2020年12月28日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全
マンションの給水管の立管と、各世帯のパイプシャフト内にある水道メーター周りをメーターユニットに更新する工事の事例と見積もり費用についてご説明します。
今回の事例となるマンションの概要ですが、首都圏の、10階建て53世帯の分譲マンションです。
下の図は工事を実施する前の給水管の配管状況のイメージです。
実際にはもう少し複雑な配管ですが、わかりやすくするために、簡略化しています。 数年前に受水槽を撤去して2階に増圧ポンプを設置しています。このポンプから高架水槽までの揚水管(黄色い実線)もポンプ設置時に更新されていますので、今回の工事では交換対象にはなっていません。
今回、更新対象となるのは給水管の立管(黄色い点線)とメーターユニットになります。まず、給水管の立管ですが、これは、高架水槽から各世帯の水道メーターまでを繋ぐタテの管です。この立管は各世帯のガス・水道・電気のそれぞれのメーターが格納されているパイプシャフト内を通して配管されています。
今回のコストを抑えた交換工事では、既存の給水管はそのままにしておき、新たな給水管(青い実線)を下のイラスト①のように配管することにしました。
屋上から2階まで給水管の立管と、各フロアの各世帯のパイプシャフトまでの配管をそれぞれ新設します。
立管を新設するために、写真①のように外階段のところに足場を組みます。配管は保温材でカバーしますが、これは、保温の役割と景観をなるべく損なわないようにするためです。
この立管を新設する場所は周りのマンションに囲まれて、外からはほとんど見えないので、露出配管にしてもそれほど景観が損なわれることはありません。
写真①
各フロアでは、写真②のように壁伝いに各世帯のパイプシャフトまで配管します。
パイプシャフト内には、写真②の青いマルの部分の壁に穴をあけ、その穴から給水管を配管していきます。
写真②
なお、露出した配管は写真③(別の現場の画像)のように壁と同系色のカバーをつけて目立たないようにします。
写真③
2階の増圧ポンプから揚水管で屋上まで水をくみ上げますが、屋上でこの揚水管と、今回新設する給水管とを写真④のようにつなぎます。
揚水管と給水管を直接つないだので、高架水槽は必要なくなります。撤去をしてもいいのですが、撤去には別に足場を組む必要があります。この時ではなく、大規模修繕で足場を組んだ際に、撤去すれば、余計な費用が不要となります。よって、高架水槽の水は抜きますが、次の大規模修繕のときまで撤去せずにそのまま置いておくことにします。
このつなぎこみを行う日は1日、全戸断水となります。
写真④
次に、水道メーターまわりの配管の交換ですが、コストを抑えた方法は次のような手順になります。
下のイラスト②は水道メーターが格納されている各世帯のパイプシャフト内を表わしています。右側の「取替え後」のイメージで緑のマルで示した箇所は、写真②で青いマルで示した場所になります。ここに穴を開けて、壁伝いに給水管をパイプシャフト内に入れます。
イラスト②
写真⑤
古い水道メーターユニットを外して、写真⑥の水道メーターユニットをあらたに取り付けます。
取り付ける際は、各世帯ごとに約30分間の断水となります。
写真⑥
工事費用の見積もりとしては、合計570万円で、世帯あたりでは10.8万円でした。このうち、パイプシャフト内でのメーターまわりの配管の交換は、世帯あたり約3.5万円でした。
今回のケースと状況が異なれば、世帯あたりの見積もり額や合計金額も変わってきますが、今回のケースに関しては、相場の4割以上安い見積もり金額になりました。
見積もりが安くなった要因としては、
①配管を露出させることで工期を短くしたこと
②中間マージンをなるべくカットしたこと
もありますが、やはり
③熟練工が手際よく、短期間で施工することで人件費をかなり抑えられた
ということが大きいといえます。
このように配管の交換でも、コストを抑えて、工事期間を短縮した方法がありますので、修繕積立金を節約したい、なるべく工期が短くなったら良いとお考えの場合には、ぜひご相談ください。