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マンションの赤水対策 無駄なく最低限の費用で行う6つのステップ

2019年7月27日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全

著者:配管保全センター㈱ 代表取締役 藤田崇大

まずはじめに、赤水の原因を特定しましょう。

赤水が発生する原因は、全てのマンションで同じではなく、それぞれのマンションで異なります。それほどコストをかけなくても、ある程度まで原因を特定できるので、「赤水が出た。大変だ。すぐに配管を交換しなくては!」という行動に出る前に、まずは原因の特定をしてみましょう。

ステップ① 赤水が出た蛇口からの水をチェック

  • 近所で水道工事があったりすると、一時的に赤水が出る場合があります。また長期の旅行や出張のあとも赤水が出やすい状態になっています。少し水を出しっ放しにしたあとで、洗面器に水をためてチェックしてみてください。それでも赤水がなくならないのであれば、一時的なものではないので、簡易的な浄水器を設置すれば応急措置になります。ただし、赤水が出ているということは給水管から水漏れするリスクはとても高いので、引き続きステップ②の確認を行うことをお勧めします。

ステップ② 住居内の他の蛇口からの水をチェック

  • 特定の蛇口からだけ赤水が出て、他の蛇口からは出てこないのであれば、管理会社に配管の材質を聞いてください。「コア内蔵」(下の写真)、「管端コア」といった材質であれば、水道メーターから蛇口までの給水管だけがコア内蔵、管端コアの処理が不完全である可能性があります。極力お金をかけたくないのであれば、当面は赤水が出てくる蛇口に簡易的な浄水器を設置し、他の蛇口からも赤水が出てくるか、しばらく状況を確認してみるのも1つの方法です。ただし、特定の蛇口だけとはいえ、赤水が常に出ている状態というのは、その給水管の漏水リスクはかなり高く、他の給水管でも同様の可能性が高いので、ステップ③の確認を行ったほうが賢明といえます。

  • コア内蔵継手:きちんと施工していれば錆びにくい
  • なお、コア内蔵、管端コア処理がされていない給水管の場合は、他の蛇口までの配管も同じ状態になっている可能性が高いので、ステップ③の確認を行うことをお勧めします。

ステップ③ 全世帯で赤水が出ているかをチェック

  • 他の世帯では、赤水が出ないのであれば、さきほどのコア内蔵、管端コア処理がその世帯だけ不完全であった可能性があります。その際は、漏水事故対策として、特定の給水管のみ交換することも1つの選択肢となります。ただし、他の世帯も同様であるリスクが残っていますので、それほどコストをかけずにできるステップ④の確認もお勧めします。

ステップ④ 受水槽および専有部の蛇口からの水質をサンプリング調査

  • 受水槽のあるマンションでは定期的に水質調査を行っているので、まずは前回の水質調査結果を確認してみてください(鉄濃度の調査は省略されている可能性がありますが、改めて実施しても1万円程度で調査可能です(一般財団法人日本食品分析センター 水質検査料金))。

    それから専有部の蛇口からの水質調査をしてください。全ての蛇口を行うのは大変ですので、給水管の竪管の系統ごとに1つの蛇口でまずは調査してみることをお勧めします。これにより特定の系統のみ給水管の錆びが進行しているのか、あるいは全体的に錆が進行しているのかを把握でき、予算に合わせ対策が可能となります。

ステップ⑤ 内視鏡調査  各世帯のパイプシャフト内の水道メーター回りと専有部の給水管

  • ステップ④と比較するとステップ⑤の調査は若干コストがかかりますが、内視鏡による調査を行えば、給水管の錆びの進行度合いがより精度高くわかります。給水管の材質や、コア処理しているか否か、水道メーターと給水管との接続部が異種金属接触していないかなども併せて確認します。それにより、錆びの進行度合いが早い水道メーターまわりのみを交換すればいいのか、あるいは専有部内の漏水事故対策も行う必要があるのかといった判断が可能となります。

