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超重要!! 給湯管 取替えvs更生 どっちが得?
2023年7月28日
この記事のカテゴリー :
給水・給湯管の保全
前回の投稿記事「
給湯管の事故はなぜ多い?
」で、マンションの漏水事故は、ここ最近、なぜ、給湯管からが多いのかということについてお話しました。 今回の投稿記事では、そういった状況の中で、給湯管は更生工事だけで十分なのか、それとも更新工事をしたほうが、長期的にみて得なのかについてお話しますので、ぜひ最後までご覧ください。
動画
築70年までの専有部給水・給湯管の工事費用比較
それでは、専有部の給湯管と、今後は漏水が多くなってくるといえる専有部の給水管について、築70年まで住み続けるとして、工事費用はどの程度必要か考えてみます。 最初から更新工事を行った場合と、1度目は更生工事を行った場合を比較しました。 なお、既存の配管の材質は、専有部給水管がライニング鋼管、給湯管が銅管という前提での比較となります。
◆最初から更新工事を行った場合
では、最初から更新工事を行った場合ですが、下の図版のように、工事費用は内装復旧費込みで、給水管と給湯管どちらも取替えた場合、ファミリータイプで世帯あたり70~80万円程度、ワンルームタイプで世帯あたり40~60万円程度というのが相場といえます。 高い業者に依頼してしまうと、世帯あたり100万円以上になるケースもありますので、業者選びは慎重に行う必要があります。 なお、給湯管だけ取替えたとしても、内装復旧費込みの工事費用は世帯あたり10万円程度しか変わりません。 将来的なことを考えると、給水管も同時に取替えたほうが経済的です。手慣れた業者であれば、断水も1日だけの場合が多いですし、露出配管ではなくほとんどの箇所は隠蔽配管で施工できるかと考えます。 このあたりはそれぞれのマンションで事情は異なってきます。
また、管理組合が規約を改定して、各世帯がリフォームを実施する際に、給水・給湯管も取替えるように指導していけば、費用も3分の1~半分程度で済ませることが可能となります。 一度、錆びない材質の樹脂管で取替えてしまえば、築70年以上でも取替えを再度行わなくていい可能性が高いといえます。 ほぼ、一度更新工事を行うコストで100年マンションも目指せることになります。
◆更生工事のみを行った場合
一方で、給湯管も給水管も新しく取替えるのではなく、更生工事のみを行った場合の費用はどのようになるでしょうか。 給水管も給湯管も世帯数にもよりますが、更生工事費用は世帯あたりそれぞれ20~30万円というのが相場です。両方で40~60万円程度ですね。ワンルームだと、取替え費用とほぼ同じ金額となります。 塗布型の更生工事は通常、保証期間が10年で耐用年数は20~30年と言われています。 これを前提に考えると、築25年あたりで更生工事を実施した場合、築50年を過ぎたあたりから漏水が心配になり、築70年まで住み続けるのであれば、もう一度更生工事を実施するか取替工事を行う必要がでてくることになります。 更生工事を再度行うのであれば、合計費用は2倍になるので、80~120万円で、更新工事の費用よりも高くなってしまいます。 また、築50年あたりで更生工事を再度実施するにあたり、住民から合意を得るのは、困難になってくるといえるでしょう。 築50年あたりになると、住民の高齢化が進み、管理組合の資金力が細り、また、なるべく修繕費用をかけたくない住民と、今後も長く住み続けるので必要に応じて修繕費用をかけたい住民との間で、修繕に対する考え方が異なり合意形成を得るのが難しくなるのです。 また、人手不足による人件費の値上がりとインフレによる原材料費の値上がりにより、今と同じ相場での実施は難しいといえるでしょう。 さらに、築50年あたりに、更生工事を行う場合、漏水事故を恐れて施工業者が施工拒否する可能性もあります。 その場合は、更新工事をすることになり、さきほどの更新工事の費用がまるまる必要になるので、最初から更新工事をしておけばよかったとなるでしょう。 更生工事をしてから20~30年後には、建替えまたは更地にするということが見えているのであれば、1度だけの更生工事で済ませるというのは選択肢としてはあるでしょう。 また、ほとんどのマンションでは、新規配管は露出でなく隠蔽で配管できますが、マンションによっては、露出が必要となるところもでてきます。 外観が損なわれるので、露出配管にはしたくないということであれば、費用が高くなったり、2度目の更生工事をすることになっても致しかたないと考えます。
◆今回のまとめ
ということで、今回の内容をまとめますと、最初から配管の材質が樹脂管での更新工事をすれば築70年以上でも再度取替えを行わなくていい可能性が高いといえます。 築25年あたりで更生工事をした場合、築50年を過ぎたあたりから漏水が心配になり、もう一度更生工事を実施するか取替え工事を行う必要がでてくるといえます。 また、築50年あたりになると住民の高齢化や管理組合の資金力不足で、配管保全などの修繕実施の合意形成がしにくくなるといえます。 さらに、築50年あたりに更生工事を行う場合、漏水事故を恐れて施工業者が施工拒否する可能性もあります。 結論として、長期的な視点から考えると、築70年程度まで住み続けるのであれば、修繕積立金は他の修繕などにも入り用になりますから、効率的に修繕積立金を使っていくためには、最初から更新工事を実施することをおすすめします。 安さや気軽さだけで更生工事の実施を判断してしまわないようにしていただくことが重要と考えます。
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