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共用部 給水・給湯管の取替え いくらかかる? セントラル給湯の場合

2021年12月18日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新費用

以前の投稿記事で、共用部の給水管や各世帯の水道メーターまわりの配管を取替えるのにいくらかかるかをご紹介しました。

今回は、それに加えて、セントラルの給湯システムの給湯管の取替えもあわせて行う工事の場合、いくらかかるかについての事例をご紹介します。

今回のケースも、下請けを使わず、また管理会社経由ではないということで、相場的にはかなり安い見積もりを提示することができましたので、是非、最後までご覧ください。

セントラル給湯システムというのは、各世帯にそれぞれ設置されている給湯器でお湯を作るのでなく、マンション全体でひとつの大型の給湯設備を設置して、そこでお湯にして各世帯に配る仕組みです。イラスト(1)をご覧ください。

今回のケースでは、受水槽から高架水槽を経て屋上にある給湯設備で、お湯にします。そして、給湯設備で作られたお湯を各世帯に給湯します。給湯設備と各世帯をつなぐ給湯管は2本あり、屋上の給湯設備から各世帯へ給湯する給湯管は、往復の往の字を使って往管といいます。

各世帯で使い切らなかったお湯を屋上の給湯設備に戻す給湯管は、往復の復の字を使って復管といいます。

イラスト(1)

動画

 

今回の工事内容(工事前のイメージ)

それでは、まず、今回の見積もりを提示した工事の内容について、ご説明します。

マンションの世帯数としては、136世帯です。

イラストで順を追って、工事前の給水・給湯管がどのように配管されているかをご説明します。厳密に記載すると、わかりにくいため、省略している部分もありますので、あくまでイメージとしてご覧ください。

揚水管の経路

イラスト(2)では、親メーターから地下の受水槽を経て、屋上の高架水槽に水を揚げる配管を青色の点線で示しています。これは「揚水管」といって、屋内にあるパイプシャフト内を地下から屋上まで各階の床のコンクリートを貫通させて通した1本の配管です。

受水槽内の2台の水中揚水ポンプで水をくみ上げて、揚水管を通して高架水槽に貯めていきます。

イラスト(2)

給水管の経路

イラスト(4)には給水経路をイメージで示しました。

高架水槽から各世帯へは、各戸のパイプシャフト内にそれぞれ配管された給水管の立管、イラストでは青色の実線で示しましたが、この立管から給水されます。

イラスト(3)

給湯管(往管・復管)の経路

イラスト(4)は、セントラル給湯システムを追加したものです。

最初に説明しましたが、高架水槽から屋上にあるセントラルシステムの給湯設備を通して温められたお湯が、各世帯に給湯されます。

使わなかったお湯は、屋上の給湯設備にまで戻っていきます。

なお、各世帯から給湯設備に戻る給湯管の復管は、最近、新しく取替えられていたので、今回の見積もりでは、その部分はそのまま残す前提での見積もりとしました。

イラスト(4)

給水管と給湯管(往管・復管)の経路

イラスト(5)は、給水管とセントラル給湯システムの給湯管である往管と復管を全て載せたイメージ図です。

イラスト(5)

今回の工事内容(工事後のイメージ)

今回の工事後のイメージを、順を追ってイラストで示します。

イラスト(6)をご覧ください。まず、新しい揚水管の経路についてです。

①受水槽方式から、直結増圧方式にすることで、配管内を流れる水量が増えるため、親メーターの配管の口径を50Aに太くします。

親メーターはメーターバイパスユニットというものを設置します。

新しい揚水管の経路

イラスト(6)

②親メーターからの新しい給水経路では受水槽に行かないので受水槽の一次側、二次側の古い配管内は水抜きをします。

③増圧ポンプを設置します。増圧ポンプは、小ぶりで外観に影響しないので、マンションの入り口横の花壇内に設置することにします。

④増圧ポンプから屋上までは、マンションの壁に沿って、イラストでは緑色の点線で示した揚水管を露出配管します。

新しい給水管の経路

イラスト(7)では、各世帯のパイプシャフト内を通る、給水管の立管を新たに設置する状態を緑色の実線で表わしています。既存の給水管の立管を取り除き、新たな立管を設置します。

