原材料乱高下 半導体不足 マンションの配管材料の値上げ事情
2022年3月19日
この記事のカテゴリー : 配管に関する知識
一昨年からのコロナ禍に加えて、ロシア・ウクライナの地政学的影響等により、マンションの配管関連の材料が、高騰しています。
具体的には、配管の材料となる鉄鉱石や石油といった原材料の乱高下、それから増圧ポンプや加圧ポンプ、揚水ポンプといったポンプ類に必要な半導体の供給不足、世界的な海運コンテナ船の運賃高騰といった影響で配管材料が大幅に値上がりしています。

今回の投稿記事では、配管材料の値上がりの程度、工事の納期への影響、値上がり状況下での留意点について、お話しますので是非最後までご覧ください。
材料の値上がり状況
それでは、早速ですが、配管の材料がどの程度値上がりしているかについてお話します。
2021年の1年間だけでも値上がりしていましたが、2021年の後半の11月あたりから見ても、3,4割、ステンレス系については6割程度の値上がりになっています。なお、ステンレス系は昨年の年初から比較すると倍以上の値上がりで、メーカーによっては新規受注停止の状態になっています。
また、ポンプ系については、半導体不足の影響で、2022年の3月で注文をしても、納期がわからず、最低でも4か月程度はかかる状態になっています。
こちらも受注自体を中止しているメーカーもあります。
更に、配管取替え時に剥がした床や壁を復旧する床材や壁材についても、値上がりしております。
施工業者等への卸価格自体が、現時点でいくらになるのかわからない状態ですので、管理組合や1棟オーナーへの見積もり額もいくらになるのか読みづらい状況ですが、全体の見積もり額としては、2割以上あがる可能性があります。
見積もり作業で生じている弊害
給水方式を受水槽方式から直結増圧方式に変更する工事については、当然、直結増圧ポンプが必要となりますが、ポンプの納期がはっきりわからず、配管材料の値上がりが短期間で繰り返される状態が続いており、施工業者が正確な見積もりをお客さんに提示できない状態となっています。
見積もりを出したとしても、従来は見積書の有効期限が3カ月程度というのが通常でしたが、有効期限が1カ月となっている見積書が増えています。
それだけ、頻繁に値上がりしている状態だということで、特に増圧ポンプを設置するような工事の場合は、納期がかなり延びそうです。
実際の見積もり額を検証する際の留意点
イラスト①をご覧ください。
見積もり額に占める材料費が仮に多めの割合の40%ある工事で、材料費が仮に40%値上がりした場合、見積もり額全体としてはどれだけ値上がりするかを表わしています。
値上がり前が100に対し、値上がり後は116で、全体としては16%のみの値上がり額です。
イラスト①
管理会社等から見積もりを提示されていたが、総会での議決が延び延びになっている配管工事の案件で、昨今の値上がりで見積もりが再提示された場合、材料の値上がりに便乗して、全体的に大幅な値上げを提示してくる場合もありますので、内訳をよく確認するようご注意ください。
いかがでしたでしょうか。参考になりましたでしょうか。
いずれ、原材料の価格も落ち着いていくことと思いますが、現時点ではかなり厳しい状態が続いていくと思われます。
値上がりが続くようであれば、長期修繕計画にも影響が及びます。今後は、さらに業者選定を慎重にしていきたいところですね。