更新工事・更生工事

内視鏡で検証 築40年越しマンション 給水管の劣化状況

2021年3月7日
この記事のカテゴリー : 更新工事・更生工事

「給水管の立管の耐用年数は実際のところ、どれくらいなのか?」
「うちのマンションは築40年過ぎてるけど、配管を取り替えなくて大丈夫なの?」
と、よく聞かれます。

今回、実際に給水管の立管を取替える工事を行った際に、配管の内部を内視鏡で撮影しました。
配管内部の状況がよく分かると思いますので、是非ご覧ください。

なお、マンションによって、配管の劣化状況は、異なります。これほど劣化が進んでいないところもありますが、もっと進んでいるところもあります。あくまで、サンプルケースということで参考にしていただけたらと思います。

硬質塩ビライニング鋼管の耐用年数

  • ある程度の築年数が経過したマンションで給水管の立管に最も多く使われているのは、硬質塩ビライニング鋼管と言えます。

    鋼管は水に触れるとすぐに錆びてしまうため、イラスト①のように塩化ビニルで配管を被膜しています。

  • イラスト①

  • 被膜した部分は錆びの心配がほぼありませんが、イラスト②のように継手の部分(赤丸部)は、どうしても水と接触してしまいます。

    この部分が錆びやすいため、耐用年数は以前の動画でもアップしましたが、築25年程(※1)とされています。

    ※1:マンションで使用される給排水管の耐用年数一覧
  • イラスト②

  • 築20年程度のマンションでは、写真①の左側のように継手全体が樹脂で覆われた「コア内蔵」継手が使われていて、従来よりは錆びにくくなっています。

    下の動画は「コア内蔵」継手の動画です。樹脂で覆われているので、鋼管同士でつなぎ合わせても水に触れにくい構造となっています。 参考動画:4秒 コア内蔵継手
  • 写真①

写真①の右側は「管端コア」継手というものです。

左側の「コア内蔵」継手が普及するまえに使われていたもので、ライニング鋼管の端にこのような樹脂加工したものを貼りつけて、継手部分がなるべく水に触れないようにしたものです。

何も樹脂で覆われていなかった初期の頃のライニング鋼管よりも、耐用年数は長いとされていますが、それでも管端コアと鋼管の隙間に水が浸透してしまう場合が多く、継手部分からの漏水するリスクは否めません。

「管端コア」配管の劣化状況

  • では実際に配管の内視鏡検証をご覧いただきましょう。

    今回、内視鏡検証したマンションは築43年で、管端コア継手が使われています。

    写真②は「管端コア」継手のエルボー配管です。赤い2つのマルにはさまれた部分です。

    黄色い丸の部分では管端コアとライニング鋼管の隙間から水が浸透して、大きな錆びコブが発生しているのがわかります。
  • 写真②

  •  

    写真③はまた、別の箇所になります。

    「管端コア」配管のつなぎ部分を内視鏡で撮影したもので、こちらも、ところどころで錆びコブが発生しているのが見えます。

    参考動画:9秒 「管端コア」配管の検証動画

    のちほど、動画でお見せしますが、この配管のすぐ近くの配管で工事中に漏水が発生しました。
  • 写真③

  •  

    さらに写真④は別の管端コア部分を撮影したものですが、かなり錆コブが大きくなっています。 参考動画:12秒 「管端コア」配管の検証動画
  • 写真④

異種金属接触部の劣化状況

  • イラスト③は、今回のマンションの各世帯の水道メーターやガスメーターなどがあるパイプシャフトのイメージです。立管と水道メーターを配管でつないでいます。

    赤丸部分ではライニング鋼管とステンレス管という異なる金属同士をつないでいるため、「異種金属接触腐食」※1が発生しています。

     

    ※1:異種金属接触腐食 異なる金属同士が水中で接触してると、それぞれの金属の「イオン化傾向」の違いにより、金属間で電気が流れやすくなります。 電気が流れることで、一方の金属がより腐食しやすくなります。 ウィキペディア:異種金属接触腐食

  • イラスト③

  • 写真⑤は、実際の異種金属接触腐食がみられる配管内の状態です。

    絶縁処理を施していないため、錆コブが大きくなって、配管が閉塞しそうなほどになっています。

    参考動画:23秒 異種金属接触部分の内視鏡検証動画 これはかなり腐食が進んでますね。こうなるといつ漏水が発生してもおかしくないと言えます。

    動画内の最初の配管はステンレスで、15秒目あたりからの配管は硬質塩ビライニング鋼管です。

    異種金属接触の場合、どちらか一方の金属のほうが一方的に錆びるのですが、ステンレスと鋼管の場合は、鋼管が一方的に錆びます。その状況がよくわかりますね。
  • 写真⑤

参考:屋上での工事作業中に起きた漏水の状況

  • 参考までにお見せしますが、今回の工事で、写真⑥の屋上の配管を交換するにあたり、配管に巻きつけた薄い鋼管(写真の白い金属)と保温材を取り除いている最中に、突然水漏れが発生しました。
  • 写真⑥

  • 写真⑦は継手部分から水が噴き出しているところです。

    参考動画:19秒 漏水状況

    屋上なので雨水が配管にあたり、長年の間に配管の外部からも腐食し、また「管端コア」処理しているとはいえ、築43年間で配管内部も腐食が進んでいたと考えられます。

    外側からも内側からも腐食が進んで錆コブとなり、配管を貫通したところ、工事の振動等により錆コブが一部剥がれたところから、漏水したと考えられます。
  • 写真⑦

今回の検証で、「管端コア」処理をした配管でも築40年を越えてくると漏水のリスクが高まるうことが確認できました。
また、異種金属接触した部分については、腐食が激しいこともお分かりいただけたかと思います。

多くのマンションでは、パイプシャフト内の、水道メーター(銅とスズの合金)とライニング鋼管をつなぐ部分で異種金属接触腐食が進むと考えられます。
そのため、まず、水道メーターまわりのメーターユニット化が検討されると思います。

メーターユニット化の工事は、施工業者により、工事費用が大きく異なってきます。更新をご検討される際には、下の参考記事もご覧になってみてください。お役に立てることと思います。

【参考記事】
メーターユニット化はいくらかかる?
熟練工によるコストを抑えた更新事例 その② 給水管立管とメーターユニットの交換

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