勉強部屋

マンション専有部 給水・給湯管の取替え いくらかかる? 4社で見積比較

2021年11月13日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新費用

専有部の給湯管が銅管の場合、漏水リスクが高いため、給湯管だけでなく給水管も全て管理組合主導で取替えることを検討している管理組合が増えています。

今回は、実際に4社から専有部の給水・給湯管の取替えの見積りを取ってみた結果をご紹介します。

業者によってどれくらいの金額差があるのか、また、リフォームする際に配管の取替えを合わせて行なった場合、どれくらい費用を抑えられそうなのかなどの目安になると思いますので、ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

見積り対象の部屋のイメージ

イラスト①は、今回、見積りをとった部屋の水回りのレイアウトイメージ図です。

イラスト①

ファミリータイプで、給湯器がベランダにあるタイプです。

給水・給湯管の取替えは、床や壁を剥がして、ホース状の配管を新たに設置していく作業になります。古い配管を取り除くのは、手間もお金もかかるので、水抜きをしてそのままにするケースが多いです。

まず、床や壁を剥がしていきますが、赤の点線枠は、今回の取替え作業で床や壁を剥がし、配管設置後に、元に復旧する場所を示しています。

まず、トイレの床とユニットバスと隣り合わせの壁を剥がします。

洗濯機の下部パンをとりはずし、洗濯機の蛇口の付いている壁を剥がします。

それから脱衣所の床を剥がし、廊下の床も一部剥がして、45センチ角の点検口を作ります。

キッチンの床とキッチンの流し台の下の壁を剥がします。

それと、ベランダの給湯器と部屋の中の配管をつなぐために、給湯器の裏側の流し台の床と壁も剥がします。

画像①の右側の画像をご覧ください。これは、今回対象のマンションではなく別のマンションの画像ですが、浴室に点検口があるのがわかります。この点検口を剥がせば、ユニットバスの裏側から蛇口につながっている配管の取替え作業を行うことができます。一方、左側の画像が今回対象のマンションなのですが、こういった点検口がなく、ユニットバスの裏側の配管の取替え作業がこのままではできません。

画像①

ということで、今回は、赤枠で囲まれた化粧台をはずして、その部分からユニットバスの裏側の配管と蛇口をつなぐ作業を行います。

イラスト①の緑色の点線枠は、既にある点検口で、洗面所と流し台の下にあります。

それから、画像②のパイプシャフト内の画像をご覧ください。

画像②

水道メーターやガスメーターのあるパイプシャフト内の画像です。

パイプシャフトの奥の壁の裏側にトイレがあります。

水道メーターから水色で示した部分が新たに設置する給水管を示しています。新しい給水管はホース状の柔軟性を持った樹脂系配管のポリエチレン管を使用します。画像左上にポリエチレン管のサンプル画像がありますが、水色のカバーで覆われたポリエチレン管を使います。

このポリエチレン管をパイプシャフトの奥の壁の裏側にあるトイレの蛇口につなげるために、赤丸で示した部分に穴を空けます。この穴をあけることをコア開けと言います。

イラスト①の四角い赤の印の部分が、このコア開けをする箇所です。

パイプシャフトとトイレの間の壁と、もう一つ、ベランダにある給湯管から部屋の中に配管を通すためにもコア開けをします。

なお、天井に点検口を剥がして天井配管にする方法もありますが、今回のケースでは、天井配管をすると、露出配管になる箇所がいくつか出てきてしまいます。今回のケースでは、床に新規配管を通すスペースが比較的あり、床に配管を通すほうが安く工事もできるので、今回は天井でなく床や壁を剥がす方法をとりました。

新規の配管レイアウト イメージ図

それでは、床や壁を剥がして、どのように給水管と給湯管を配管していくのかのイメージをイラスト②でご覧ください。

イラスト②

まず、青線で示した給水管についてです。

水道メーターから始まり、トイレ、洗濯機、脱衣所、廊下、キッチン、流し台の床を開口した箇所からベランダの給湯器まで通していきます。

実際には、それぞれの蛇口まで分岐してつないでいきます。

次は、ピンク色の線で示した給湯管ですが、これもポリエチレン管です。給湯器から洗面所、ユニットバスの洗い場の蛇口と浴室の蛇口、それとキッチンの蛇口までつなぎます。

それから、黄色線で示したペアチューブという追い炊き用の配管も2本つなぎます。これも同じくポリエチレン管です。

1本は給湯器からユニットバスの浴室まで。もう1本は反対にユニットバスの浴室から給湯器までです。今回のユニットバスの構造上、トイレとユニットバスの間の壁を剥がして、浴室にあるペアチューブにつなぐことにします。

