更新工事・更生工事

直結増圧方式に変更できるか? 5つの考察ポイント

2021年4月3日
この記事のカテゴリー : 更新工事・更生工事

「給水方式を受水槽方式から直結増圧方式に変更したいんだけど、うちのマンションは変更できますか?」 というお問合せをよくいただきます。

変更可否の条件が全国一律であれば、簡単なのですが、市町村単位で世帯数による制限や、何階建てかという階数による制限等の方針が異なり、また、その方針が随時変更されます。

よって、その地域地域での現状を正確に把握するには、該当部署にお問合せいただくのが一番確実になるのですが、ここでは、みなさんのお役に立てるように、直結増圧化にするための5つの考察ポイントについてご紹介します。

変更できるかどうかの5つの考察ポイント

考察ポイントは以下の5つになります。

考察ポイント1. 引込管の口径はそのままでいいか

現在の総使用水量をなるべく正確に見極め、不必要な増径を極力避ける

イラスト①の赤線に示した配管を「引込管」といいます。

道路の下にある水道局の本管から自分のマンションの親メーター(各世帯の水道メーターではなくマンション全体の水道メーター)までの配管のことです。

イラスト①

受水槽方式から直結増圧方式に変更する際、引込管を太くする必要がある場合があります。なぜでしょうか。

一般的に配管の口径は、配管内を流れる水量に応じて決められます。水量が少なければ口径は小さく、水量が大きければ口径を大きくします。

イラスト②に示すように、受水槽方式の場合は、タンクに水を貯めておき、水の使用量が多い朝夕のピーク時には貯まった水を使います。よって、引込管(赤線)を流れる毎分あたりの水量は少なくてすむので、引込管の口径も小さくてすみます。

一方で、直結増圧方式の場合、タンクに貯めないので、朝夕のピーク時には、引込管を流れる水が受水槽方式の場合より多くなります。そのため、直結増圧方式にする際には、今よりも引込管の口径を太くする必要があるのか、調査が必要となります。

イラスト②

市町村によりますが、引込管の口径は、イラスト③のようなルールがあることが多いといえます。
このルールを厳密に守らなくてはいけない市町村もありますし、水道局との協議によっては、ルールより太めの口径でも許可が下りる市町村もあります。

イラスト③

なお、引込管の口径を太くする場合、道路工事も必要となり、それなりの高額な費用になりますが、東京都では、令和3年4月時点では、この引込管の配管工事は東京都が負担してくれています。地域によって、費用負担額が異なってきますので、このあたりの確認も必要です。

築40年といったマンションでは、竣工当初より、世帯あたりの人数が減っていることが多く、使用水量も竣工当初からは少なくなっていることが多いと言えます。実際に、引込管の口径を太くする必要が生じるケースは、意外と少なかったりします。

考察ポイント2. 受水槽の前後の配管を接続できるか

口径の違う配管を接続していいか確認が必要

イラスト④の「施工前」(左側のイラスト)のように、敷地が広いケースでは、以下の箇所がコンクリートの下に埋設されている場合が多いといえます。
・親メーターから受水槽までの数十メートルの配管(例えば50A)
・受水槽からマンション屋内までの数十メートルの配管(例えば75A)

イラスト④

こういったケースで比較的、築年数が浅いマンションの場合は、直結増圧方式に変更しても、既存の埋設配管を継続して利用できる場合があります。

ただし、イラスト④の直結増圧方式に変更時(右側のイラスト)のように、赤色の点線部分で、受水槽の前後を直接接続します。親メーターから受水槽に給水する配管の口径は小さく(この場合は50A)、受水槽からマンションへ給水する配管の口径は大きい(この場合は75A)ので、「先太り配管」となってしまいます。(「先太り配管」は下のコラムを参照してください)

地域によって、この先太り配管が認められる場合と認められない場合があるので、念のため確認が必要となります。認められない場合、先太りになっている埋設配管を掘り起こして50Aの配管に取替える必要があり、かなりの費用増になります。

なお、例えば東京都のほとんどのエリア等は、ポンプメーカーと指定工事業者が水理計算(※1)をして問題ないと判断すれば、水道局には工事内容の届け出を行なえばいいとされています。工事費用に大きな差がでるので、関係部署に確認されることをお勧めします。

水理計算(※1)によって決める
※1 水理計算:蛇口の数、同時使用率、配管の口径、長さ、蛇口までの高さなどを考慮してどれくらいの水圧が必要かといったことを計算します

コラム:「先太り配管」とは

  • イラスト⑤をご覧ください。一般的な配管は、先に行けば行くほど、配管の口径が細くなっていきます。受水槽から水が出ていく配管は太いのですが、部屋の中の洗面所の給水管の口径は細いですよね。

    先のほうの配管の口径が太くなっている状態は「先太り配管」と言われています。

  • イラスト⑤

考察ポイント3. 世帯数による制約はないか

世帯数ではなく水理計算で口径を決める場合も多い

市町村によってルールが異なりますが、主に①や②の取り決めがあります。
①世帯数はあくまで目安で、実際の変更の可否は、水理計算によって決める
②150世帯までといった世帯数で厳密に変更の可否を決める