ステップ⑥ 赤水を解消し、漏水事故を起こさないための対策

赤水の多くはマンションの専有部まわりの配管が錆びることで発生します。発生場所として最も多いのは、以下の二箇所です。

水道メーターまわりの配管

赤水の出ている世帯の水道メーターまわりの配管を錆びない材質に交換する

築20年以上のマンションでは
・水道メーターの材質 : 砲金(ほうきん、銅と錫(すず)の合金)
・水道メーターと接続している給水管 : 鋼管(ライニング鋼管、亜鉛メッキ鋼管(いわゆる白ガス管))
の組み合わせが多いといえます。

この場合、種類の異なる金属同士が接触して鋼管側が錆びる”異種金属接触腐食”が赤水の原因となります。この異種金属が接触している部分は築年数20年程度でも、錆びコブにより配管の閉塞率が80%以上となっている場合も珍しくありません。
なお、赤水が出た世帯で、床下の給水管がライニング鋼管で、かつ継手部分がコア内蔵・管端コア処理をしているマンションでは、床下の給水管が原因で赤水が出るケースは比較的少ないといえます。このような配管状況(専有部内はコア内蔵・管端コア処理がされている)の場合には、「赤水の出ている世帯の水道メーターまわりの配管を錆びない材質に取り換え、他の世帯に関しては様子を見てみる」ことにします。これは、費用をかけられない場合の1つの方法といえます。

②専有部の床下の配管

配管のオゾン洗浄/ライニング工事/配管の交換/配管保全装置「エルセ」

築20年以上のマンションでは、鋼管を利用しているケースが多く、赤水が発生するパターンとしては以下が考えられます。

Ⅰ.亜鉛メッキ鋼管(白ガス管) : 年数が経つと鋼管部分がむき出しになった部分が腐食して赤水の原因となることが多い
Ⅱ.ライニング鋼管 : 継手部分が腐食して赤水の原因となることが多い
Ⅲ.ライニング鋼管(コア内蔵・管端コア処理) : 継手部分の施工不良により水と鋼管が接触する箇所がある場合はそこが赤水の原因となりえるが、継手部分に何も処理を施していない場合よりも赤水が発生する可能性は低い

Ⅲの場合は、赤水の出ている世帯のみ赤水対策を行い、他の世帯に関してはいったん様子を見てみることは、それほど費用をかけられないのであればひとつの選択肢となります。

とるべき赤水対策としては、ケースバイケースで以下のような方法があります。

・配管のオゾン洗浄

:専有部の床下の配管のみが赤水の原因であった場合、洗浄後はすぐに赤水が解消される可能性があります。ただし、水と鋼管は接触し続けるので、経年により赤水が再発する可能性があるため、何年かに1度、オゾン洗浄作業が必要となることが多いといえます(腐食によって漏水事故が起きた場合、保険でカバーすることは難しくなってきています)。

・ライニング工事(更生工事)

錆を砂等で削り取り、その上から樹脂を被膜する工法です。専有部の床下の配管のみが赤水の原因であった場合、施工後はすぐに赤水が解消されます。保証期間が過ぎると水と鋼管が接触し始めるため、補償期間後は別の対策が必要となります(保証期間後は、腐食によって漏水事故が起きた場合、保険でカバーすることが難しくなってきています)。

・配管の交換(更新工事)

専有部の床下の配管のみが赤水の原因であった場合、施工後はすぐに赤水が解消されます。配管を錆びない材質に取り換えるので更新後は赤水が再発する可能性はほぼなくなります。ただし工期が長く、費用が高額となります。管理組合が主体で、全戸の配管を交換する場合は、各世帯から数十万から100万円前後の一時金を徴収するケースが比較的多いといえます。

・配管保全装置「エルセ」

  • 専有部の床下の配管のみが赤水の原因であった場合、施工後、徐々に赤水が解消されます。
    専有部内での作業はなく、1日程度で工事が終わり、専有部の排水管を含めた保全効果を期待できます。
    費用的には配管の交換の数分の1程度です。専有部の配管保全のために高額な一時金を各世帯が追加負担する必要性は低いといえます。
    配管保全装置「エルセ」についてはこちら

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