2021年10月16日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い
表①
給水管も排水管も、どちらも年数的には同じですね。更生工事であれば、従来は15年周期でしたが、改定後の目安としては19年~23年と幅を持たせています。 また、取替えとありますが、これは更新工事ですね。従来は30年でしたが、改定後の目安としては30年~40年となっています。表②
この結果から、今回のガイドラインで示されている修繕周期の改定の意図を考えると、 「水漏れや詰まりによる水のあふれがなるべく発生しないように、早め早めに修繕するとよい」 「できれば30年目あたりに更新。遅くとも40年くらいまでには更新しないと漏水事故が多くなる」 という意味合いで作成されています。 ただ、上の表でも明らかですが、実際には、予算不足で特に排水管まで手を付けられないという管理組合さんも多く、それでも水漏れが全然起きていないというところも、それなりにあります。修繕周期はあくまで目安として考えて、自分のマンションの配管の劣化状況に応じた保全策を施していくことが大切と言えます。イラスト①
画像①
表③
専有部の配管は、共用部の配管よりも細くて肉厚も薄く、漏水や詰まりが起こりやすいので、28~32年と共用部の修繕周期よりも短めに設定されていることがわかりますね。 なお、築25年以上のマンションの給湯管でよく使われる銅管が、実はもっとも漏水リスクが高いと言えるのですが、今回のガイドラインでは給湯管の銅管については記載がないようです。 また、排水管についてですが、リフォームやリノベーションをしていない限り、ガイドラインに記載されている築32年までに取り替えたマンションは、あまりないのではないでしょうか。それでも、築40年、築50年でも延命処置を行っていれば、漏水や詰まりがそれほど発生していないところも増えてきています。 給水管・給湯管と違い、専有部の排水管の更新は、かなり費用がかさみます。 築70年、80年まで住み続けるのであれば、取替えも必要となってきますが、それよりも短い年数までであれば、延命処置によって取替えの必要性が低くなる場合もありますので、予算と相談しながら適切な保全処置を検討することをお勧めします。 また、築20年以前のマンションであれば、樹脂管が多く、劣化による樹脂の破損も起こりにくいので、給水管・給湯管・排水管ともに、もっと周期は長くていいといえます。 何度も申し上げていますが、今回の改定はあくまで目安ということになります。また、長期修繕計画は、予算を確保するために、余裕を持って、早め早めに修繕が計画される類のものです。 このガイドラインをうのみにせず、マンションごとに状況をしっかり把握して、きちんと適切に保全をしていくことが肝要ですね。