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配管がステンレスや樹脂管の場合 共用部給水管は取替え必要か 長期修繕計画の考え方
2024年7月26日
この記事のカテゴリー :
給水・給湯管の保全
築25年以上のほとんどのマンションで、共用部の給水管にライニング鋼管という鉄管に分類される配管が使われています。 鉄管の仲間なので、錆びによる漏水リスクがあり、長期修繕計画上には築30年、40年に一斉更新するための予算が計上されているマンションも多いといえます。 一方、築年数が若いマンションでは、共用部の給水管をステンレスや樹脂管といった錆びない材質にするところも多くなってきました。 このように給水管をステンレスや樹脂管にしているマンションの管理組合さんから、「これらの給水管も何年後かに一斉更新するための予算を組んでおいたほうがいいのでしょうか?」というお問合せをよくお受けします。 漏水リスクがほぼないのに、多額の予算計上をしておくと、他の修繕に予算が回せなくなり、修繕積立金額を値上げしなければならないことにもなりかねません。 今回は、共用部の給水管をステンレスや樹脂管にしているマンションで、それらの配管の取替え費用を計上する際に、どのように考えればいいのかについてお話しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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一般的に言われている耐用年数
それでは、まず、ステンレス管と樹脂管であるポリエチレン管について、一般的に言われている耐用年数ですが、どちらも30年から40年と言われています。 配管の耐用年数については、どの配管についても、短めの年数で言われていることが多いといえます。 ちなみに、鉄管や銅管でも築60年経っても漏水していない場合も多数ありますし、逆に、銅管で築20年経たずに、漏水が始まる場合もあります。
配管の置かれている環境や、施工状態等でも配管の寿命は変わってきます。耐用年数というのは、あくまで目安ですから、耐用年数が40年だから必ずそのあたりで一斉に取替える必要があるかというと、それは状況によると考えております。 関係省庁や、関連協会にも問い合わせてみましたが、明確に耐用年数というのは定義されていませんでした。 なお、管理会社によっては、耐用年数は半永久として、長期修繕計画上に取替え費用を計上していない場合もあります。 ステンレスの場合は、ステンレス自体は半永久ですが、継手のパッキンが半永久ではないという考え方もあります。 これが正解というものが今のところなく、それぞれの管理組合での判断となるのが実情です。
内視鏡調査をする意味はあるか
「取替え時期を見極めるために、ステンレスやポリエチレン管の劣化状態を内視鏡等で見ればいいのではないか?」という問い合わせもよくいただきます。 私自身としては、ステンレスやポリエチレン管の配管内を内視鏡で調査することは、ほとんど意味がないのではと考えます。
受水槽や高架水槽は毎年、清掃しますが、配管内も同じように汚れるといえます。 配管内にヌメリが付着して、配管の表面がまっ茶色になるまで汚れている場合も多数ありますので、ヌメリの状態を確認して、必要であれば、配管内を洗浄することは、衛生面を考えると意味があると思います。 ただ、これらの配管の場合、内視鏡調査で漏水しそうかどうかの検証はできないため、配管を取替えるべきかどうかという観点で内視鏡調査をすることは、ほぼ意味がないといえるのではないでしょうか。
長期修繕計画での考え方
ということで、ステンレスやポリエチレン管の共用部給水管の取替え費用を長期修繕計画で、どのように予算化しておくかということについてお話します。 結論から言ってしまえば、正解はなく、管理組合でどのように判断するかによりますが、パッキンがどれくらいもつかという懸念点もあるので、予備費として計上しておくとよろしいのではないかと考えます。 一斉更新すると、世帯あたり例えば20万円かかるとして、100世帯なら20万円×100世帯で2千万円になります。 この総額費用の2割の400万円を予備費として計上しておくという考え方です。 予備費として2割が妥当なのか、1割でいいのか、もっと必要なのかについても、正解はありませんが、少なくとも一斉更新することを想定して、修繕費用を値上げすることが本当に必要なのかについては、住民間でよく話し合った上で決めることをお勧めします。
上手くいけば、半永久的に持つ可能性もあります。また、今後、10年、20年と経てばステンレスもポリエチレン管も劣化が進み、各マンションでの漏水状況も把握できるようになると考えられます。 その時点で、「うちのマンションももう少し、予備費として組んでおいたほうがいいだろう」といった対応をしても現時点では遅くはないと考えます。 なお、さきほど話題に出ましたが、配管内の衛生面を維持するために、10年~20年に1度、給水管内の洗浄費用を計上しておくのもいいでしょう。 また、洗浄費用自体も削減でき、ヌメリ防止及び、排水管の詰まりの抑制効果も期待できる延命装置設置を検討するのもよろしいかと考えます。
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