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【1棟オーナー・管理組合さん必見】知らないと大損!配管工事で“カモ”にならないための知識

2025年6月14日
この記事のカテゴリー : 配管に関する知識

なかなか刺激的なタイトルになっていますが、今回の動画は、主には1棟オーナーさん向けですが、内容的には分譲マンションの管理組合さんにも参考になる情報です。

「管理会社から配管工事の提案を受けて、どう判断したらいいんだろうか?」「本当に今、この工事が必要なのかな?」

こういった疑問を持ちながら、配管工事を行っている1棟オーナーさんや管理組合さんは多いのではないでしょうか。

実は、多くの1棟オーナーさんや管理組合さんは、必要以上の工事や洗浄作業を行ってしまい、本来払う必要のない費用を支払っているケースが散見されます。

皆さんの大切な資産であるマンションの配管保全。本当に最適な方法は何なのか、そして無駄な出費を抑え、長期的に安定したマンション経営を続けるためには、どんな知識が必要なのでしょうか。

例えば、「赤水が出ているから、3年に1回は給水管の洗浄が必要です」とか、「この延命装置を付ければ、もう全ての配管の取替えは不要です」といった話、聞いたことはありませんか?

こういった提案の中には、もちろん本当に必要なものもありますが、残念ながら、1棟オーナーさんの知識不足につけ込んで、不必要な工事や高額な提案をしてくるケースもあります。

日々、1棟オーナーさんからお受けするご相談で、今回は特に多い4つのポイントについてお話して、皆さんが配管の保全関連で“カモ”にならないための、最低限知っておくべき配管保全の知識を今日、この投稿記事でお話いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

給水管洗浄の頻度

業者の営業トークと実態

「赤水が出たので、3年に1回は給水管の洗浄が必要です」このような営業トークを聞いたことはありませんか? 赤水が出ているのを見たら、不安になるのも無理はありません。

しかし、本当に3年に1回の洗浄が必要なのでしょうか?

実際の必要頻度と費用対効果

私の見解としては、給水管洗浄の実際の必要頻度は、実施したとしても15年に1度程度で十分だと考えています。

分譲マンションでは、40年、50年経っても給水管の洗浄を一度も行っていない物件の方が圧倒的に多いのが現状です。

配管内に付着したヌメリ等をどれだけ気にするかということですが、洗浄コストは決して安くはないです。

蛇口から水を何分出し続けても赤水が収まらないような状況であれば、赤水の原因となっている箇所の配管をすぐにでも取替えるほうが得策といえます。

オーナー物件なので、いつ売却するかわからないから、取替える工事費用を使うのはもったいないということであれば、数年に一度は洗浄すべきとも言えますが、排水管の高圧洗浄と違って、給水管の洗浄費用は、世帯あたり数万円してしまうことが多いです。

また、数年に一度行うということであれば、次にお話する延命装置を導入するのも選択肢のひとつではあります。

もし「赤水が出たから、頻繁に洗浄が必要だ」と言われても、まずはその赤水の原因箇所がどこなのか、あと何年その物件を持ち続けるのか等を考慮することが重要です。

また、洗浄方法によっては、逆に配管の寿命を短くしてしまうこともありますので、その洗浄方法が本当に適切なのかということも考慮すべきです。

仮に洗浄するのであれば、他の工法よりも安価で、同等の効果が得られる炭酸ガス洗浄も候補として検討することをお勧めします。

こちらの投稿記事も参考にしてみてください。
時短で低価格!! 炭酸ガスによる安全な給水・給湯管洗浄「ジェットバブル洗浄工法」

給水管延命装置の落とし穴

営業トークの裏にある事実

次に、給水管の延命装置についてです。これも、業者がよく提案してくる工事の一つですね。

「赤水が出ているので、この延命装置を設置すれば、配管が長持ちしますよ」「最新技術で、排水管にも効果があります」これらのセールストークには、知っておくべき重要な情報が語られていません。

給湯管と排水管への効果の真偽

まず、配管の漏水リスクは、給水管よりも給湯管の方が圧倒的に高いという点です。

マンションで漏水事故が起きた場合、そのほとんどが給湯管からの漏水です。

ところが、残念なことに、世の中に出回っているほとんどの延命装置は、この給湯管には効果が出ないことが多いといえます。

漏水リスクの高い給湯管に効果のない装置を導入しても、根本的な解決にはなりません。

さらに最近、「排水管にも効果がある」と急に言い始めた業者もいます。もしそういった話を聞いたらば、必ず「しっかりとしたエビデンス(根拠・証拠)を見せてください」と要求することをお勧めします。

装置選択の注意点

延命装置を選ぶ際の注意点として、「セラミックス系で流動しないもの」には注意が必要です。

これらの装置は、時間の経過とともにセラミックス自体の表面に不純物が付着してヌメリとなり、本来の延命効果が薄れてしまうケースが少なくありません。

高額な装置を設置しても、数年で効果がなくなるようなことでは意味がありません。

定期的に洗浄しないと、原理的に効果が維持しない装置であっても、「洗浄は不要」と謳っているメーカーもあります。

延命装置を検討する際は、提案された装置が「排水管への効果に関して十分なエビデンスがあるか」「固定式のセラミックスであるならば、ヌメリがつかないのは、どういった原理によるものなのか」を徹底的に確認することをお勧めします。