また、例えば50世帯までなら引込管の口径は50A、51世帯以上であれば75Aと厳密に決めている市町村もあります。

「うちのマンションは51世帯で引込管を75Aにしなくてはいけないようなので、直結増圧方式の変更はできないなあ」とあきらめてしまうのでなく、地域によっては50Aで認められる場合もありますので、やはり関係部署に確認してみてください。

コラム: 管理人室をどうするか

1つ参考例をあげましょう。

イラスト⑥の左側は、住居50世帯に加えて管理人室も増圧ポンプからの給水として全体で51世帯とカウントした場合を示しています。さきほどのルールが厳密に適用される地域であれば、引込管は75Aとなります。

ところが、仮に水道局の本管が100Aだった場合、引込管が75Aだと、さきほど「1.引込管の口径はそのままでいいか」の考察ポイントで触れた「引込管の口径は本管の半分以下、あるいは本管の2ランク下の口径でなくてはいけない(この場合は50A以下ですね)」というルールに抵触してしまい、直結増圧化はできなくなります。

そこでイラスト⑥の右側には、こういったケースでの解決策を示しました。 管理人室の配管は増圧ポンプ経由でなく、散水栓経由で配管します。そうすれば、増圧ポンプ経由の総世帯数は50世帯となり引込管を50Aにできます。(ただし、散水栓から管理人室への配管を新たに設置する工事費用が必要になります)

イラスト⑥

考察ポイント4. 階数による制約はないか

地域の水圧により直結増圧化が可能な階数も異なる

階数が多いと、上位階まで給水できる高い水圧が求められるため、市町村によっては、直結増圧化できるのは15階までとした取り決めがあります。

水理計算上、水道局の本管の2ランク下や半分以下の口径でも最上位階まで給水が可能と判断されれば、それ以上の階数でも直結増圧化が可能な場合もあります。

なお、一般的には、低層階の場合、増圧ポンプを使わなくても各部屋に給水可能ですが、場合によっては、増圧ポンプが不要な階数が3階・5階・それ以上の場合もあります(イラスト⑦参照)。

その地域の水圧によって、直結増圧化できる階数が異なります。

業者によっては、「このマンションは4階建てなので、増圧ポンプが必要です」と言ってくるケースもありますので、増圧ポンプの要否についても、是非、関係部署に確認することをお勧めします。

なお、水道局の本管内の水圧がもともと弱いような地域では、直結増圧化をなかなか認めてくれないケースもありますので、そのあたりの確認も必要です。

イラスト⑦

考察ポイント5. 配管の耐圧試験

試験結果によっては、給水管の更新工事も必要

直結増圧化に伴い、増圧ポンプより先の配管内の水圧は必然的に高まります。

それとともに、経年劣化等で水圧に耐え切れずに、配管が漏水事故を起こすリスクも高まるため、直結増圧化を行う前には、配管の耐圧試験を受ける必要があります。

地域により異なりますが、耐圧試験は、イラスト⑧のように、増圧ポンプから各世帯の水道メーターまでの配管に対して行います。築年数がそれほど古くない場合等は、指定工事業者の判断で、耐圧試験を免除される場合もあります。

耐圧試験で不合格だった場合、増圧ポンプから先、パイプシャフト内の水道メーターまでの配管を更新する必要が生じます。

特に、パイプシャフト内の水道メーターまわりの配管は、腐食しやすく、市町村によっては、直結増圧化に伴い、水道メーターまわりをメーターユニットに配管しなおすことを義務化しています。築年数が浅く水道メーターまわりの配管の腐食がそれほど進んでいないと判断される場合は、メーターユニット化を免除されるケースもあります。

参考:メーターユニット化は いくらかかる?
参考:熟練工によるコストを抑えた更新事例 その② 給水管立管とメーターユニットの交換

それから、耐圧試験とともに、水質検査も行う必要があり、水質検査の結果次第によっても配管を更新しなくてはいけなくなる場合もあります。

イラスト⑧

水道局との事前協議は必要か

直結増圧化に伴い、工事を行う前に、原則として水道局と事前に協議する必要があります。

ただ市町村によっては、現時点では東京都のほどんどのエリアでもそうですが、水道局の本管から親メーターまでの引込工事が不要であれば事前協議は不要としているところもあります。

問い合わせ

一般的に直結増圧方式への変更可否の確認は、以下の各市町村の指定工事業者で行います。

指定工事業者

各市町村の水道局のホームページには、「近くの指定工事業者さんに聞いてください」と記載されていることが多いですね。

指定工事業者の一覧も掲載されているはずですので、掲載されている電話番号にかけてみるのがひとつの方法です。

水道局

「指定工事業者の一覧があっても、どこの業者がいいのかわからないし、かけづらい」という場合は、マンションのある市町村の管轄の水道局でも親切に対応してくれます。

詳しい連絡先がわからなければ水道局の代表電話に電話をして「受水槽方式から直結増圧方式に切り替えたい」と伝えれば〇〇水道事務所、〇〇給水管工事事務所といったところにつないでくれます。

※ マンション管理会社に問い合わせると、場合によっては、変更できるかどうかの検証だけで「数十万円の手数料が必要です」と言われる場合もありますので、気を付けてください。

配管保全センターでは、これまでの考察ポイント1~5を踏まえて、マンション住民の方の立場に立って最適なプランを提案しています。
ご興味のあるかたは、こちらのWebから、メールや電話にてお気軽にお問合せください。

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