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マンションの屋内配管 すべて取替えるといくらかかる?

2022年4月30日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新 いくらかかるか

築40年以上のマンションでは、専有部の排水管が白ガス管や塩ビライニング鋼管等の錆びやすい材質が使われています。また、給湯管も潰食(かいしょく)によりピンホールができやすい銅管が使われていることがほとんどといえます。

今後、水漏れが多発することが予想されるため、思い切って管理組合主導で配管をすべて取替える方針を出すマンションが増えています。

今回の投稿記事では、管理組合主導で共用部・専有部の給水・給湯・排水管を一斉にすべて取替える場合、内装復旧費用を含めていくらかかるのかについてお話します。

様々な要因で、世帯あたりの見積もり額は増減しますが、だいたいいくらくらいかかりそうなのか目途がわかれば、管理組合内で検討がしやすくなると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、屋外の配管については、地中に埋設されている長さ等で、マンションによって大きく費用が変動するため、今回は、屋内の配管のみを対象としています。

配管取替え費用の変動要因

まず、費用に大きく変動する主な要因をいくつかあげてみます。

これらは、マンションの物件ごとに仕様が異なりますので、配管工事の見積もりを取る際の要チェック項目となります。

①排水管の立管の本数

イラストで排水管が1本から3本の例を示しました。当然、排水管の立管の本数が少ないほうが、立管の更新費用は安くなります。

 

 

②横引き管がスラブ上か下か

築年数が浅いマンションだと、室内の排水管の横引き管は床下にありますが、築40年以上のマンションでは、下の階の天井裏にある場合が多くなります。下の画像は、下の階の天井裏にある排水管です。

 

 

③配管がシンダーコンクリートに埋まっているか

下の画像は、室内の排水管の横引き管が完全にシンダーコンクリートに埋まっているケースです。この排水管を取替えるには、シンダーコンクリートを斫って、埋まっている排水管をすべて露出させるため、騒音が発生しますし、大変な労力がかかる作業のため取替え費用もかなり高額になります。

 

 

④在来浴室かユニットバスか

下の画像の左側が在来の浴室で、右側がユニットバスです。在来の浴室の排水管を取替える場合も、コンクリートを斫るので騒音が発生し、大変労力がかかる作業のため取替え費用もかなり高額になります。

 

 

⑤新設する配管は露出にするか隠蔽にするか

下の画像の左側は、共用部の給水管の立管をパイプシャフト内でなく、マンションの壁沿いに露出配管したケースです。ケースバイケースですが、給水管の立管をパイプシャフト内に隠蔽するよりも露出配管にするほうが、費用的には安くなるケースが多いです。

右側の画像は、ユニットバスの給水・給湯管を配管する際に、ユニットバスの裏側に配管することが難しかったために、露出配管にしたケースです。

どうしても露出させたくない場合は、ユニットバスの壁を壊したり、場合によってはユニットバス自体を交換する必要があり、かなり高額になります。

 

 

⑥パイプシャフト(PS)等に十分な作業スペースがあるか

各世帯の水道メーターやガスメーターが入っているパイプシャフト(PS)内は、下の画像の左側と真ん中の画像のように作業スペースが狭い場合と、広い場合とマンションによって異なります。当然、作業スペースが広い場合のほうが、作業しやすく早く済むので工事費用も安価になるケースが多いです。

右側の画像は、キッチンの横の壁裏にある排水管の立管とキッチンからの横引きの排水管です。これらの配管を取替えるには壁を壊す必要があり、どれだけ壁を壊せるかによって、作業のしやすさ変わり工事費用に大きく影響します。

 

 

⑦内装の仕様

配管を取替えるために、床や壁、場合によっては天井も剥がす必要があります。配管取替え後には内装を復旧させますが、内装のグレードにより復旧費用も当然変わります。

 

 

