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給水・給湯管の漏水事故 ≪ポリブデン管≫なのになぜ?

2022年10月8日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全

築20年経っていないほとんどのマンションでは、専有部内の給水管や給湯管には錆びない樹脂管であるポリブデン管や架橋ポリエチレン管が使われています。

「錆びないので、配管を取替える必要がなく、ずっと交換しなくても済むのではないか」と思われている管理組合さんも多いかもしれません。

ところが、このところ、「築20年ちょっとなのに、ポリブデン管から漏水してしまった」とか、「築30年ほどだが、ポリブデン管からの漏水が頻発して困っている」という相談が増えています。

今回の投稿記事では、「錆びなくて漏水の心配はない」と思われていたポリブデン管から、どういった理由で漏水していることが多いのか。また、漏水が頻発する可能性があるのであれば、事故に備えてどういった準備をすべきかについてお話します。

ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

ポリブデン管と架橋ポリエチレン管の違い

見た目や名前が似ていて、ややこしいのですが、今回のテーマは架橋ポリエチレン管ではなく、ポリブデン管です。

表①

ごく簡単に、ポリブデン管と架橋ポリエチレン管との大きな違いをお話しておきます。

表①にあるように、色はポリブデン管がアイボリー色で、架橋ポリエチレン管は白色です。

管の硬さについては、ポリブデン管のほうが少し柔らかいです。

この柔らかさゆえに、ポリブデン管は配管施工時に、無理に曲げられたまま支持金具で固定されてしまうことが少なくありません。配管に無理やり曲げた負荷がかかり続けることで、20年程度経過すると配管に亀裂が生じたり、破損したりといったことが起こり始めます。

架橋ポリエチレン管も柔軟性はありますが、ポリブデン管ほど柔らかくはないので、配管施工時に、無理に曲げられるようなことは、ほぼありません。

そもそも、工場出荷時に製品が不良品だったということもありえると思いますが、ポリブデン管の場合、配管施工時に無理やり曲げて施工したことが、漏水事故の原因になっているのではないかと言われています。

なお、図①で示したように、通常、ポリブデン管はさや管に挿入された状態で配管されています。給湯管の場合は、オレンジ色のさや管に、給水管の場合は水色のさや管です。

図①

ポリブデン管の配管例

図②に実際のマンションでのポリブデン管の配管レイアウトのイメージ図を示しました。

水道メーターがあるパイプシャフトから、2本の給水管が部屋の方に伸びています。

1本はバルコニーの給湯器にいき、もう1本はヘッダーと呼ばれる部品に接続されています。ヘッダーは給水用と給湯用の2つがあります。ヘッダーに流入してきた水を分岐させて、キッチンや浴室などそれぞれの蛇口まで水を分配するための部品です。

図②

画像①は、別のマンションの画像です。給湯管用のヘッダーを赤枠で示しました。右側の写真のピンクの矢印で示しているのは、給湯器からきた給湯用のポリブデン管です。この給湯管用のヘッダーから、浴室や洗面所、キッチンへと1本ずつ給湯用のポリブデン管がつながっています。

左側の画像の赤枠は、保温材で包まれた状態のヘッダーです。後ろに見えるのは、給水管用のヘッダーと、それにつながるポリブデン管の給水管です。

画像①

こういったヘッダーは、マンションにより異なりますが、かなり狭いスペースに格納されていることが多く、ヘッダーとポリブデン管がぎっしりと密集した形で配管されています。

先に「配管施工時に無理やり曲げて施工したことが、漏水事故の原因になっているのではないか」と申しましたが、このように狭いところに何本も配管するとなると、無理に曲げて配管されることもあるのではないかと思いますよね。

ご参考までに図③にメーカーが提示しているポリブデン管の配管時の留意点を示しました。メーカーによって多少異なりますが、「ヘッダー等の継手に接続するときはストレート部を10cm以上確保すべき」とか、「配管を曲げる際にどれくらいまでなら曲げていい」とか、「連続して逆方向に曲げるときの留意点」とか、いろいろな制約があります。

図②や画像①を見ると、慣れていない職人だと、そういった制約をクリアできずに配管してしまうといったことが起きる可能性があるのがおわかりいただけるのではないでしょうか。

図③

ポリブデン管からの漏水事例

さきほどの画像①のマンションで起きた漏水事故の事例を簡単にご紹介します。

画像②の中央の写真は給湯器からヘッダーに来ている給湯用のポリブデン管で、オレンジ色のさや管との間から水が漏れてきています。

画像②の右側の画像は、実際に亀裂が生じた箇所を赤丸で示していますが、こういった亀裂が生じると、一気に水が漏れ始め、さや管の端からかなりの水があふれ出てきます。

ヘッダーの場所であふれた水が漏水し、下の階の床が水浸しになり、床を全部貼りかえる内装復旧費用が400万円近くかかったという例もあります。

画像②

別の漏水事故として、画像③は洗面台とヘッダーを結ぶ給水管用のポリブデン管から漏水した例です。

左の写真は、洗面台下から、ポリブデン管を引き抜く作業をしているところです。

そのまま、引き抜くことができれば、新しいポリブデン管を再度挿入します。

曲げすぎていたり、曲げてある箇所が多すぎたり、また、経年劣化により引き抜けない場合もあります。 その場合は、ポリブデン管ではなく、架橋ポリエチレン管を別ルートで設置することが多いです。

右の写真は、今回の漏水の原因となったポリブデン管の亀裂箇所で、大きく破損しております。

画像③

漏水が起きてしまった場合の対策

このように、ポリブデン管から漏水事故が起きてしまった場合、被害が大きくなる可能性が高いと考えられます。そこで、再発防止としてマンション内で、どのような対策をとっておくべきかをお話します。

まず、極力、実際に漏水した箇所の写真を撮っておくことですね。漏水事故が起きても、詳しい内容が記録されていないと、あとから傾向分析をしようとしても情報が足りなくて、わからないといったことにもなりかねません。

最低限、どのタイプの部屋で、どの箇所で漏水が起きたかを組合で記録しておいたほうがよろしいかと考えます。

また、可能であれば、竣工図面等の配管レイアウトを参照し、無理な曲げが発生しうるところがないかを確認しておきます。もし、リスクが高そうだと思えたら、同じタイプの部屋に対しても事前にその部分の配管だけ、配管しなおすべきかを検討するのがよろしいかと考えます。

それから、保険についても、うまく活用するように心掛け下さい。漏水事故に保険をうまく活用するには、それなりの予備知識が必要となります。このあたりは、下のような投稿記事を以前アップしていますので、参考にしてください。
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ポリブデン管の漏水事故が頻発した場合、保険の申請の仕方によって、保険の契約更新後の見積もり額に大きく影響します。また、事故が起きた際に、緊急対応のために普段より高額な請求をされたりします。

マンション保険に熟知していて、しかも、住民サイドに立って考えてくれる保険代理店や、良心的な施工会社を確保しておくということもとても大切です。

配管保全センターでは、そういった良心的な保険代理店や施工会社とも提携しておりますので、ご興味のある方は、こちらの配管保全センターのホームページのメールかお電話にてお気軽にご連絡ください。

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