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保険適用外となる漏水事故事情

2019年10月19日

2019年5月7日 配管保全センター㈱代表取締役 藤田崇大

漏水事故を起こしても配管改修や経年劣化による

階下への補償は保険でカバーされない現実!!

保険の適用原則


もし、マンションで配管からの漏水が起きても、「漏水事故による配管の改修や階下への賠償費用は、今入っている保険でカバーされるから大丈夫」と、ほとんどの方は思っているのではないでしょうか。

漏水事故は保険でカバーされるのか?というと、残念ながら経年劣化が原因の場合、原則カバーされていません。そもそも保険とは「偶発的な事故に備える」ことが基本原則です。従って、偶発ではなく必然の事故は、保険の適用対象外となります。

偶発的な事故とは、たとえば、何かがぶつかって洗面台下の露出した配管が破損し、階下が水浸しになったといった場合です。

一方、錆などによる経年劣化で給水管・排水管が漏水を起こした場合、偶発でなく予測可能な必然的な事故と考えられ、保険適用の対象外となる場合が多くなります。

(経年劣化による漏水であっても、管理組合が調査費用特約保険に加入していれば、カバーされる場合もあります。1事故あたり100万円程度まで支払われるので、この保険で改修費用が下りたというケースもあります。ただし調査費用特約でも同じマンションで何度も漏水事故を起こしてしまうと、おりなくなる可能性が高くなります。)

配管の保全をしないのは管理不行き届き!?


なぜ、経年劣化による漏水が必然の事故とされるのか? それは次のような理由からです。たとえば、マンションの配管を何もケアすることなく放っておけば、年ごとに古くなります。劣化は自然現象であり、必然といえます。ここで漏水が起きても、それは予測できたことであり、必然的な事故とされるのです。

このことは車両保険を例にとるとわかりやすいでしょう。車は車検をして整備を済ませなければ車両保険が適用されません。同じように、マンションの配管も漏水が起きないように配管を保全しておくことが、保険加入の前提となるのです

漏水が起きたということは、配管を保全する管理を怠った「管理不行き届き」となり、保険適用はされないというのが基本的な見解となります。

築年数が進むと漏水事故は保険適用外に

それでもマンション内で、最初に漏水事故が起きたときには、保険金が支払われる場合もあります。保険料を徴収している手前、保険加入を継続してもらうために払われることが多いのです。

ところが、漏水も2回、3回と頻発してきた場合や、築20~30年以上経過したマンションの場合は、損害保険会社としては基本原則にのっとって、「漏水事故は経年劣化の管理不行き届きにより保険適用外」という回答を出すケースが増えてきています。

損害保険各社の水濡れ特約に関するパンフレットにも、「保険の対象の自然の消耗もしくは劣化または性質による変色、変質、錆、かび、腐敗、腐食、浸食、ひび割れ、剥がれ、肌落ち、発酵もしくは自然発熱の損害その他類似の損害は支払い対象外」と特記されています。

賠償費用は数百万円になることも


給水管・排水管の保全がされていない場合、年月の経過と共に漏水が起こる可能性はますます高まります。

区分所有者の専有部で漏水が起きて、階下の床まで水浸しになった場合、賠償費用はどうなるでしょうか?

経年劣化による漏水の階下への賠償費用は、基本的には保険適用外となりますから、階下の住居の床と壁の貼り替え、家財道具の弁償など、賠償は数百万円に上ることも考えられます。

個人賠償保険でも経年劣化の漏水は適用外

「うちは、個人賠償保険に入ってるから大丈夫」「組合で個人賠償の包括契約に入ってるから安心」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、個人賠償保険も「偶発的な事故に支払う」といった保険の基本原則は同じです。経年劣化の漏水は保険適用外となるので、よく確認しておく必要があります。

また、経年劣化による漏水事故を起こした区分所有者は個人賠償(A社の損害保険会社)が適用されないので、階下で被害を受けた方が加入している火災保険(B社の損害保険会社)で、被害費用をカバーしたというケースもあります。この場合、保険金を支払わされたB社が、経年劣化による漏水事故を起こした部屋の区分所有者に、後から保険金額を請求するケースもあります(B社による求償権の行使)。

いずれにしろ、個人賠償保険に入っていたとしても、経年劣化による漏水事故では、階下に損害が出ても保険適用されずに、高額な負担を強いられるリスクがあるということを認識しておく必要があります。

