2022年10月8日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全
表①
ごく簡単に、ポリブデン管と架橋ポリエチレン管との大きな違いをお話しておきます。 表①にあるように、色はポリブデン管がアイボリー色で、架橋ポリエチレン管は白色です。 管の硬さについては、ポリブデン管のほうが少し柔らかいです。 この柔らかさゆえに、ポリブデン管は配管施工時に、無理に曲げられたまま支持金具で固定されてしまうことが少なくありません。配管に無理やり曲げた負荷がかかり続けることで、20年程度経過すると配管に亀裂が生じたり、破損したりといったことが起こり始めます。 架橋ポリエチレン管も柔軟性はありますが、ポリブデン管ほど柔らかくはないので、配管施工時に、無理に曲げられるようなことは、ほぼありません。 そもそも、工場出荷時に製品が不良品だったということもありえると思いますが、ポリブデン管の場合、配管施工時に無理やり曲げて施工したことが、漏水事故の原因になっているのではないかと言われています。 なお、図①で示したように、通常、ポリブデン管はさや管に挿入された状態で配管されています。給湯管の場合は、オレンジ色のさや管に、給水管の場合は水色のさや管です。図①
図②
画像①は、別のマンションの画像です。給湯管用のヘッダーを赤枠で示しました。右側の写真のピンクの矢印で示しているのは、給湯器からきた給湯用のポリブデン管です。この給湯管用のヘッダーから、浴室や洗面所、キッチンへと1本ずつ給湯用のポリブデン管がつながっています。 左側の画像の赤枠は、保温材で包まれた状態のヘッダーです。後ろに見えるのは、給水管用のヘッダーと、それにつながるポリブデン管の給水管です。画像①
こういったヘッダーは、マンションにより異なりますが、かなり狭いスペースに格納されていることが多く、ヘッダーとポリブデン管がぎっしりと密集した形で配管されています。 先に「配管施工時に無理やり曲げて施工したことが、漏水事故の原因になっているのではないか」と申しましたが、このように狭いところに何本も配管するとなると、無理に曲げて配管されることもあるのではないかと思いますよね。 ご参考までに図③にメーカーが提示しているポリブデン管の配管時の留意点を示しました。メーカーによって多少異なりますが、「ヘッダー等の継手に接続するときはストレート部を10cm以上確保すべき」とか、「配管を曲げる際にどれくらいまでなら曲げていい」とか、「連続して逆方向に曲げるときの留意点」とか、いろいろな制約があります。 図②や画像①を見ると、慣れていない職人だと、そういった制約をクリアできずに配管してしまうといったことが起きる可能性があるのがおわかりいただけるのではないでしょうか。図③
画像②
別の漏水事故として、画像③は洗面台とヘッダーを結ぶ給水管用のポリブデン管から漏水した例です。 左の写真は、洗面台下から、ポリブデン管を引き抜く作業をしているところです。 そのまま、引き抜くことができれば、新しいポリブデン管を再度挿入します。 曲げすぎていたり、曲げてある箇所が多すぎたり、また、経年劣化により引き抜けない場合もあります。 その場合は、ポリブデン管ではなく、架橋ポリエチレン管を別ルートで設置することが多いです。 右の写真は、今回の漏水の原因となったポリブデン管の亀裂箇所で、大きく破損しております。画像③