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中古マンション購入は配管が鍵! 将来の思わぬ出費に泣かないためのチェックすべき書類

2025年9月12日
この記事のカテゴリー : 配管に関する知識

築25年を超えるマンションの購入を検討される際、多くの方が立地や間取り、価格といった目に見えるところに注目されます。

しかし、人間で言えば血管ともいえる建物内部の「配管」の状態は、見落とされやすいといえます。

配管の状況をきちんと確認せずに中古マンションを購入してしまい、「配管を取り替えようと思ったら、コンクリートに埋まっていて、お風呂まで解体することになってしまった。こんなにお金がかかるとは思わなかった」

と後悔される方が非常に多くいらっしゃいます。 もともと投資目的で、すぐに売却を考えていらっしゃる方なら、あまり関係ないかもしれません。

しかし、もし皆様が居住目的で中古マンションを購入するのであれば、配管の状態は非常に重要なチェックポイントといえます。

また、購入後に、マンション全体として管理組合が主導で配管の一斉更新を行う可能性も十分にあります。

健全な管理組合であれば効率的に配管の更新を進められますが、組合運営に無関心なマンションでは、修繕積立金が不足して、配管の取替えができないといったこともあります。

最悪の場合、漏水があちこちから起きて、居住者の引越しが相次ぎ、マンションがスラム化してしまうリスクすらあり得ます。

今回お話しする内容は一般的にはあまり語られていませんが、中古マンションをご購入の際にチェックすべき3種類の書類についてお話します。

マンション購入時にチェックする重要事項説明書にも修繕積立金の状況や滞納状況等記載されており、ある程度の状況は把握できますが、今回お話する3種類の書類をチェックすることで将来の思わぬ出費を避けることが期待できると思いますのでぜひ最後までご覧ください。

基本知識:マンションの配管の種類と材質

まずは、マンションの配管に関する基本的な知識からお話します。

マンションの配管は大きく分けて3種類あります。

1. 給水管: 水道本管から各住戸に水を送る管です。

2. 給湯管: 給湯器から各住戸に温水を送る管です。

3. 排水管: 各住戸からの汚水や雑排水を建物外に排出する管です。

配管の材質については、築25年以上のマンションの場合、特に多いのが、関東エリアでは給水管にライニング鋼管、給湯管に銅管が使用されているケースです。

排水管については、ライニング鋼管の他に、鋳鉄管や塩ビ管、白ガス管など多種多様な材質があります。

ここで特に注意していただきたいのは、金属系の配管は、錆による漏水のリスクが高いということです。

特に、排水管の更新費用は、給水管や給湯管に比べて、かなり高額になる傾向があります。

そのため、マンション購入前には、排水管の材質が何であるかを特に注意深くチェックする必要があります。

塩ビ管やトミジ管といった樹脂管であれば、比較的長持ちするため、すぐに取替えが必要ない可能性もあります。

しかし、金属系の配管が使われている場合は、築50年頃には取替えが必要になる可能性が高いということを認識しておく必要があります。

確認方法は次のチェックポイント1の記載内容をご覧ください。

また、それぞれの配管の材質の実質的な耐用年数については、「マンションの配管 実際の寿命と交換時期」の投稿記事をご参考にしてください。

チェックポイント1 「竣工図面」で配管の材質を確認する

配管の材質は、建物の竣工図面に記載されています。

竣工図面は、多くのマンションでは管理人室に保管されています。

仲介業者を通じて管理組合に了承を得て、管理人室で閲覧するということになります。

竣工図面がどのようなものかは、「排水管の立管の本数 竣工図で確かめるには」の投稿記事を参考にしてください。

配管の材質は衛生設備、配管設備等の項目の最初の1~3ページ目あたりに記載されていることが多いです。

しかし、図面に記載されている材質と、実際に使用されている材質が異なるケースが少なくありません。

特に排水管については、図面通りでないことが多いため、図面だけで判断するのではなく、もしマンション内の他の部屋でリフォームが行われたことがあれば、管理組合に排水管の情報が残されていないかについても確認するのが望ましいでしょう。

チェックポイント2 「長期修繕計画」等で配管の更新予定・履歴を確認する

次に、そのマンションの長期修繕計画と配管の更新履歴、そして漏水履歴を確認しましょう。

長期修繕計画の重要性 長期修繕計画は、マンションの将来的な修繕・改修の計画を示すもので、今後、どのようなタイミングで、どのような費用がかかるのかを事前に把握するための羅針盤です。

配管の更新がいつ頃計画されているのかを確認することは、とても大切です。

更新履歴・漏水履歴の確認のポイント

一般的に、長期修繕計画はたいていのマンションで閲覧できますが、配管の更新履歴や漏水履歴まできちんと管理していて、かつ閲覧できる管理組合は残念ながら少ないのが実情といえます。

しかし、逆に言えば、これらの履歴まで閲覧できるマンションは、管理体制が非常にしっかりしていると判断できますので、ダメ元でも積極的に確認されることをお勧めします

チェックポイント3 「議事録」で配管の更新履歴・管理組合の健全性を確認する

更新履歴や漏水履歴がきちんと整理された形で残っていない場合でも、理事会の議事録を閲覧させてもらうことができれば、そこからある程度の漏水状況や配管に関する課題を推測することは可能です。

例えば、「〇号室で給湯管からの漏水があり、保険で対応した」といった記録や、「〇階の排水管の詰まりが頻発している」といった記載は、配管の劣化状況を判断する上で貴重な手掛かりとなります。

理事会の議事録には、総会では触れられないような、より「生々しい」情報が掲載されている可能性が高いです。

ただ、理事会の議事録には、今後予定している工事の見積り額等も載っていたりするので、それらを理由に閲覧を断られるかもしれません。

その場合は、議事録を閲覧したい理由、見せられない部分は黒塗りにしてもいいといったことを伝えれば、閲覧できる可能性が高まります。

なお、これらの議事録からは、管理組合運営の健全性も読み取ることができます。

例えば、「修繕積立金の値上げが問題となっており、総会で承認が得られなかった」という記録があれば、将来的な大規模修繕、特に高額な配管更新への対応が困難になる可能性を示唆しています。

また、滞納問題が深刻化しているマンションでは、修繕積立金の確保が難しくなり、必要な工事が遅延するリスクも考えられます。

議事録には、それぞれの議題が書かれていて関係するところのみを読めば時間短縮になります。骨の折れる作業ですが、大金を払って購入し、今後何十年も暮らすことになる住居なのですから、多少の労力を払ってでも確認することをお勧めします。

 

今回は、中古マンション購入前にチェックすべき項目として、配管の状態や管理組合の運営状態を知るために、「竣工図面で配管の材質を確認する」「長期修繕計画で配管の更新予定を確認する」「議事録で配管の更新履歴・管理組合の健全性を確認する」と3つのすることについてお話ししました。

これらは、マンションの血管ともいえる配管の現状を把握し、将来的な費用負担を予測するために不可欠な情報といえます。

後編では、さらに具体的な内容として、「専有部分」や「共用部分」で、実際にどこを、どのようにチェックすれば良いのかを詳しく解説していきます。

お部屋の中の配管の状態を見極めるための、より実践的な情報をお届けしますので、ぜひ続けて後編もご覧ください。

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