マンションの給水管・排水管を取り巻く現状

2020年4月5日

2019年11月27日 配管保全センター㈱代表取締役 藤田崇大

水漏れ多発! 専有部の給排水管の保全費用は修繕積立金でカバーされず自己負担!

築30年以上のマンションストックの推移

過半数が「永住するつもり」

国土交通省の試算では、令和20年末には築30年を越す分譲マンションが約560万戸に達し、マンションの経年化が社会問題となる可能性が示唆されています。それと共に、昭和55年度には6割近くあったマンションの「住み替え意識」も年々減り続け、平成11年度には今、住んでるマンションに生涯住み続ける「永住意識」が上回りました。

平成30年度には6割以上が「永住意識」に切り替わって、その数が年々増えています。

現状維持のための大規模修繕が課題に

マンションでの永住意識の推移
出典:国土交通省

「永住意識」を持つマンション住民が増えるなかで、マンションの外壁や防水機能、各種設備の劣化は年月の経過とともに進みます。生涯にわたり住み続ける場合、良好な住環境をいかに保ち続けるかが住民の大きな課題となります。

そのために行われるのが大規模修繕です。マンションを居住空間として維持するためにも、また資産価値を落とさないためにも大規模修繕は12年~15年周期で定期的に行う必要があります。これには多額の修繕積立金が使われるので、「いつ、どこを」修繕するのかといった、詳細な修繕計画を前もって立てておく必要があります。

大規模修繕は適切なタイミングで行なわれれば、予算の範囲内で済みますが、タイミングを逃したために、劣化が進んで思わぬ出費となることがあるからです。たとえば、外壁塗装の場合、塗り替え時期が遅れたために、外壁の中のコンクリートの腐食が進んで、コンクリート自体を補強しなければならず、管理組合は修繕積立金から予定外の出費を余儀なくされます。

それでも、まだ1回目の大規模修繕では、修繕費がかさんで予算が足りなくなる管理組合はほとんどないといえるでしょう。

修繕積立金の不足が大きな問題に

ここで、管理組合では修繕積立金をどれくらい貯めているかを知っておく必要がありますが、分譲マンションの販売時には、売りやすくするための方策として、購入時の修繕積立金は実際に必要となる積立額よりも、かなり低く設定されているケースがほとんどです。

修繕積立金は管理費の一部として、区分所有者の口座から引き落とされるため、修繕積立金として積み立てられている金額がいったいいくらなのか? 管理組合の理事にでもならない限り、その額を知ることはありません。

築25年~30年になると、2回目の大規模修繕が実施されますが、2回目で予定される工事費の全額をまかなうだけの修繕積立金が残っていないといったケースも見られます。あるいは、2回目の大規模修繕は大丈夫だが、3回目のことを考えると、今の積立額では確実に足りなくなるといった管理組合が非常に多いのが現状といえます。

そのような場合、管理組合として区分所有者に多額の一時金の支払いを要請したり、月々の修繕積立額を大幅に上げたりといった対応をすることになります。ただ、分譲当時から住んでいる区分所有者は60歳~70歳代になっている場合も多く、新たに積立額が増額されたり、一時金を支払ったりは、当然大きな負担となります。管理組合の総会で一時金の支払いや積立金増額の合意を得ることが困難となり、築25年~30年以降の大規模修繕が行えない管理組合も見られるようになります。

後回しで危険度がます給水管・排水管

さらに、大規模修繕では、外から見て明らかに劣化しているとわかる外壁や防水の改修工事は行われますが、目に触れにくい給水管・排水管の改修工事は、後回しとなるケースがたいへん多いのが実情です。

給水管・排水管の水漏れは、築20年ごろから急激に増え始めるので、その前に、必ずメンテナンスしておく必要があるといえます。これは人間の体でたとえると、外見は目に見えるのでエステティックで一生懸命にメンテナンスしますが、血管は見えないので、血液がドロドロの状態であっても放っておかれ、その結果、大きな病気を引き起こすことになるといった現象に例えることができるでしょう。

管理組合のなかには、長期修繕計画を立てていない場合もあり、近い将来、給水管・排水管のメンテナンスが必要になることを認識すらしていないこともあります。

60歳~70歳代になってから、「給水管・排水管のメンテナンスにこれだけの費用がかかるから一時金を徴収したい」と言われても、まさに寝耳に水で、「とてもうちでは払えきれない」と答える方も、実際にかなりの数になるといえます。そのためにギリギリの状態になってはじめて、どうすべきか住民の間でもめることになるのが給水管・排水管保全の問題といえます。

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水漏れは主に各自が保全すべき専有部で発生

漏水事故の発生頻度が高いのは専有部の給水管・排水管

そもそも水漏れはどれくらいの頻度であるのでしょうか? 
下の表は、国交省の平成30年度マンション総合調査結果で発表された内容をもとに築年数ごとの「分譲マンション内でのトラブルの発生状況」(302ページ目・337ページ目)を抜粋して記載したものです。築年数が経つほど水漏れトラブルを抱えている割合は増え、築44年以上では、なんと50%以上の割合となっています。(給排水設備の修繕工事は、外壁塗装等の大規模修繕と比較して実施率が極端に低い状況が一因とも考えられます)

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マンション 築年数毎の水漏れ事故発生確率

この調査結果では、「水漏れ」とひとくくりにされていますが、特に専有部の給水管・排水管は肉厚が薄く細く、共用部の給排水管よりも水漏れトラブルの発生頻度が高くなっています。

また、ご参考までに下の図に示したイメージのように、錆びによる鋼管の腐食のスピードは、高経年になるほど加速されます。

専有部の給水管・排水管補修は自己負担

マンション 給排水管

さらに、認識を新たにしておきたいのは、修繕積立金は共用部のみ適用されるのが原則であるということです。

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管理規約に「専有部の配管の保全にも適用される」といった記載があれば専有部にも修繕積立金を使うことができますが、専有部の横引き管で水漏れが起きた場合、区分所有者は専有部を自腹で改修する必要があり、その金額は思っているよりもずっと高額となるケースが多いということです。給水管・排水管の設置状況にもよりますが、50万円から100万円以上(自社調べ)を個人で補償する場合もあります。

また、知っておきたいのは水漏れを起こした部分の配管の取替え費用は、原則としてマンションの火災保険は適用されないということです。ほとんどの場合は事故を起こした住民が高額の出費を強いられることになります。

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動画5分45秒