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マンションの個人賠償の包括特約を解約したい管理組合さんへ

2019年12月28日

2019年11月27日 配管保全センター㈱代表取締役 藤田崇大


マンションの漏水事故対策で気軽に加入できる個人賠償保険はあるか

火災保険の契約期間の満期が近付き、次の契約期間の保険料の見積もりを見ると個人賠償責任の包括特約の見積額が何倍にも値上がりしたため、包括特約だけを解約できないか検討されている管理組合が増加しています。

でもちょっとお待ちください。安易に解約すると、住民が高額な損失を被むるリスクが生じます。

解約にあたって、これから述べる5つの大切な心得を住民によく説明して少しでもリスクを抑えるようにすることをお勧めします。

大切な心得① 各自が火災保険の水濡れ特約に加入しているかを確認
大切な心得② 求償権のリスクを理解させ個人賠への加入を促す
大切な心得③ 個人賠に簡単に安く加入できる方法も提示する
大切な心得④ 個人賠に未加入の世帯が増える可能性が高いことを理解してもらう
大切な心得⑤ 個人賠では給排水管の老朽化による水漏れはカバーされない可能性を認識してもらう

管理組合の理事会として忘れてはいけない大切な5つの心得

大切な心得① 各自が火災保険の水濡れ特約に加入しているかを確認

 

上の階で水漏れが起きて下の階に損害を及ぼした場合、上の階の人が個人賠に加入していなければ、下の階の損害を上の階の人から補償してもらうことは難しくなります。下の階の人が火災保険の水濡れ特約に加入していれば、その特約で受けた損害を補償することができます。

以前は、マンション購入時に35年間の火災保険に加入している住戸が多かったのですが、現在では10年間が最長の契約期間です。
「被害を受けた下の階の人が火災保険の継続契約を忘れたり解約をしていた」
上の階の人が個人賠に加入していなくて、かつ自己負担による賠償に応じてくれない」
といった条件が重なると、下の階の人は自腹で改修費用を負担しなくてはいけない事態が生じかねません。

火災保険の水濡れ特約に加入していれば、万が一、賠償してくれない場合でも自分の水濡れ特約でカバーできるので安心です。

管理組合で加入していた包括特約を解約する際には、
1.各世帯が火災保険の水濡れ特約に加入しているかどうか確認し、加入していない場合は加入を促す
と同時に
2.各世帯に個人賠の加入を促す
上記2点を理事会として説明することが大切です。

大切な心得② 求償権のリスクを理解させ個人賠への加入を促す

逆に「階下の人が火災保険に加入するなら、自分は個人賠に加入しなくてもいいや」という考えは危険です。自分が加害者になり階下の人が加入していたA保険会社の火災保険で、階下の損害をカバーした場合、のちのちA保険会社から支払った額の支払請求が来る可能性があります。

 

A保険会社は、被害を受けた階下の人に保険金を支払う義務がありますが、その保険金を支払うことになった原因の加害者に、支払った保険金の金額を請求できる権利を持っています(求償権)。マンションで水漏れが多発しているこのご時世で、自分が加害者となり保険会社から高額な支払い請求が来てしまう可能性はあります。個人賠に加入していれば、加害者になったときにこの個人賠でカバーできるので、階下の人の火災保険に安易にたよらず、きちんと個人賠に加入して自己防衛すべきであることも各世帯にきちんと説明することが大切です。

 

大切な心得③ 個人賠に簡単に安く加入できる方法も提示する

さきほどの大切な心得①で各世帯が加入する火災保険の個人賠特約に加入するのが、お手軽と思われますが、火災保険加入という新たな出費を増やしたくないという方もいらっしゃるかもしれません。ご参考までに、保険料が安めの保険商品としては、例えば

「こくみん共済」 他人の住居からの水濡れの保証を含む火災保険 1口2.5円/月
(個人賠償保険の特約(200円/月)を付加したい場合は、最低30口の加入が必要です)
といったものがあります。
例:火災保険100口で1150万円補償で月250円/月と個人賠償保険200円/月
※値段が安い分、必要な補償がカバーされていない可能性もありますので補償内容については、十分吟味ください。