給水管と排水管にも保全効果が期待でき、セラミックスの表面が常に綺麗な状態を維持できる装置については、こちらの投稿記事を参考にしてみてください。
配管保全費用を大幅削減! 流動式セラミックス方式の水処理システムの効果を解説

水道メーター周辺を使った巧妙な営業手法

局所的な腐食と全体的な腐食の区別

次に、水道メーター周辺に特化した、巧妙な営業手法についてお話しします。

よくある営業シーンとして、業者が皆さんのマンションの水道メーター周辺の配管内の内視鏡画像を見せてきて、こう言います。

「見てください! この水道メーターの周りがこんなに錆びてしまっています。建物全体も同じように、ひどい状態になっているはずです。

早く共用部の給水管を取り替えないと、大変なことになりますよ!」

目の前の錆を見せられると、建物全体が錆だらけの状況にあるように思えてしまいます。

しかし、ここで知ってほしい真実があります。水道メーター周辺の配管は異種金属接触により、特に腐食しやすい箇所であるということです。

水道メーターまわりの錆がひどいからといって、必ずしも他の配管も全て同じ状況で、すぐに交換しなくてはいけないということではありません。

むしろ、そのような状況は少ないといえます。

配管の取替え工事は優先順位付けが重要

もちろん、水道メーター周辺の配管の錆を放置して良いわけではありませんが、ここが錆びているからといって、共用部全体の給水管をすぐに取り替える必要があるのかどうかは、全く別の問題です。

専有部の配管は、居住者もいて工事をするのが難しいので、工事しやすい共用部の給水管の更新を勧めてくる業者は、とても多いのです。

本来であれば、漏水リスクが圧倒的に高い専有部の給湯管のほうをどうすべきか、そのための資金繰りはどうしたらいいのかといった提案を進めるべきところかと考えます。

メーター周りの錆だけを見せられて、すぐに大規模な工事を勧められても、鵜呑みにしないでください。

給水管の内視鏡調査についての有効性については、こちらの投稿記事も参考にしてみてください。
検討前に要チェック!! 内視鏡調査の費用と効果 給水・給湯管編

更生工事 vs 更新工事の選択

短期的なコストと長期的な経済性

最後に、配管工事において非常に重要な選択となる「更生工事」と「更新工事」についてご説明します。

更生工事と更新工事を比較すると、たいていの場合は、更生工事の方が安く済みますし、工期も短期間で済みます。

「短期的な視点」で見れば更生工事の方が安価でいいように思えるかもしれません。

しかし、ここで考えていただきたいのは、「長期的な視点」です。

もしオーナーさんが、所有している1棟賃貸マンションを20年以内で売却することを想定しているのであれば、更生工事を選択しても漏水リスクを回避できる可能性が高いと考えます。

短期的なコストメリットを享受できるため、売却を前提としている場合には更生工事は合理的な選択肢となります。

保有期間による最適な選択

しかし、もしあなたが20年よりも長くそのマンションを持ち続けるつもりならば、話は全く変わってきます。

この場合、結果的に「更新工事」の方が経済的である可能性が高いです。

更生工事で配管を保全していく場合は、給水管・給湯管の両方の更生工事を2度行う必要があるといえます。

しかし、近年、工事費用の値上がりが続いており、この傾向は継続するものと考えられますので、2度目の更生工事の費用は、今の更新工事費用と変わらない程度になっている可能性があります。

また、配管の劣化が進み、2度目の更生工事ができない場合、結局は更新工事で配管を新しくする必要が生じます。

この場合、最初に行った更生工事は、全くの無駄な出費となってしまいます。

ですから、配管工事を検討する際には、単に初期費用だけでなく、そのマンションを今後何年保有するのか、という長期的な視点を持って判断することが非常に重要です。

なお、ワンルーム等の水回りがまとまっているマンションでは、内装復旧費用込みで20~30万円で1日~1.5日で更新工事を済ませられる場合もあるので、その場合は、更新工事の方が安く、しかも短期間で終わらせることができます。

更生工事の有効性については、こちらの投稿記事も参考にしてみてください。
給湯管の更生工事は賢い選択か? 人手不足・インフレ時代のリスクと対策!!

「排水管立管の取替え工事 いくらかかる? 本数別 費用実例

これらのポイントを心に留めておくだけで、皆さんはもう、配管工事で“カモ”になることはありません。そして、常に賢い選択ができるようになります。

もし、今回の投稿記事の内容でさらに詳しく聞きたいことや、皆さんのマンションで具体的な配管工事の提案を受けていて、どう判断したら良いか迷っている場合は、ぜひお気軽に配管保全センターにご相談ください。

マンションの配管の材質や、あと何年住み続けるのか、修繕のための積立金はいくらあるのか等を総合的に考えて、無料にて最適な配管の保全方法をご提案させていただきます。

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