2024年12月12日
この記事のカテゴリー : 配管に関する知識

次の下の左の画像は、築36年のマンションで、天井裏のスラブ下から出てきている給湯管の銅管のエルボー部から漏水した例です。
赤丸にピンホールの孔をご覧いただけます。
給湯管の銅管のピンホールは、お湯が流れる際に発生した気泡が、配管のエルボー部にぶつかり続けることで、エルボー部が徐々に削られてできることが多いと言われています。
右の画像は、銅管ではなくポリブテン管の給湯管から漏水した例です。
ポリブテン管は現時点で、築25年以前のマンションで利用されていることが多い配管です。
施工時に、無理やり曲げるようなことがされていなければ、漏水が起こることはほぼないと言ってもいいかと思います。
ところが、この画像のように無理やり曲げて配管されてた箇所では、築20年経たずに曲げられたところが破損して、そこから漏水してくることが多いといえます。
この画像のマンションでは、築22年までに5件以上の同様の漏水事故が起きています。
次の下の画像は、当時築25年の30世帯の同じマンションで立て続けに給湯管の銅管から漏水した例です。
洗面所の下のエルボー部で漏水して、洗面所の床を開口したら床下が漏水でプール状態になってしまっていた例です。
右の画像も、同様に別の世帯の部屋の洗面所の下の銅管のエルボー部で漏水して、プール状態になったようすです。
次の下の画像も同様ですが、水がたまって配管が沈んでしまっていたり、木材も水に浸かってしまっている状況がよくわかります。
漏水事故を起こしている部屋の方は、下の階の方から「漏水している」という連絡を受けない限り、ほとんど気づくことがありません。
下の階の方が、旅行にでかけていて数日、不在の状態が続くと、プール状態になっていることに気づかず、木材が腐ってしまう場合もあります。
その場合は、階下の修繕費用と併せて数百万円の出費になることもあります。
なお、このマンションでは、同じ部屋で、最初は洗面所の下、次にキッチンの下といったように、何度もエルボー部からの漏水が起きました。
昨今では、漏水が多発すると保険金が下りなかったり、保険の再加入ができなくなります。
そうなると、漏水を起こした区分所有者は、かなりの出費を強いられることになります。
次の下の画像は築56年の駐車場内にある鋳鉄管です。これも同様にボロボロになっています。
この配管も壁に入る直前のところまで腐食が進んでおり、取替えができない状態です。
鋳鉄管のすぐ下は駐車場になっていますので、下に駐車している車に崩れ落ちないように、鋳鉄管の下にカバーをつけて凌いでいる状態です。
右の画像は、築41年の排水管の鋳鉄管で、内部でなく外部から腐食して漏水に繋がった例です。
配管は内部からだけでなく、結露等によって外部からも腐食していきますので、注意が必要です。
次の下の画像は築44年でキッチンの排水管は塩ビ管でしたが、長年にわたり流された油や食べ残しなどにより閉塞していました。
鉄管でなく樹脂管の塩ビ管でもキッチンから流された油が固まって溢れ事故を起こした際の配管内の状況です。
下の築42年の画像でも、汚物でほぼ閉塞してしまっています。
右の画像は、築39年で台所やお風呂の水はけがかなり悪くなっていて、高圧洗浄も断られていた住居でのキッチンの排水管を抜管した様子です。食べ残しや廃棄物が固まって、配管内がほぼ埋まってしまっています。
次の下の築38年の内視鏡画像は、異種金属ではなく鉄管を樹脂で覆った配管内で鉄管と樹脂の間で錆コブができてしまっている状態です。
築37年の内視鏡画像は、ライニング鋼管の継手部で錆びコブが大きく成長した状態です。
ライニング鋼管は、直管部分は樹脂で覆われているので錆びにくいのですが、継手の部分は鉄で水が接触して錆が発生しやすくなっています。
専有部の給湯管を取り替える際に一緒に取り替えてしまうのが、理想です。
また、次の下の画像は、築40年の洗面所と築37年のトイレの給水管内の内視鏡画像になります。
こちらも、配管内が茶色くなって地肌が見えなくなっている状態がお分かりいただけます。
築20年を経過してくると、ヌメリやもらい錆びが付着して配管内の茶色が目立ってきます。
いかがでしたでしょうか。
配管の劣化は見えないところで起こっているため放置しがちとなりますが、ややもすると、大変なことになるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
配管に関しては期限を決めて取替えを行ったり、配管の水処理システムを設置するといったことに取り組んで、大切なマンションの価値の維持、ひいては住民の皆さまの健康維持と、長く住んでいられる安心感を確かなものにしていただければと思います。
その際に、この投稿記事が住民の方の合意形成を得る材料の一つになれば嬉しく思います。
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