2021年5月18日
この記事のカテゴリー : 受水槽の保全・直結化

⚠️ この記事の費用情報は2021年時点のものです。
その後の資材費・人件費の高騰により、受水槽の取替え費用・更生工事費用ともに上昇しています。
昨今では、受水槽が古くなると新しいものに取替えるのではなく、直結化するマンションも多いかとは思います。 とはいえ、諸事情から直結化ではなく受水槽の取替えを選択する組合さんも数多くいらっしゃいます。
ここでは、首都圏のマンションで実際に見積もりを行ったケースで、どれくらいの費用になったのかをお話します。 また、受水槽の取替えの検討を行う際の留意点についてもお話します。
今回のケースでの概要ですが、世帯数は27世帯でワンルームが多いマンションです。受水槽は、地下ピットに設置されています。
地下ピットの入り口は画像①のサンプルのように、ロビーの床下や管理人室の床下、場合によっては屋外の花壇内にあったりしますので、「うちの受水槽はどこにあるかわからない」という方も意外と多いのではないでしょうか。
画像①
地下ピットに受水槽が置かれている場合には、画像①の左下の写真のように、狭い入り口を垂直にハシゴで出入りする必要があります。
屋外に設置されている場合と比較して、既存の受水槽の撤去や新しい受水槽を組み立てるには、労力を必要とします。
撤去する受水槽と、新設する受水槽のそれぞれのサイズは、イラスト①のように ・撤去する受水槽:1.5×2.5m 高さ2mで容量としては7.5㎥ ・新設する受水槽:1.5×2m 高さ2mで容量としては6㎥ にサイズダウンしたものでの見積もりとしました。
イラスト①
受水槽を取替える工事をしている間、断水になってしまうので、通常は、仮設の受水槽を組みます。 今回は、設置スペースがないため仮設の受水槽を組まずに、いっきに2日で取替工事を行いました。断水自体は1日のみです。
見積もり額としては、税抜きで265万円でした。(※2021年時点の見積もり額です。現在は資材費・人件費の高騰により上昇しています)
今回の見積もり額は、1例です。 ・仮設の受水槽を組むか組まないか ・地下ピット内に適度な作業スペースがあるか ・新設する受水槽のサイズ ・仲介業者が何社入るか 等の要因で見積もり額は異なってきます。
それでは、受水槽の取替工事を行う際の留意点について、見ていきましょう。
今回は大きく3つのポイントを上げました。 1つめは、「本当に取替工事を行うべきなのかをまず検討すべき」 次に、「選択肢として他に方法がないかを検討すべき」 最後に、「取替えを行う場合は、新設する受水槽のサイズを再考すべき」 です。
受水槽の寿命は、FRP(強化プラスチック)製では20年程度と言われていますが、実際に20年で取替えるところはあまり見かけません。
長期修繕計画上では、屋外の受水槽なら30年、地下ピット内なら35年といった期間にしているところが多くみられます。
イラスト②のように、屋外ではなく、地下ピット内に設置されているのであれば、紫外線による劣化の進行度合いも少なく、寿命としてはもっと延びると言っていいでしょう。
また、外側を大規模修繕の時期に塗装することで、実質的にはもっと更新時期を延ばしているマンションもあります。塗装費用としては更新の10分の1程度の費用です。
イラスト②
「長期修繕計画では、取替えの時期になっているから、とにかく取替える」といったことでなく、信頼できる第三者に取替の妥当性をアドバイスしてもらいつつ、少ない費用で必要なメンテナンスも行っていくことは、大切な修繕積立金を有効に使っていく上で”大事なひと手間”と言えます。
劣化が進んでいるので取替えを実施すべきという判断になったとしても、更生工事による延命や直結化方式への変更といった他の選択肢も検討すべきです。
一部のみが激しく劣化していて、そこだけ修理すればまだ延命できるような場合は、受水槽のパネルと同じ材質の樹脂でコーティングしなおす更生工事の可能性も模索する価値はあります。
画像②に受水槽の各部の画像を載せています。
赤丸で囲まれた部分がパネルと呼ばれているものです。
緑丸で囲まれた部分は電極棒と呼ばれており、受水槽内の水位を監視するためのセンサーの役割をしています。
黄色のマルで囲んだ部分は受水槽を固定する外枠です。
画像②
今回の見積もり提示の際も、12個のパネルのコーティングと、壊れた電磁棒の交換、それから架台の鉄部がサビていたので、その部分の補修を行なえば、まだまだ使えるという判断のもと、税抜き45万円の更生工事の見積もりも合わせて提示しました。(※2021年時点の見積もり額です)
取替えと比較すると約6分の1のコストですね。
延命策を講じずに、例えば30年サイクルで受水槽の取替えを行うと、イラスト③のように100年マンションを目指しているようなマンションの場合、1度ならず、2度、3度、受水槽の取替えを行うことになります。
延命策を講じ、40年に1度、50年に1度と取替えのサイクルを伸ばしていけば、例えば築80年まで住み続けるような場合、受水槽の取替えサイクルは1度だけで済みます。
イラスト③
受水槽が設置されているスペースの有効活用や、飲料水としての衛生面での向上といった目的で、多くのマンションが受水槽方式から直結方式に変更しています。
直結化に変更する場合、低層階マンションであれば、地域によっては増圧ポンプも不要となることもあります。
大幅なコストカットになるので、その可能性についても検討する必要はあるでしょう。
今回の見積もりでは、受水槽をサイズダウンして、その分、価格を抑えた提案を行いました。
イラスト④のように、竣工時には、ファミリータイプのマンションの場合は、1世帯あたりの家族の人数が平均で4人程度と試算して大きめの受水槽を設置することが多いのですが、築30年・40年となるにしたがって、一般的には世帯あたり平均2名~3名程度に減ってくるため、受水槽をサイズダウンできるのです。
それから、壁と受水槽の間は60㎝以上開けなくてはいけないという法令がありますが、古いマンションではこの法令に抵触している場合が、少なくありません。
受水槽を新設する場合には、法令に遵守しているかどうかのチェックも必要で、受水槽をサイズダウンすれば、この問題もクリアできます。
イラスト④
受水槽の大きさが大きければ、 ・スペースが無駄になる のは当然として、 ・点検費用や修理費用がかさむ ・利用水量が減ると、受水槽に水道水が滞留している時間が長くなり、衛生面での問題も生じる可能性がある といったデメリットがあるため、単純に、同じサイズの受水槽を新設するのでなく、適正なサイズのものを設置するようご留意ください。
受水槽の大きさの計算式は、様々な方法がありますが、目安として、 1日あたりの一人の利用水量を250ℓとして、全員の利用水量の4割~6割程度を貯められる大きさとなります。
大切な修繕積立金をなるべく有効利用して、快適なマンションライフを過ごすためにも、今回説明した3つの留意点について、検討されるといいと思います。
配管保全センターでは、受水槽の取替え工事、延命工事、それから給水管・排水管の取替え、延命、パイプシャフト内の水道メーター周りの取替え等について、住民の立場に立った最適なご提案をしておりますので、お気軽にお問合せください。
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📅 この記事は2026年4月に最新情報への追記を行いました。
