2021年2月21日
この記事のカテゴリー : 受水槽の保全・直結化

📌 受水槽方式と直結方式の費用比較について、2023年5月の記事を公開しています。
👉 受水槽を廃止して直結化すべき? 40年間の費用比較事例
⚠️ この記事の費用情報は2021年時点のものです。
その後の資材費・人件費の高騰により、増圧ポンプ・配管工事ともに費用は上昇しています。
マンションでの給水方式を受水槽方式から直結増圧方式に変更するにあたっての事例とそれに要した費用についてご説明します。
今回の事例となるマンションの概要ですが、首都圏の、187世帯の分譲マンションです。
受水槽は、直射日光にあたるのかどうかといった要因で、耐用年数は大きく異なってきますが、40年~50年では更新が必要といわれています。
取替えるとなると、この規模のマンションでは1500万円以上の取替え費用が必要となります。(※2021年時点の目安です。現在は資材費の高騰により上昇しています)
こちらのマンションでは、直結増圧方式に変更したほうが、長期的な修繕費用をセーブできると判断して、今回の工事を検討するに至りました。
下のイラスト①のように、受水槽は地下ピット内に2槽別々に設置されていました。
ふたつの受水槽の間に、3台の加圧ポンプとそれらをコントロールする制御盤があります。
制御盤は、地下ピット内の排水ポンプも制御しており、増圧ポンプの制御もこの制御盤で行うこととしました。
イラスト①
新たに設置する増圧ポンプは地下ピットへの入り口から搬入し据え付けたあとに、既設の制御盤と接続・設定します。
イラスト②の赤いバツ印で示した箇所で、それぞれの受水槽への給水経路を切断し、新規の配管を設置していきます。
イラスト②
写真①
増圧ポンプは総重量が約600キロあり、写真①の矢印で示した天井クレーンにセットしたチェーンブロックに吊るして、設置場所まで持っていきます。
参考動画:12秒 地下ピットへの入り口から見た天井クレーンと設置された増圧ポンプ
上のイラスト②に示したように、受水槽①につながった既設配管の切断箇所は地下ピット内です。
写真②の赤丸部分です。なお、受水槽②への既設配管の切断ポイントは後程、ご説明しますが、屋外での作業となります。
それから屋外から地下ピット内に入ってきた既設配管と新規の配管を接続します。写真②の黄色丸部分です。
配管は組合様からの要望で耐震性・耐熱性・耐食性に優れたエスロンハイパーを使用しました(塩ビ管よりは費用的には高めです)。
参考動画:12秒 ポンプへの新規配管
参考動画:17秒 ポンプへの新規配管 保温材を配管に巻き付けた後
写真②
写真③
写真③の赤丸部分は、配管や保温材を保護するために薄い金属を巻く「ラッキング」作業が完了した状態です。
写真④の黄色矢印のついた青い配管が、増圧ポンプにつなげた新規配管です。黄色矢印はポンプに流入する水の流れを示しています。
写真④
写真⑤
写真⑤の緑色矢印のついた青い配管が、増圧ポンプから給水するための新規配管です。緑色矢印はポンプから流出する水の流れを示しています。
写真⑥のように赤丸で示した新規配管と黄色丸で示した各棟に給水する既設の配管とを接続します。
参考動画:11秒 ポンプからの新規配管
参考動画:13秒 ポンプからの新規配管 保温材を配管に巻きつけた後
写真⑥
写真⑦
写真⑦はラッキング作業完了後の様子です。
既設の制御盤と増圧ポンプを接続し、制御盤で増圧ポンプを制御するための設定(写真⑧)を行います。
増圧ポンプ内には3台のポンプが格納されていますが、制御盤で、各ポンプの交互運転や、故障時のブザー表示等のコントロールを行います。
それらの制御がうまく実施されるように、制御盤での細かな設定を行います。
参考動画:8秒 制御盤と増圧ポンプ
写真⑧
イラスト③
当マンションでは給水管の立管は合計26本あります。イラスト③に示すように、各給水管の立管の最上部に配管内の空気を出し入れするための吸排気弁を設置します。
なお、各世帯のメーターユニット交換は別途、実施します。