「出費もかさむし火災保険にどうしても加入したくない」といった方もいらっしゃるかも知れませんが、管理組合としては「住民同士の金銭的なトラブルを避けるために住民の方々に個人賠償保険にだけは加入してもらいたい」と思われるのではないでしょうか。

ご参考までに簡単かつ安く加入できる個人賠償保険の商品例をあげておきます。
・楽天少額あんしん保険 120円/月 補償額:1億円 条件:楽天銀行に口座保有の楽天会員 満69歳以下
・JCBトッピング保険 150円/月 補償額:1億円 JCBカード会員 20歳~満74歳
・ヤフーちょこっと保険 150円/月⁺40円/月(本人 障害入院型) 補償額:1億円 条件:ヤフーウオレットに加入 20歳~満68歳以下
・三井住友カードのポケット保険 150円/月⁺40円/月(本人 障害入院型) 補償額:1億円 条件:三井住友カード会員 20歳~満65歳以下
自動車保険は、自動車を保持している方が対象で、マンションの全戸を網羅するのが難しそうなので、除外しました。

なお、年齢制限のないものとしては以下のようなものもあります。
・あんしん生活パック 570円/月 補償額:5千万円

※令和元年12月25日時点の情報です。日々、変わっていますのでこのページをご覧になるタイミングで料金が変動している可能性があります。
※上記記載の条件は、目立った条件でほかにも職種であったり過去何年かで一定額以上の障害保険を請求または受領したことがないといった条件があります。
※上位コースがある商品もあります。
※実際の詳細条件はご自身でご確認ください。

大切な心得④ 個人賠に未加入の世帯が増える可能性が高いことを理解してもらう

組合が包括特約解約時に、全住戸に個別の火災保険と個人賠償保険に加入してもらうことが理想です。その際に、全住戸に保険への加入を証明する保険証券のコピーを提出させることで、加入状況を把握できます。

ただし、保険への加入は個人の自由であり、通常の管理規約では、火災保険や個人賠償保険に強制加入させることはできません。保険証券のコピーの提出の義務化を仮に行おうとすると、管理規約を変更する必要があります。管理規約変更のためには4分の3以上の同意が必要であり、そもそも、そこまで管理組合が個人に強制していいのかといった議論もあり、規約を変更するのは、現実的には難しいと思われます。

また、仮に包括特約の解約時に、全戸が個別に保険に加入したとしても、将来的には物件の売却等により区分所有者が変更になる可能性もあります。新しい区分所有者火災保険や個人賠償保険に加入しているかを確認し、加入していない場合は加入を促すことを継続的に行うことも現実的には難しいと思われます。

また、個人賠の解約はいつでも可能ですし、継続加入したくても商品によっては年齢制限で加入拒否されてしまうケースもあります。自動車保険やインターネット会員の解約により、個人賠も解約になることまで住民に意識してもらことは、難しいと思われます。

住民ひとり一人が意識的に個人賠への加入を継続しないと、未加入率が増えて、高額な損失を被るリスクが高まるということを理解してもらうことも、とても大切です。そのためにも各自の火災保険への加入の大切さも合わせて継続的に啓もうすべきと考えます。

 

大切な心得⑤ 個人賠では給排水管の老朽化による水漏れはカバーされない可能性を認識してもらう

個人賠償保険も、不注意の事故が対象です。全戸が個人賠に加入したとしても、経年劣化が原因の水漏れ事故での階下への賠償費用は個人賠償保険ではカバーできない可能性があります。また、専有部内で事故を起こした配管の取替費用は、火災保険ではカバーされないケースが多くなっています。

組合全体で苦労して、各世帯に個人賠と火災保険に加入し続けてもらっても、老朽化による水漏れがカバーできなければ、何のための苦労かわからなくなってしまいます。

なお、組合が加入している個人賠の包括特約も個人賠には変わりないので、経年劣化による水漏れは保険ではカバーできないことが多くなってきています。給排水管保全装置「エルセ」を設置してエルセ保険に加入すれば、共用部・専有部の配管の内部腐食による水漏れ事故、配管の取替費用もエルセ保険でカバーできます。老朽化による水漏れ対策に組合としてどう取り組むかを話し合うことも大切です。