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マンションの給排水管の更新工事が高くなる5つの要因

2020年1月19日
この記事のカテゴリー : 配管に関する知識

著者:配管保全センター㈱ 代表取締役 藤田崇大

ちょっとした工夫で大幅に安くできる可能性があります

マンションの給排水管の更新工事(特に専有部)を”一般的に行われている方法”で実施すると、業者からの見積額が高くなる傾向にあります。

下の5つの要因について、世間的に言われていることにとらわれず、ちょっとした工夫を行うことで、見積額を大幅に減らせる場合がありますので、ご参考にしてください。

要因①工事期間:短期間でやろうとする

なるべく短期間で工事を終わらせるほうが材料費等はボリュームディスカウントで安くできたりしますが、大所帯のマンションであればあるほど、請負業者としては職人をかき集める必要があります。
職人の慢性的な人手不足の現状で、無理やり短期間で終わらせようとするとその分、人件費が高くなってしまいますので、業者と相談しつつ、余裕を持たせた期間で施工日程を組むことが望まれます。

要因②実施タイミング:各区分所有者の都合を無視

配管の更新を行うには、どうしても天井や床をはがし現状復帰するための内装費用が必要となります。
各区分所有者としては、各自の都合に合わせたタイミングでリフォームをしたいと思っていますが、組合主導で行うと、どの部屋も基本的には一律の仕様で、一斉に工事が行われることになります。
数分の1の費用で延命装置によって専有部の配管保全を行い、ある程度、各自の都合に合わせてリフォームする際に配管の更新工事を行う形にすると、結果的にトータル費用が安くまた、自分の好きな仕様で内装工事ができる場合もあります。
・「修繕積立金でカバーできる費用と自分好みの仕様にするために区分所有者が自己負担する費用との線引き」
・「いつまでに実施すればこれだけディスカウントできる」
といったことを決めて、業者には長期的な工事予約をするといった方法も考慮すべきと思われます。

要因③支払い方法:工事完了後

工事完了後の支払いとなると、資金繰りに体力のある業者でないと対応できなくなります。体力のある業者の場合、広告費にお金をかけていたり、3次請け、4次請けの業者を使っていたりと中間マージン費用もかかるため、全体的に見積額がかなり高くなりがちです。資金的に余裕があるマンションであれば、半分前払いにするといった条件にすることで、妥当な単価の業者も対応できることになります。

④資本金等の条件:〇億円以上

業者選定する際に、資本金が〇億円以上といった条件をつけることが多いですが、⑤の瑕疵対応の対策を別途行うことで、そういった条件はあまり意味がなくなることもあります。資本金〇億円以上というのは、いわゆる不適切な大規模修繕コンサル会社等がわざとそういった条件にして、業者を限定し仲間うちで利益をシェアできやすくする手段として利用されることも多いので、本当にその条件が必要なのかを十分吟味する必要があると考えます。

⑤瑕疵対応:倒産の考慮

「工事完了後の不具合の対応をしてもらうためには、請負業者が倒産のリスクがないところを選ばなくてはいけない。そのためには上記のような大規模な業者を選定しなくてはいけない。」
この考え方は間違った判断ではないですが、大規模な業者でないと実現できないかというとそうではないと言えます。
「建設業許可」を取得していれば資本金等に関係なく、該当業者が倒産しても10年間瑕疵保証してくれる保険(住宅あんしん保証社のあんしん大規模修繕工事瑕疵保険等)があります。委託業者にはこういった瑕疵保険に加入させることをより重視すべきと考えます。

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