⑧床や天井に配管されている水まわりの広さ

左側のイラストは、ワンルームでトイレ、洗面・浴槽がセットになったいわゆる3点ユニットと言われるタイプで、水回りの配管はかなりコンパクトになっています。

右側のイラストは、ファミリータイプで、広い範囲に配管されています。当然、水回りの配管の範囲が広ければ広いほど、内装復旧する範囲も広くなるので工事費用としては高くなります。

 

 

⑨給湯器はパイプシャフト内かベランダ等か

左側の画像はパイプシャフト内に給湯器があるケースです。

右側の画像は、ベランダに給湯器があるケースです。この場合、給水管をベランダまで配管する必要があり、また給湯管をキッチンや浴室まで持っていく必要があり、内装復旧する範囲が広くなり、工事費用は高くなりがちです。

 

 

⑩排水管の横主管がピット内か埋設されているか

左側の画像は、マンションの1階のスラブ下にピットがあり、そこに排水管の横主管があるケースです。この場合、ピット内に入り込めれば取替え作業が可能です。

右側の画像は、ピットがないケースで、赤の点線の横主管が地下に埋設された状態となっています。赤の点線の排水管を取替える場合には、土木作業が必要で、かなり高額な工事費用となります。

なお、この画像では、地盤沈下により屋外の排水管や排水桝も取替える必要があるケースとなっています。

 

 

⑪アスベストの有無

築年数の古いマンションでは、配管の保温材や壁や天井のボードといったところに、アスベストの含有率が高い材質を使ったケースが少なくありません。

場合によっては、アスベストを処理できる資格を持った人が防護服を着て、養生も十二分にして解体作業を行う必要があります。その場合は、かなり高額な工事費用となります。

 

 

配管取替え費用の目安

それでは、配管取替え費用の世帯あたりの目安をご覧ください。

これらは、配管保全センターが携わった工事や見積もりと、他社から提示された情報をもとにしています。配管部材の値上がりや人件費の高騰等で、従来よりも費用が高くなってきています。

まず、共用部の給水管は、20万から40万円程度です。

露出配管にするのか、パイプシャフト内で隠蔽配管にするのかといったことで、費用は大きく変わります。

また、他の配管も同様ですが、アスベストの含有レベルによっては、40万円以上の高額になる場合もあります。

共用部の排水管は、20万から70万とありますが、排水管の本数、シンダーコンクリートに埋まっているかどうか、埋まっているならその埋まり度合い、横主管がピット内にあるかどうかといった要因で、大きく変わります。

次に、専有部の給水・給湯・排水管です。こちらもシンダーコンクリートへの埋まり度合い、露出配管にするかどうか、また、浴室をどの程度、壊さなくてはいけないかによって、費用はかなり変動してきます。

浴室を在来からユニットバスに取替える場合や、ユニットバスをどうしても取替えなくてはいけないような場合では、さらに50万円や100万円といった金額が必要となる場合もあります。

工事に伴う断水時間

住民のみなさんにはご迷惑となりますが、配管取替え工事では一定期間、断水にしなければなりません。

図のように、工事業者Aの場合、工事の開始から最終の6日目の工事終了まで夜間を含めて何日も断水となります。住民の賛同を得るのは難しくなると予想されます。

配管保全センターが配管工事をご提案をする場合、工事業者Bで示したように、なるべく夜間は水を使えるような作業工程を組んでいます。

それは、どのようなものか、ご興味を持たれるところかと思いますが、それについては「配管をすべて取替える場合の作業工程例」として、別の動画でお話します。

配管取替え後の保全

給水・給湯管に関しては、このようにすべて取替えて新しくすることで、100年マンションを目指せる可能性が高まると言えます。

ただ、専有部の排水管のうち、特にキッチンの雑排水管については、配管を樹脂系に変えたとしても、再び、詰まりが原因で取替えが必要となるリスクが残ります。

そのため、マンションの根元に流動式セラミクス方式の延命装置を設置することにより、極力詰まりのリスクを抑える方法をお勧めしています。
この延命装置はセラミックの交換が不要で、費用は世帯あたり8万円前後となります。長い目で見て費用削減効果を期待できます。

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