配管の補修費用も保険が下りず自己負担

もう一つ、よく勘違いされているのは、「漏水が起きた配管の修理費用も保険で直せるので安心」と思われていることです。

ところが、損害保険各社のパンフレットには、「給排水設備自体に生じた損害は補償されません」と特記されている場合が多いといえます。これは、経年劣化での漏水事故の時はもちろん、偶発的な事故(うっかり配管を破損してしまった等)についても、配管自体の改修費用は、保険適用外となるということです。

経年劣化の漏水の場合は、床をはがして、劣化した配管の取り替え工事を行い、床をもとに戻す必要がありますが、こういった費用は、保険適用外になります。

床をめくっても配管がすぐに露出せず、コンクリートの中に埋まっていて、コンクリートを削らなくてはいけない場合もあります。配管が階下の部屋の天井を這っていて、取り替えには階下の住人の協力も得なくてはいけない場合も出てきます。

こうした場合、予想以上に予算がかさみ、百万円近くの費用がかかるケースもあります。タイル張りなど旧タイプの風呂場の場合は、浴槽を取り外す作業も必要となり、同じく百万円以上の出費となるケースもあります。

先ほどの「調査費用特約」によって、配管の修繕費用もカバーできるケースもありますが、こちらについても、昨今の頻発する漏水事故により、損害保険会社も財布のひもが固くなり、適用外となるケースが増えてきています。

階下の天井から排水管の漏水の改修作業中

床下からの水漏れの改修作業中

管理組合が損害保険会社と契約する特約

ご参考までに、マンションの漏水に関する保険の種類を以下に記載します。

保険の種類 備考
①施設賠償漏水特約 共用部の漏水に関する保険
②個人賠償責任保険包括特約 基本的には区分所有者が個人賠償保険に加入していれば、組合がこの保険に加入する必要はない。万が一、個人賠償保険に加入していない区分所有者が漏水事故で、階下に多大な被害を及ぼし、賠償できない場合、当事者同士の関係性が悪化することが考えられる。それでは、マンション内の風紀が乱れるので、そのような事態を防ぐ目的で、管理組合があらかじめ一括して、区分所有者の個人賠償保険に加入しておくという主旨による保険
③調査費用特約 保険を適用する際、どこが原因かを特定して責任の所在を明確にしないと、保険金が支払われない。共用部なのか、専有部なのかを調査するために、壁をはがすといった調査費用に関して適用される保険

*①②は改修費用と賠償費用をカバーする保険ですが、どちらも漏水事故を起こした配管の改修費用、経年劣化による漏水による階下への賠償費用については、原則、保険適用外となります

保険料値上げや継続加入を拒否されるケースも

水濡れ特約の保険を提供している損害保険会社は、築25年目くらいを過ぎたマンションに対して、保険料の大幅値上げを実施しています。これは、多発する漏水事故に対応した処置といえます。

年を追うごとに修繕費用がかさむなかで、保険料の値上がりは、管理組合の肩に重くのしかかってきます。特に個人賠償責任保険包括特約は、組合によっては、更新時に今までの8倍の金額に設定されるケースもあります。また、漏水が多発しているマンションでは、更新時に継続加入が拒否されるケースも出てきています。

保険料があまりにも値上げされた場合には、管理組合は個人賠償責任保険包括特約契約を更新せずに、区分所有者が各自の責任において個人賠償保険に加入する措置をとる組合も出てきています。

なぜ、漏水で補償金が出にくくなったのか?

補償金が出にくくなった理由は、水濡れ事故が多発して、損害保険各社の収益を圧迫しているためといえます。以前は、給水管・排水管の改修費用や、経年劣化が原因の漏水による階下への賠償も、損害保険会社が補償金として支払っていました。

これらの費用は保険の適用外でしたが、漏水事故が頻発するようになり、本来の規定が順守されるようになってきたのです。

すなわち、漏水は補償適用外とされて、漏水特約に加入していても保険料が大幅に値上げされたり、水濡れ特約への継続加入を拒否されたりといった問題が浮上するようになったのです。

管理組合としては、保険料が値上がりになったり、継続加入が拒否されたりしないように、漏水対策としての配管保全に取り組むことが必須といえるでしょう。

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