イラスト④では今回の工事で必要となる屋外作業を示しています。
イラスト④
切断する配管は地中深くに埋設されているため写真のような重機(ユンボ 写真⑨参照)を利用して切断工事の前日までに土を掘りだしておきます。
マンションによっては、コンクリートの下に埋設されている場合があります。その場合には、コンクリートをはつる作業も必要となります。
写真⑨
写真⑩
工事当日は雨で大変でしたが、熟練工による対応で予定通り、作業を終えることができました。
切断した箇所から水が放出されないようにキャップをします。
参考動画:11秒 受水槽②への配管の切断
翌日、ユンボで埋め戻しを行い、この場所での作業工程を終えました。
参考動画:2秒 切断ポイント 埋め戻し
写真⑪
直結化に伴い、公共の水道管とマンションの水道管をつなぐ部分に付いている親メーターの口径を太い配管に変更する必要がある場合がありますが、今回のケースでは水道局との調整の結果、今までと同じ75Aの口径でいいということになりました。
口径は同じですが、親メーターのところにはメーターバイパスユニット(写真⑫)を新たに設置します。
これを設置する理由ですが、水道メーターは経年劣化で正確に計量ができなくなることを避けるために、8年に1度取替えますが、取替えの際に、全戸断水になります。 それでは不便なので、行政によっては直結増圧化する際には親メーターに、メーターバイパスユニットの設置を義務付けています。 これがあれば、バイパスルートを使って給水できるので、断水しなくても親メーターの取替えができるからです。
写真⑫
今回の地域でも義務づけられていたので、メーターバイパスユニットを設置しました。
イラスト⑤のように、配管を増設して(赤線部分)、メーターバイパスユニットを設置し、その中に既設の親メーターを移し変えます。
参考動画:11秒 メーターバイパスユニットの設置
イラスト⑤
写真⑬は配管工事が完了した状態と、埋め戻しを終え作業完了した状態の写真です。
写真⑬
工程表は次のようになります。工程の日数は、予備日を入れて合計8日間ですが、最終的には予定通りの7日間で工事は完了しました。
全戸の断水は直結増圧方式に切り替える8日目の1日のみでした。
合計税抜き見積もり額としては水道局申請費用を含めて約900万円でした。(※2021年時点の見積もり額です。現在は資材費・人件費の高騰により上昇しています) ※世帯あたりに換算すると5万円弱になります。
ご参考までに代表的な部材の定価をご覧ください。 ・増圧ポンプ:約920万円 ・逆流防止装置:約26万円 ・メーターバイパスユニット:約139万円 ・小計:約1085万円(※2021年時点の定価です) ご覧の通り、代表的な部材の定価だけでも、今回の見積もり額より高額になっています。
これ以外にも、 ・配管材料費用、支持金具材料費用 ・ポンプ搬入据付費用 ・ポンプ用架台制作費用 ・地下ピット内配管工事費用 ・屋外配管工事費用 ・ユニック車使用費用 ・掘削・埋め戻し工事費用 ・ユンボ使用費用 ・電気工事費用
等が必要ですが、合計見積もり額は格安の価格を提示できました。
2次請け、3次請けといった下請け業者でなく、大半が元請け業者の社員が行う体制を整えているので、この見積価格での提示が可能でした。
見積もりの応札は8社あったと聞いており、その中での受注となっています。
👉 受水槽を廃止して直結化すべき? 40年間の費用比較事例(2023年5月)
👉 大地震の時に水が使えない!? 受水槽の意外なリスク(2023年3月)
👉 直結給水方式への切替え費用 3つの変動要因(2023年10月)
👉 給水管を直結化できるか? カンタンな確認方法(2022年8月)
👉 直結給水方式 増圧ポンプは いるvsいらない?(2023年12月)
👉 直結直圧方式への変更工事 工事例とその費用(2022年8月)
配管保全センターのAI概算見積りなら、マンションの情報を入力するだけで、共用部の給水設備の配管工事の概算費用がわかります。
📅 この記事は2026年4月に最新情報への追記を行いました。
