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排水管立管の取替え いくらかかる? 14階建ての施行事例

2021年12月4日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新費用

排水管の立管の取替え、大変ですよね。

画像①を見ていただくとわかりますが、これはキッチンと隣接するパイプシャフト内の排水管の立管です。

立管を取替えたくても、見積もりが高すぎて、予算が足りないので取替えられないという組合さんや、予算はあったとしても、取替えに1週間以上もかかり、そんな何日も業者さんが部屋に出入りするのは困るという反対の声で、いっこうに取替えの話が進まないといった組合さんもたくさんいらっしゃると思います。

そこで、今回は一般的な相場よりもかなり安く、また工期も短く施工できた事例をご紹介し、世帯あたりの費用とその工程についてお話します。

現在、排水管の立管の取替工事を検討中の組合さんだけでなく、長期修繕計画を作成中の組合さんにとっても、参考になると思いますので是非最後までご覧ください。

画像①

動画

 

部屋のどこにある立管を取替えたのか

では、まず、今回取替えようとしている排水管の立管が部屋の中のどのあたりにあるのか、イメージ図をご覧ください。

イラスト①

キッチンの横にパイプシャフトがあり、その中に立管が入っています。

今回はパイプシャフト内の赤枠で示したクローゼット側の壁とブロックを壊して、立管を取替えます。

ブロックを壊している様子を動画でご覧ください。

ブロックを全て壊すと時間がかかるため、立管を取替えるのに必要なスペース分だけブロックを壊して穴を空けます。

画像②

画像②の黄色の枠内に現在使われている排水管の立管が見えます。配管の材質は白ガス管という錆びやすい材質のものです。

イラスト②は例として9階から11階までの部屋を縦切りにした断面図です。

イラスト②

各部屋の立管を切断した動画をご覧ください。

各階の間にはスラブというマンションの床の荷重を支えるコンクリートの構造床がありますが、排水管の立管はこのスラブを貫通しています。

さきほどの画像①は立管が入っているキッチンと隣接するパイプシャフト内を上から覗いた画像です。

立管がスラブの中を通っていて、スラブの上でキッチンからの雑排水管と接続しているのがわかります。

取替え工事では、赤の点線枠で示した箇所で、キッチンからの雑排水管である塩ビ管を切断します。

画像①

塩ビ管を切断し、スラブをハツって新しい配管を設置しようとしている動画をご覧ください。

スラブをハツったので、下の階が見えるのがご覧いただけます。

既に施工済みの新しい立管が見えますが、材質は防音型耐火二層管というもので、名前にもある通りこの配管は、排水が流れる音をかなり抑えられるのが特長です。

天井のほうを見ると上の階が見えます。

上の階のキッチンからの雑排水管が切断されているのも見えますね。

こちらの動画では、立管が設置された状況をご覧いただけます。

また、キッチンからの雑排水管と接続されている状況もご覧いただけますね。

各系統の取替えの工程

それでは、立管の各系統ごとの工事日程についてご説明します。

まず、1日目ですが、地下1階から7階までの階の配管の取替えを行います。

工事期間中の9時から夕方までは、7階までの部屋では当然、キッチンの水は使わないように使用制限されます。8階から14階の部屋もキッチンで水を使うと、工事中の部屋に排水が落ちてきてしまいますから、8階から14階の部屋もキッチンの水は使わないように使用を制限していただきます。断水をするわけではなく、また、トイレやバスルーム、洗面、洗濯機は、立管の系統がこのマンションでは異なりますので、それらの水は工事中でも自由に使うことが出来ます。

イラスト③

2日目は、7階から14階までの立管の取替作業を行います。また、1日目に配管を取替えた地下1階から6階までの部屋のクローゼットの壁を復旧します。7階だけは初日は7階と6階の間の作業。2日目は7階と8階の間の作業を行いますので、取替え作業に2日間かかることになります。

6階から下の部屋は、キッチンで水を使っても工事に影響はないので、2日目からは自由に水を使えます。

7階から上の階は引き続きキッチンの水の使用が制限されます。よって地下から6階までは使用制限が1日のみ。7階から上は2日間の使用制限となります。

3日目は7階から14階までのクローゼットの壁を復旧します。

工事期間中、壁やブロックを壊したり、コンクリートのスラブをハツったり、金属製の立管を切断する際に、かなり大きな音がします。

日中の工事となりますので、住民の方々には事前に、キッチンの水の使用制限がかかることや大きな騒音がすることについて、十分に説明して協力していただく必要がありますね。

なお、工事期間中、各部屋に入っての作業となりますので、1日目は7階までの部屋、2日目は7階から14階までの部屋の方に在宅していただく必要があります。

1室でもいらっしゃらないところがあると、工事期間がずれてしまいますので、日程調整は、綿密に行っておきます。

切断した排水管内の状況 切断した排水管の中の状況を動画で撮影したので、ご覧ください。

キッチンからの雑排水管との接続部の動画です。

イラスト④にキッチンからの雑排水管の勾配がどの程度あるのかを示したイメージ図を載せました。排水管の長さ50㎝につき1㎝という緩やかな勾配です。

画像でもわかるように、配管が閉塞してきているのがわかります。

立管の白ガス管の錆びにキッチンの排水の汚物がせき止められることで、どんどん配管が閉塞していきます。このまま放置すると配管が詰まって排水があふれてくるリスクがあるといえます。

イラスト④

今回の世帯あたりの費用

排水管の立管の取替え・復旧工事費用について、今回のようなケースでは世帯あたり換算で約19万円でした。

なお、施工費用は、何階建てか、スラブの厚さ、横引き管との接続が1本かどうか、集合管かどうか、配管の材質、シンダーコンクリートに埋まっているかどうか、壁やブロックの開口と復旧のしやすさ等で大きく変わってきます。

キッチンからの雑排水管である塩ビ管1本が立管と接続していて、シンダーコンクリートに横引き管が埋まっていないケースでは、17万~25万円程度といった金額になります。

他社からの見積もりでは、2倍、3倍の見積もり額で、一部屋あたりの工事期間も何日もかかるため、配管を取替えたくても取替えられなくて、困っていた管理組合さんからは、非常に喜んでいただいております。

わたしたちは、中間マージンを極力カットし、作業も手際良く、なるべく早くすむように工夫を重ねているので、短期間かつ低コストでの工事が可能となっています。

この金額であれば、更生工事と変わらない金額になりますね。工事中の騒音の少なさでは更生工事に分がありますが、配管が新品になるということでは取替工事を選択する余地はかなりあると言えます。

また、専有部の排水管についてですが、専有部の排水管は配管自体が細く、また配管の肉厚も薄いため、錆による漏水や詰まりにより水があふれる可能性が高いといえます。しかし、取替えには高額な費用が必要となります。

専有部については流動式セラミックス方式の延命装置であれば、マンションに1台だけ設置するだけで、全室の排水管の保全効果を期待できます。費用も世帯あたり6万円から10万円程度ということで、流動式セラミックス方式の延命装置を設置するというマンションも増えています。

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