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受水槽をやめて直結化すべき? 40年間の費用比較例
2023年5月25日
この記事のカテゴリー :
受水槽の保全・直結化
長期修繕計画を見直しする際に、受水槽のあるマンションでは、今後もずっと受水槽方式のままでいいのか、それとも受水槽を使うのをやめて、コストをかけてでも直結給水方式に変えるべきなのかについて、お悩みの管理組合さんは多いのではないかと思います。 実際、配管保全センターでも、それに関連したご相談を多数お受けしています。 いざ、直結給水方式に変えるとなっても、変更工事にはそれなりのコストがかかりますし、管理会社から出された見積り額が妥当なのかどうかも、よくわからないといった管理組合さんも多いかと思います。 今回の投稿記事では、受水槽のあるマンションで、受水槽方式を継続した場合と、直結給水方式に変えた場合で、工事費用や保全費用などの諸経費を40年間でシミュレーション比較してみましたので、是非最後までご覧ください。
動画
受水槽方式と直結給水方式の40年間の諸経費比較
それでは、早速、受水槽を維持した場合と、直結増圧方式に変更した場合の諸経費の比較を始めます。 なお、今回は、直結増圧方式に変更した場合は、増圧ポンプを設置すると仮定していますが、マンションの階数や地域によっては、増圧ポンプを設置しなくても給水できる場合もあります。 今回は、直結化するには増圧ポンプが必要という前提で費用比較を行います。 また、世帯数は60世帯、受水槽は屋外設置で、30トンという大きさでの条件設定としました。
受水槽清掃点検・水質検査費用
受水槽がある場合は、毎年、清掃と点検、水質検査を行う必要があり、そのための費用が必要となります。 管理会社を通すのかどうかといった依頼方法の違いや、受水槽の大きさ等で単価は変わってきますが、1回8万円とした場合、40年間では320万円となります。 直結増圧方式の場合は、これらのコストが不要となります。
給水ポンプの保守・点検費用
ポンプの保守・点検コストはどちらの方式でもかかります。 こちらも管理会社を通すかどうかといった依頼方法の違いや、受水槽の大きさ等で単価は変わってきますが、1回6万円の保守・点検を毎年2回実施するとして、40年間では6万円×40年×2回で480万円となります。
給水ポンプ交換費用
給水ポンプの交換頻度については、以前、「給水ポンプの交換時期とその費用」という投稿記事で詳しく説明しました。
給水ポンプの交換時期とその費用
状況によって、かなり寿命の差がありますが、一般的には10年~20年間隔での交換となります。 今回のシミュレーションでは、どちらも12年程度で交換するとして、40年の間で3回交換するとしました。 交換費用についても、受水槽の大きさや、どの業者に依頼するかといったことで大きく異なりますが、受水槽方式の1回あたりの交換費用を130万円として3回で390万円。 一方、直結増圧方式のほうは1回あたりの交換費用を150万円と若干高めに設定し、3回で450万円としています。
給水ポンプ分解整備費用
給水ポンプを定期的に分解して整備する頻度については、メーカーや国交省でも様々な頻度を提示しています。 分解整備についても、さきほどの「給水ポンプの交換時期とその費用」という投稿記事で触れていますが、今回のシミュレーションでは、どちらの方式でも分解整備はしないこととしました。
給水ポンプの電気代
給水ポンプを稼働するための電気代については、それぞれのマンションでの利用状況により異なるので何とも言えないところです。 また、昨今では電気代が、それぞれの地域で急激に値上がりされていることもあり、40年間の電気代を正確に出すのは難しいです。 今回のシミュレーションでは、便宜上、40年間、電気料金は値上がりしないという前提で、受水槽方式では年間20万円で40年で800万円。 直結増圧方式の場合は、年間15万円で40年間で600万円としました。 直結増圧の場合は、水道局の本管からの水圧では足りなくなる場合だけポンプが可動する仕組みですので、相対的に電気代は、直結増圧方式のほうが安くなりがちと言えます。
受水槽の更新費用
受水槽の更新費用は、屋外か屋内か、受水槽の大きさ、取替えるにあたって仮設の受水槽が必要かどうか、またどの業者に依頼するかといったことでで、かなり費用が異なってきます。 今回のシミュレーションでは、仮設受水槽を設置した場合として、1200万円の更新費用がかかったこととしました。 直結増圧方式の場合は、当然この受水槽更新費用は不要です。
直結増圧方式への変更工事費用
直結増圧方式の場合は、受水槽方式から直結増圧方式への変更が必要となります。 こちらもマンションの既存引込管の口径や、世帯あたりの平均人数、世帯数、マンションの階数、行政から直結化にあたって補助金が出るかどうか、どの業者に依頼するか等で大きく変わってきますが、今回のシミュレーションでは、直結増圧方式への変更工事費用を400万円と設定しました。
合計費用の比較
ということで、今回のシミュレーションでは、受水槽を40年間維持した時の費用は、3190万円。直結増圧方式に変更した場合の40年間の費用は、1930万円となりました。 毎回、直結増圧方式に変更するほうが安くなるとは限りません。 ポイントは、受水槽を取替えるのにいくらかかるのか、また、直結増圧方式に変更するにはいくらかかるのかの2点です。 どちらも概算でいいので、見積もりを取ってみるのが大切かと考えます。 受水槽は取替えではなく、パネルをライニングするといった更生工事による延命対策を講じることもできます。 ただし、そういった延命対策を行なったとしても、今回のように築30年を過ぎたマンションの場合、その後の40年の間には1度は受水槽を取替える必要が出てくるかと考えます。 なお、共用部の給水管と各世帯のパイプシャフト内にある水道メーターまわりの配管については、受水槽方式でも直結増圧方式でも築30年を過ぎて、その後の40年間にどちらも更新するであろうという前提で、これらの更新費用は、今回のシミュレーションには含んでいません。
また、耐震対策上は、どちらが安心かという点については下の二つの投稿記事を参考にしてみてください。
マンション住民必見! 災害時の停電‼ 生活水の確保方法
大地震の時に水が使えない!? 受水槽の意外なリスク
諸事情を考察して、直結増圧方式のほうが低コストだと判断しても、水道局の引込管の口径との兼ね合い等により、そもそも直結化ができない地域もありますので、あらかじめ水道局に直結化への変更可否を確かめることも必要と言えます。
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ポンプ
受水槽の保全・直結化
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