2024年10月5日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新費用

この費用事例での見積りの範囲は、屋上スラブの下から最下階の床スラブより上の立管部分になります。
事例で示しているのはその範囲内を排水管取替えした場合の見積り額となります。
その他にも屋上スラブの貫通部より上の配管や、最下階の床スラブより下の横主管も工事対象となった場合もありましたが、比較検討するために、今回は省いています。
表の「立管本数」の項目には1本から3本とありますが、各事例で取り替えた1世帯あたりの雑排水管や汚水管、雑汚水管、通気管といった排水管の本数を記載しています。
「専有部」の項目は、立管の取替えとともに、一部専有部の横引き排水管も交換する必要があった際に、専有部横引き排水管を取替えた範囲を示しました。
①と②は世帯あたりの排水管立管が1本のケースです。
②のケースでは、脱衣場下の専有部の排水管も取替えたために、①よりも割高となっています。
専有部の横引き排水管を取替える場合は、各階の天井もしくは床を壊して専有部の排水管を取替えた後に、内装復旧もしなくてはいけないので、割高になります。
③~⑤は世帯あたりの排水管立管が2本のケースです。後ほど説明しますが、立管と専有部の横引き管との接続部の状態や、専有部の横引き排水管を取替えた範囲などにより、取替え本数は2本でも、世帯あたりの費用は約44万円から約80万円と2倍近くの差が生じました。
⑥~⑨は世帯あたりの排水管立管が3本のケースです。今回のケースでは、約60万~90万円の差となっていますね。
ケースバイケースではありますが、世帯あたりの施工費用の目安としては、
立管1本の場合は、20万~40万円
立管2本の場合は、40万~90万円
立管3本の場合は、60万~120万円
といった金額になると考えています。
状況によっては、上記の目安よりも高くなる場合もあるかと思いますが、2倍、3倍の額になることはないかと思いますので、施工業者から見積り取得の際にご参考にしていただければと思います。
それから、立管がコンクリートにどの程度埋まっているかによっても、立管をコンクリートから抜くための時間が変わってきますので、費用が変わってきます。
当然、排水管が太かったり、コンクリートの厚さが厚いと高くなりがちです。
専有部排水管との継手の形状がソベント継手といった円柱ではないような継手の場合も、コンクリートを壊さなくてはいけない面積が広くなります。
また、右側のイラストのように立管と専有部の横引き管の接続部が、床のコンクリートに埋まっていずに露出している場合でも、横引き管との接続部が専有部の壁に埋まっていたり、壁と立管との距離が十分ない場合は、壁の裏側サイドから専有部の壁を壊すこともあります。
さらに、コンクリート内の鉄筋の状態によっても、コンクリートの壊しやすさが変わります。
それから、立管がトイレの裏に並んで2本3本とあれば、効率がよくなりますが、立管がトイレの裏、キッチンの横、洗面台の横に1本ずつといった状態だと、効率は悪くなります。
1階にスーパーなどの店舗が入っていて、スーパーの天井や壁の中の排水管を取替える場合は、営業期間中に工事を行なえず夜間の限られた時間だけという制約があれば、かなり費用は高くなります。
10階建ての場合では、1日目に1階から6階の排水管立管を取替えます。
取替え中に7階より上の住民が水を流すと、排水管から放水されて部屋の中が排水で水びたしになりますので、7階より上の住民の方々も断水となります。断水時間は9時~17時で、1日目の工事終了後の17時以降は水を使えます。
2日目は、1階~5階を内装復旧しつつ、6階~10階までの立管を取替えます。断水は6階から上の住民の方が9時~17時まで断水となりますが、工事後は水を使えます。1階~5階の方々は2日目の工事期間中も水を使えます。
3日目は6階~10階の内装復旧となります。
なお、世帯あたりの排水管立管の本数や職人の数によっては、1~4階、4~7階、7~10階と3つのブロックにわける場合もあります。
配管を取替えるのではなく、配管内の錆びを研磨により落として配管内に樹脂を塗って再生する更生工事のほうが、断水の日が少ないことが多いのですが、今回、ご提示したようなやり方で工事を行なえば、更生工事とほぼ同じ断水時間で、取替えを行うことが可能となることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
また、費用についても、場合によっては、更生工事とほぼ同じ金額で施工できる場合も多いです。
管理組合さんで更生工事を検討されている場合でも、一度、更新工事の施工業者に取替えの費用と断水時間を確認することをお勧めします。
特に、専有部の排水管が塩ビ管の場合は、立管の取替えだけとなることが多く、金額や工程的に更生工事とあまり変わらなくなります。
下請けを使う比率が高い施工業者では、人件費の高騰と人手不足の影響で、工期にかなり余裕を持たせるようにするため、結果として、見積り額も高くなってきます。
それでも、工事が予定通りに進まないケースがかなり多くなってきているので、業者選びは慎重に行う必要があります。
いかがでしたでしょうか。
配管保全センターでは、マンションの配管の材質や、あと何年住み続けるかといったことを総合的に考えて、最適な保全方法のご提案を無料にて行っております。
また、下請け比率が少なく、実績もあり、工期がほぼ遅れずに完工できる体制を整えた業者のご紹介も可能です。
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