これで、給湯器と部屋の中の全ての水回りを、新しい4本のポリエチレン管でつなぎました。

今回は、給湯器がベランダにあるレイアウトでしたので、パイプシャフトからトイレには給水管用のポリエチレン管1本を通すコア開けだけで済みました。

画像③のように、給湯器がパイプシャフトの中にある場合は、ガスメーターや給湯器の配管がぎっしりつまった狭いパイプシャフト内で、給水管と給湯管が各1本、ペアチューブ2本で合計4本の新しい配管を通す穴を空ける必要があります。場合によっては、ガスメーターをはずす必要もあるので、その場合は今回の給湯器がベランダにあるケースよりコスト増になりますのでご注意ください。パイプシャフト内が十分の広さであればそれほどコスト増にはなりませんが。

画像③

4社の見積り額

以上のような作業内容で新しい配管をつなぐための見積りを4社から取りましたので、その一覧を表①に示します。

ワンルームタイプで水回りがコンパクトな場合は、内装費用込みで20万円前半の見積りになることもありますが、今回のケースでは、ファミリータイプで開口・復旧部も多く、また、ユニットバスの化粧台の脱着費が6万円となり、その分、高めの見積りとなっています。

表①

実は、もう2社に声をかけたのですが、60万円以下での見積りになってるところがあると伝えたところ、その2社は辞退してきました。

とはいえ、見積り額としては、かなりバラツキがありますね。

なお、B社は内装費が含まれておらず、今回一番安かったA社の内装費26万5千円を仮に加算してみたら78万5千円となります。これに内装工事を行うための諸経費も若干プラスされるでしょうから80万円以上の見積りになると考えられます。

リフォーム時に配管工事も実施することをお勧めする理由

表①の材料費と工賃の合計である「配管工事費」に注目してください。

A社の場合は17万5千円になってますね。内装復旧や諸経費も含めると総額57万円で、「配管工事費」のみの場合との差額が40万円近くもあります。

要は、配管の工事費用よりも内装費用のほうが高くついているということですね。

ということで、各区分所有者が個別にリフォームを行う際に、壁や床を剥がしたついでに、配管も取替えてしまうほうが圧倒的に、安くつくということが言えます。

リフォームをするということは、まだ、この先も住み続けたいということですから、いずれは、給水・給湯管を取替える必要性に迫られます。

売却する前に内装のみリフォームする方もいらっしゃいますが、配管を取替えていないと、買い手との交渉時に配管の更新費用分を値下げさせられたりしますので、「リフォーム時に取替えておけばよかった」と後悔することになります。

国交省が最近、改定した長期修繕計画作成のガイドラインでは、共用部の配管は30~40年で取り替えるのが目安となっていますが、専有部の配管の取替えの目安は、19~23年とかなり短くなっています。

専有部の配管のほうが細くて肉厚が薄いため、錆による漏水のリスクが高いからですね。

管理組合としてもあらかじめ、リフォーム時には排水管の取替えは無理だとしても、「給水管と給湯管は全て樹脂管に変えること」といったガイドラインを、全区分所有者に提示しておくことをお勧めします。

リフォーム時に専有部の排水管も取替えられるか

本来であれば、専有部の排水管のほうが詰まりやすいので、排水管もリフォーム時に取替えるのが理想です。

ただ、排水管の取替えを行う際には以下のような問題があったりします。

・勾配をつけて排水管を設置する必要があり、床を剥がさなくてはいけない面積が広くなり費用が高額になる

・床下のコンクリートに排水管が埋まっている場合は、取替え費用がかなり高額になり、またコンクリートをハツる騒音が大きすぎる

・スラブ下に排水管が配管されている場合は、共用部扱いとなるため、勝手に区分所有者が取り替えられない

排水管の材質が塩ビ管なのか鉄管なのか、また、この先、何年住み続けるかにもよりますが、専有部の排水管は更生工事や延命装置を設置するなどの延命対策を行うほうが、マンション全体としてもコスト削減につながる場合もあります。
関連キーワード

キーワードから関連記事をご覧になれます。

関連記事

勉強部屋動画記事一覧をみる