専有部の給水・給湯管の更新事例と費用
2021年6月11日
この記事のカテゴリー : 給水・給湯管の保全
専有部というのは基本的には、管理組合でなく、区分所有者が各自で配管の保全を行うことが多いです。
ところが、最近では、給湯管からの漏水が増加していることから、管理組合の修繕積立金で原則として全室いっぺんに、取替えを行う組合さんが増えています。
ただ、配管は壁や床、天井に隠れているので、どんな取替工事がされたのかわからず、業者から見積もりが出てきても、その妥当性の判断をつけるのが難しいですよね。
実際に取替工事を行った住居で、どの部分が、どのように配管されたのかを写真や動画でご覧いただき、ある程度、取替え工事のイメージをつけることで、今後、配管の取替えの検討を行う際のご参考にしていただければと思ってます。
現場によって、費用がかなり異なってきますが、最後に今回の現場で必要となった日数や費用もご紹介していますので、是非最後までお読みください。
今回の投稿については、この投稿記事よりも、動画のほうが、カーソルで場所を指し示しながら説明しているのでわかりやすいと思います。
ご興味のある方は、以下の動画をご覧ください。
動画
部屋のレイアウトイメージ
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イラスト①は今回取替え工事を行うことになった部屋のレイアウトイメージです。
大きさは1Kで図の上部はリビングです。
水色のマルが給水の蛇口系で、ピンク色のマルが給湯系の蛇口で、水回りがコンパクトにまとまっています。
給湯器は部屋の中にあります。
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イラスト①
施工前の配管のレイアウトイメージ
取替えを行う前の配管の様子をイラスト②に示しました。
水道メーターからの給水管はライニング鋼管で、部屋の中は給水管・給湯管とも床下配管になっています。
給湯器からの給湯管は銅管です。
以前、ユニットバスを取り替えた際に、ユニットバス周りの配管を塩ビ管もしくは架橋ポリ管に取り替えたようです。
イラスト②
イラスト③に、各箇所の施工前の写真を記載しています。
水道メーターからの給水管が壁を突き抜けて、キッチンのシンク下の床下に出て来ます。
給湯器とキッチンがボードをはさんで並んでいます。給湯器の下にある棚のボードを外したところに、給湯器に向かう給水管と給湯器から給湯管が見えます。
キッチンのシンク下には、キッチンの水の蛇口と湯の蛇口につながっている給水管と給湯管が見えています。
イラスト③
ユニットバスの下の配管の様子をこの浴槽にある点検口から動画で撮影しましたので、ご覧ください。
動画:26秒
ユニットバスの下の配管
オレンジ色の配管は混合水栓につながっている給湯管です。
塩ビ管は、洗濯機、混合水栓につながっています。
点検口からトイレ側の床下の様子もご覧いただけます。
トイレの給水につながる塩ビ管が見えます。
また、オレンジ色の給湯管の架橋ポリ管と、銅管が接続されている部分も見えます。
給水管の塩ビ管と、フローリング下を通ってきたライニング鋼管との接続部は、奥のほうにありこの動画では見えません。
施工後の配管のレイアウトイメージ
今回は、水漏れを起こしやすい給水管のライニング鋼管部分と、給湯管の銅管部分を取替えます。
イラスト④は、それらを架橋ポリ管に取替えたあとを平面図で表したレイアウトイメージです。
ライニング鋼管や銅管と違って、架橋ポリ管は、ホース状で柔軟性があり、施工しやすく錆びない材質です。
水色が給水の架橋ポリ管、ピンク色が新たに設置した給湯の架橋ポリ管です。
イラスト④
取替えのために開口した箇所
各箇所を架橋ポリ管に取替えるために壁や床を剥がす必要がありました。
なお、天井から架橋ポリ管を設置する方法も検討しましたが、部屋の中の梁が邪魔したり、逆に蛇口までの配管が露出配管になってしまう可能性があるため、床下での配管としました。
イラスト⑤
黄色で囲まれたエリアの床を剥がして、新しい架橋ポリ管をユニットバスの奥のほうに床下から入れ、この緑色で表した塩ビ管やオレンジ色の架橋ポリ管とつなぎます。
配管は、図面通りでないことも多く、実際には、どこに配管が通っているかわからないのと、洗濯機への給水管がこの緑色の塩ビ管ルートでなく床下から直接来ていないかを確認するために広めに床を剥がしました。
床を剥がしたところ、モルタルが団子状になった“モルタル団子”と言われるものが、いくつも敷き詰められていました。
架橋ポリ管を配管する際にあたって、このモルタル団子が邪魔になり、かなり苦労しました。
パイプシャフト内の取替え
それでは、各箇所で配管を取替えた後の様子を見ていきましょう。
まずはパイプシャフト内の様子です。
画像内を赤丸で囲んだ部分に、新たに設置した架橋ポリ管が見えます。黄色の部分は、専有部内に通すためにあけた穴の部分です。
もともとあったライニング鋼管は撤去すると費用がかさむので水抜きをしてそのまま放置しておきます。
イラスト⑥
キッチンの給水・給湯管の取替え
キッチン周りの配管を取替えた様子です。
黄色丸はパイプシャフトから通した架橋ポリ管が出てくる部分です。
ここから青色の架橋ポリ管をキッチンの蛇口のほうまでつなぎます。
ピンク色の架橋ポリ管は、給湯器からきたものを、キッチンの蛇口のほうまでつなぎます。
なお、青色とピンク色の架橋ポリがそれぞれ、床のほうに分岐していますが、これらはユニットパスのほうに行く配管です。
イラスト⑦
給湯器まわりの給水・給湯管の取替え
イラスト⑧は、給湯器とつながる給水・給湯管を取替えた様子です。
キッチンのシンクの下の給水管が、黄色の部分にある穴を通って、給湯器の下に出てきます。給湯器とつながっているのが見えますね。
給湯器から出たピンク色の架橋ポリ管は、さきほどの黄色の部分にある穴を通って、キッチンやユニットバスのほうに配管されます。
イラスト⑧
ユニットバス内の給水・給湯管の取替え
イラスト⑨はユニットバス内に行くフローリング下の配管と、新たに設置した配管の様子です。
キッチンの床下や、ユニットバスの下にも、さきほどのモルタル団子があり、配管をするのにかなり苦労しました。
もとからあったオレンジ色の給湯管である架橋ポリ管と、新たにキッチンから床下を通してきたピンク色の架橋ポリ管をつなぎました。
イラスト⑨
給水管である青色の架橋ポリ管と、もとからあった塩ビ管をつないでいます。
施工前からあったトイレへの塩ビ管を点検口側に引っ張ってきて、つなぎました。
工事に要した日数と費用
イラスト⑩
配管自体は、1日で済ます予定でしたが、床下のモルタル団子に手こずったので2日目の午後までかかりましたが、イラスト⑩で見えるクッションフロアの貼り換えや、給湯器の下の棚に新たに化粧板を取り付けるまで含めて2日間で作業を終えました。
蛇口までの配管は露出でなく、すべて壁や床に隠して見た目が悪くならない隠蔽配管で工事することが出来ました。かかった費用は内装の復旧まで含めて税抜きで24万円ちょっとです。
給湯器がベランダにある場合、そこまで給水管と給湯管を配管するために、さらに床を剥がしたり天井に点検口を作ったりする必要があります。
また、今回はユニットバスの配管が塩ビ管や架橋ポリ管に、既に取り替えられていましたが、ライニング鋼管や銅管のままの場合は、蛇口までの配管も取替える必要があります。