2022年10月14日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全
図①
厳密にいえば、同じタイプの部屋でも実際の配管のされ方は違いますし、リフォームにより内装も違うので、全ての部屋で工事費用が異なることになります。 ただし、部屋のレイアウトごとに工事費用の負担額を変えるとなると、それぞれの立場から意見が出て、議論が収束しないと思われますし、多少広さが異なっていても大工や配管工といった職人の作業時間はそれほど変わらないこともあり、今回は、どのタイプの部屋でも一律70万円ということで、住民からの合意が得られました。 そうすることで、事前に費用をかけて、全ての部屋の厳密な見積もりを行うことも不要となりました。 復旧工事の際に、どうしても内装のグレードを上げたいという要望があれば、世帯ごとに個別で対応しますが、その場合はオプション費用として、各世帯が負担することとしました。 また、リフォーム時にすでに、配管を樹脂管に取替え済みの世帯には、取替えたことをきちんと確認したうえで、工事費用を返金するという制度も作りました。表①
工事前の、7月に開かれた臨時総会では、以下の項目を上程しました。 特別決議として、現行の管理規約を改定して専有部の取扱いと返金制度を追記すること。 それから、専有部の給水・給湯管の更新を一戸あたり70万で実施すること。 さきほどの、マンション維持管理費削減機構と5万円のコンサル契約を行うこととしました。 また、普通決議として、マンション保険の見直しとして、現在入っている保険を中途解約して新規に契約し直すことで、保険料を5年間で60万円削減すること。また、保険の請求を管理会社経由ではなく保険代理店経由で行うこととしました。 これは、マンションの保険を熟知し、複数の損保会社の保険を扱っている保険代理店を配管保全センターがご紹介したあと、組合と代理店が打ち合わせをして上程するに至りました。 なお、保険に関しては、今回の一斉更新工事に協力しない世帯については、「今後、その世帯で漏水事故を起こした場合、管理組合が加入しているマンション保険の水漏れ調査費用と個人賠償包括特約を使用しないこと」に同意いただく承諾書にサインしてもらうようにしました。結果、どの世帯も工事を拒否しなかったということも一斉更新を実現した大きな要因といえます。 修繕積立金が不足している分については、一般会計から繰り入れることとし、今回の工事では借り入れや一時金の徴収を行わないこととしました。 最後に、長期修繕計画案の修正案を提示し、これらの項目を決議して、無事、合意にいたりました。 なお、給排水設備に関わる長期修繕計画案としては、前回の総会で決議された保全対策も併せて、結果的に当初約7千万円としていた予算を4.4千万円に下げることができました。 臨時総会の翌月の8月には住民への工事説明会を実施し、その後の10日間で、全世帯に向けて室内調査を行う希望日程のアンケートを取りました。 アンケート結果を受けて、9月に各戸での内装状況等の全室調査を行いました。 工事は1日目に配管の取替えを行い、2日目に内装復旧をする予定ですが、全室調査のあと、先行して3世帯で実際に取替工事を行い、その日程でできるかの見極めを行い、取替えのための工法を確定しました。 各世帯での断水は1日目の日中のみとなります。 なお、今回は取替え工事を1日で済ませる工程ですが、状況によっては、1日で終わらない場合もあります。 現在、年内に全戸の工事を終わらせるべく、工事を実施中です。 今回のケースでは、修繕委員長が積極的に漏水事故のリスク等を以前から継続的に住民に発信し続けていらっしゃったことで、住民の方々の理解を得やすかったという背景もあり、工事着工までスムースに進めることができました。 なお、それぞれの項目のもう少し深い内容については、別の投稿記事でお話する予定です。