イラスト(7)

新しい給水・給湯管の経路

イラスト(8)では、給水管とともに、給湯設備から給湯管の往管を新設したイメージをオレンジ色の実線で示しています。パイプシャフト内を通る既存の給湯管の往管を撤去して、新たに配管します。

また、オレンジ色の点線は、新たに新設する給湯管の復管を表わしています。パイプシャフト内を通る既存の復管を取り除き、新たな復管を設置します。さきほども言いましたが、最近取替えられたばかりの地下ピットの復管は、そのまま利用します。

今回の取替工事で露出配管となる箇所は、増圧ポンプから屋上への給水管のみで、その他の配管は全て、パイプシャフト内に新たに設置することになります。

イラスト(8)

屋上の既存配管のレイアウトイメージ

イラスト(9)は、屋上から見た既存配管のレイアウトイメージです。

①の番号を振った青い四角で示した箇所ですが、この下に各世帯のパイプシャフトがあります。

右上に実際の屋上の画像がありますが、緑色の点線で囲んだところで、ここは通常「ハト小屋」と呼ばれています。

ハト小屋から各世帯のパイプシャフトへと配管しています。

②右端のハト小屋から青色の点線が出ていますが、これは地下の受水槽からパイプシャフト内を通って上がってきた揚水管で、高架水槽につながっています。

イラスト(9)

③高架水槽からは、給湯設備とそれぞれのハト小屋に給水管が配管されています。

④給湯設備からも各ハト小屋に給湯管の往管が入っていきます。

⑤右から2番目のハト小屋から赤い点線が給湯設備のほうに向かっていますが、これは各部屋のパイプシャフトから戻ってきた給湯管の復管です。

工事後の屋上の配管のレイアウトイメージ

イラスト(10)では、工事後の屋上の配管のレイアウトイメージを示しています。

①緑色の点線が給湯設備と各ハト小屋の給水管につながっていますが、これは、1階の増圧ポンプからマンションの外壁を露出配管で上がってきた揚水管です。

②今回の工事では、揚水管からの配管は、高架水槽につなげずに、直接、各ハト小屋の新しく設置する給水管につなげていきます。

③また、給湯設備から各部屋に行く給湯管の往管、④各部屋から戻ってくる給湯管の復管も全て、新しく取替えます。

イラスト(10)

なお、屋上の高架水槽については、今回の工事では撤去せず残置します。大規模修繕で大掛かりな足場を組むタイミングで撤去します。そのほうが、撤去代が安くつくからです。

地下の受水槽も、そのスペースを再利用する予定がないので、そのまま残置します。

パイプシャフト内の配管の取替え

画像(1)は各世帯のパイプシャフト内にある給水管と給湯管のサンプル画像です。それぞれ、給水用の水道メーターと、給湯用の水道メーターにつながっています。

今回、各世帯のパイプシャフト内での取替え作業は、水色の線で囲んだ給水管の立管の取替えと、水道メーター廻りの配管のメーターユニット化への変更です。

また、赤色で囲んだ範囲が給湯管ですが、このマンションの給湯管の水道メーターにあうメーターユニットがないため、給湯用の水道メーターのあとの給湯管は取替えないこととしました。

画像(1)

今回の見積もり額

今回の見積もりは、税抜きで2676万円で提示しました。

当初は、工事時期が重なり、外注にも委託する前提で高めの見積もりをご提示いたしましたが、工事時期を業者の都合に合わせていただくという前提で、2676万円での見積もりを再提示しました。

136世帯ですので、世帯あたりでは20万円を切っています。直結増圧化、共用部の給水管、給湯管、各世帯の給水管・給湯管のメーターユニットまわりの配管を取替えて、この見積額ですので、相場よりはかなり安い見積もりをご提示できたと考えております。

相場では、給水管の取替えだけで、この値段になる場合もあります。

いかがでしょうか。今回の投稿記事では、配管保全センターによる提案では、相場よりもかなり安い値段で、取替え工事の見積もり額を提示できているということを実感していただけたのではないでしょうか。

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