2021年4月3日
この記事のカテゴリー : 受水槽の保全・直結化
イラスト①
受水槽方式から直結増圧方式に変更する際、引込管を太くする必要がある場合があります。なぜでしょうか。 一般的に配管の口径は、配管内を流れる水量に応じて決められます。水量が少なければ口径は小さく、水量が大きければ口径を大きくします。 イラスト②に示すように、受水槽方式の場合は、タンクに水を貯めておき、水の使用量が多い朝夕のピーク時には貯まった水を使います。よって、引込管(赤線)を流れる毎分あたりの水量は少なくてすむので、引込管の口径も小さくてすみます。 一方で、直結増圧方式の場合、タンクに貯めないので、朝夕のピーク時には、引込管を流れる水が受水槽方式の場合より多くなります。そのため、直結増圧方式にする際には、今よりも引込管の口径を太くする必要があるのか、調査が必要となります。イラスト②
市町村によりますが、引込管の口径は、イラスト③のようなルールがあることが多いといえます。 このルールを厳密に守らなくてはいけない市町村もありますし、水道局との協議によっては、ルールより太めの口径でも許可が下りる市町村もあります。イラスト③
なお、引込管の口径を太くする場合、道路工事も必要となり、それなりの高額な費用になりますが、東京都では、令和3年4月時点では、この引込管の配管工事は東京都が負担してくれています。地域によって、費用負担額が異なってきますので、このあたりの確認も必要です。 築40年といったマンションでは、竣工当初より、世帯あたりの人数が減っていることが多く、使用水量も竣工当初からは少なくなっていることが多いと言えます。実際に、引込管の口径を太くする必要が生じるケースは、意外と少なかったりします。イラスト④
こういったケースで比較的、築年数が浅いマンションの場合は、直結増圧方式に変更しても、既存の埋設配管を継続して利用できる場合があります。 ただし、イラスト④の直結増圧方式に変更時(右側のイラスト)のように、赤色の点線部分で、受水槽の前後を直接接続します。親メーターから受水槽に給水する配管の口径は小さく(この場合は50A)、受水槽からマンションへ給水する配管の口径は大きい(この場合は75A)ので、「先太り配管」となってしまいます。(「先太り配管」は下のコラムを参照してください) 地域によって、この先太り配管が認められる場合と認められない場合があるので、念のため確認が必要となります。認められない場合、先太りになっている埋設配管を掘り起こして50Aの配管に取替える必要があり、かなりの費用増になります。 なお、例えば東京都のほとんどのエリア等は、ポンプメーカーと指定工事業者が水理計算(※1)をして問題ないと判断すれば、水道局には工事内容の届け出を行なえばいいとされています。工事費用に大きな差がでるので、関係部署に確認されることをお勧めします。 水理計算(※1)によって決める ※1 水理計算:蛇口の数、同時使用率、配管の口径、長さ、蛇口までの高さなどを考慮してどれくらいの水圧が必要かといったことを計算しますイラスト⑤
イラスト⑥
イラスト⑦
イラスト⑧