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マンション専有部給湯管の漏水リスク

2019年7月27日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全

著者:配管保全センター㈱ 代表取締役 藤田崇大

住宅系で銅管の漏水事故につながる主な要因は孔食(ピンホール)・潰食(かいしょく)

前々回の投稿では排水管の漏水リスクを取り上げましたが、今回は給湯管の漏水リスクについてです。専有部の給湯管も修繕積立金でカバーされていないことが多く、自己負担で改修費用と損害賠償費用を支払うケースが増えてきています。

マンションの築年数により主に使用されている管の種類が異なります。

①築40年以上に多いのが白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)で鉄の腐食が漏水の主要因となります。

②築20年以下では架橋ポリエチレン管が多く腐食による漏水のリスクはありません。

③築20年~築40年では銅管が多く、様々な要因で漏水が起きています。黄色の背景色の部分では「エルセによる抗酸化性で漏水の抑制」を期待できるケースもありますが、残留塩素や遊離炭酸、シリカ等の濃度、水流の速さ等による環境の違いで漏水が起こる確率が大きく左右されます。

要因説明
Ⅰ型孔食遊離炭酸濃度15ppm以上(※)、低pHという銅管の腐食傾向が高い環境下で生じやすいと言われている。孔食上部に緑青(ろくしょう:銅管内に発生する緑青色の付着物。Ⅰ型の場合は炭酸カルシウムと塩基性炭酸銅)が生成されているのが特徴。緑青の下部での酸化作用により銅管が腐食していくと考えられる。銅管内の水がお湯を使用するときのみ一時的に高温になる住宅系に多い傾向がある。
※:厚労省指定の水質基準は20ppm以下
Ⅱ型孔食残留塩素濃度が高く、かつ重炭酸イオンに対する硫酸イオン濃度や溶解性シリカ濃度が高く、低流速環境で起こりやすいと言われている。Ⅰ型と同様に発生した緑青(Ⅱ型の場合は塩基性硫酸銅)の下部で酸化作用による腐食が進行していくと考えられる。中央循環式給湯で常に高温の状態となるビルに多い傾向があるが住宅系でも発生する可能性はある。

他にも外面腐食、応力腐食割れ、ハチの巣状腐食等の要因もありますが、これらの要因にはエルセによる効果は期待できません。

水質・水流等による環境で左右されますが、エルセによる酸化抑制効果で漏水事故率をおさえることが期待できる要因は、Ⅰ型とⅡ型の孔食が対象となります。抗酸化力により腐食を抑制する効果を期待できる水処理装置「エルセ」はこちらをご覧ください。なお、エルセでは緑青の発生と炭酸カルシウム(スケール)の固着、水垢の付着を抑制する効果も期待できます。⇒オゾン洗浄の実施頻度の低減にもつながります。

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