいいのですが、キッチンから立管までの距離がかなり長い場合もあります。

高圧洗浄の作業中、あるいは作業後でも、専有部の排水管がきちんと洗浄できているかどうかをチェックするのは難しいといえます。

そこで、それぞれの部屋の排水口から立管までの距離を居住者が把握しておくことが重要になります。

洗浄作業を見ていれば、少なくとも洗浄ノズルの先端が立管までたどり着いてるか、おおよそチェックできるでしょう。

洗浄コードを入れた排水口から立管までは5m以上あるのに、作業を見ていると、コードが5mも挿入されているとは思えないとなれば、コードは立管まで届いていないといえ、きちんと洗浄されていない可能性が高いということですね。

排水管が床下でどのように配管されているかは、竣工図面をみればある程度はわかりますが、普段、図面を見慣れていない方が、排水管から立管や排水管の合流部までの距離をそれぞれでチェックするのは、かなり難しいと思います。

管理組合で、部屋のタイプごとに、排水管のレイアウトを視覚化して、各世帯の居住者に予め配布しておいたり、なるべく居住者が洗浄作業に立ち会っていただくように伝えていければ、しっかりとした洗浄作業が行えることになるかと考えます。

また、各部屋のそれぞれの排水口から洗浄ノズルを何メートル程度いれたか、作業員が作業後に予め作成したチェックリストに記入して、管理組合に提出するといった制度を取り入れれば、より洗浄作業がきっちりと行える可能性は高まります。

キッチンと洗面所の洗浄方法を把握しておく

二つ目の留意点として、少なくともキッチンと洗面所の洗浄方法を把握しておくということがあげられます。

下のイラストのようにトラップやディスポーザーがある場合、トラップをはずして洗浄するのか、洗剤だけ入れて、排水管は洗浄しないのか等を、事前に把握しておいて、居住者に洗浄方法をきちんと伝えておくことをお勧めします。

部屋のリフォーム時に専有部の配管も取替えたとすると、部屋によって様々な形のトラップが取り付けられるようになります。

高圧洗浄の作業代金がいくらなのかにもよりますが、その日じゅうに決められた作業を終わらせるために、高圧洗浄業者にとっては、洗浄作業は「時間との闘い」となり、トラップを外したり掃除口の蓋を取って洗浄したりしない可能性があります。キッチンの排水管は油等で詰まりやすいのですが、トラップの関係で排水管の奥まで、洗浄されていないとすると、詰まりによるあふれのリスクは高まります。

どういうトラップであれば、どこまで洗浄するのか業者に確認しておき、居住者に周知しておくことをお勧めします。

専有部の排水口から立管までの洗浄方法をチェック

3つ目の留意点としては、専有部の排水口から立管のどの部分まで洗浄するのかを予め業者に確認しておき、きちんと洗浄されているのか、できるだけチェックするということがあげられます。

下のイラストのように、専有部の排水管と共用部の立管をつなぐ接続部あたりまでしか洗浄しないとすると、接続部のすぐ下あたりに食べ残しや油脂の堆積物が付着したままになって固くこびりついてしまいます。

次第に堆積物が固着して排水管の立管の口径が閉塞してくると、上の階が排水した時に、同時に排水した場合に、排水が逆流してくることもありえます。

こういった状況を回避するためには、下のイラストのように、専有部の排水口から立管にたどり着いた時点で洗浄を終わらせるのではなく、1階下の階の立管と横引き管との接続部より少し下まで、洗浄を続けるのが理想的と言えます。

立管に一番近い排水口から立管までの距離がxメートルであれば、1階下の接続部までの3メートルを足したxメートル+3メートル分のコードが挿入されないと、該当部分までたどり着いていないと判断できますね。

高圧洗浄の保証に関しての考え方

冒頭でも話しましたが、高圧洗浄を依頼する場合、洗浄を行った箇所については、洗浄後1年の間に詰まって溢れてきて漏水した場合の保証がついていることが多いです。

もちろん、過失等については補償対象外ですが。

一般的に、築30年、40年、50年と築年数が進むにつれ、高圧洗浄を依頼しても業者から洗浄を拒否されることが多くなってきます。

これは、継続して1年間の保証付きでの洗浄をし続けていたとしても、長年、手抜き洗浄で堆積物が固着して排水管の口径が小さくなり、逆流してくるリスクが高まっていることが大きな理由といえます。

サビない材質の塩ビ管でも、長年、手抜き洗浄されていると、排水管が閉塞してしまい、交換の必要がでてきます。

1年の保証がついているから安心という考えではなく、築30年以上経過していても、堆積物が固着しないようにきっちりと洗浄していくということが肝心と考えます。

高圧洗浄の業者選定時の留意点

その他に、高圧洗浄の業者を選定する際に留意すべき点について、いくつかお話します。

今は、下の左側の画像のようなワイヤーがむき出しになったコードを使っている業者は、少なくなったと思いますが、こういったワイヤーの場合は、右側の画像のように排水管が破損しますので、ゴムで被膜されているなど、ワイヤーがむき出しになっていないコードを使っているのか、事前に確認することをお勧めします。

他には、

・ マンションの階数に応じた十分な能力を備えた高圧洗浄車なのかどうか
・ 高圧洗浄のコードが排水管内でひっかかって、外れなくなった場合に、外せる技術を持っているのか
・ 整備された作業マニュアルがあり、それを作業員が履行しているか
・ 配管内の内視鏡画像の報告書サービス

等、他にも留意点はありますが、また別の機会にお話いたします。

ムース洗浄

それから、高圧洗浄を断られてしまっている管理組合さんや、より確実に洗浄を行いたい管理組合さんには、以前の投稿記事で取り上げた低圧ムース洗浄と旋回ジェットムース洗浄が、参考になると思いますので、そちらの投稿記事もご覧になってみてください。

投稿記事①:高圧洗浄を断られる老朽化した排水管に低圧ムース洗浄!

投稿記事②:排水管の立管 洗浄前後の比較動画 旋回ジェットムース洗浄&高圧洗浄
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