2020年12月14日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全
排水管の取替え工事の事例とそれに要した費用についてご説明します。
今回の事例となるマンションの概要ですが、首都圏の、5階建て170世帯の分譲マンションです。
下の図は、各階をタテに通る排水管である3本の立管を示しています。 まず、左側のトイレの汚水の排水管は鋳鉄管のため、まだ取替える必要がないと判断しました。 中央の台所の排水管は以前に交換済みです。 今回は赤で示された立管を取替えます。この立管は各部屋の洗濯機、洗面台、お風呂の雑排水管の横引き管と繋がっています。 また、今回のこの立管のほかに各部屋の雑排水管の横引き管の一部(下図の緑色の配管部分)も取替えます。
取替え対象となる図の赤い部分の立管ですが、1階から5階まで通っています。 この赤い1系統を各世帯の横引き管を含めて1日で取替えます。1日で1系統を取替えられるということは肯定的にはかなり短いと言えます。工事中は、工事している系統の水道が使えない、もしくは断水をする必要がありますが、その不便な期間が短ければ、生活に支障をきたす時間も短くできるので、住民の方からは大変喜ばれます。
マンション全体としては、1系統で5世帯ですので、170世帯÷5世帯=34本の立管を交換することになります。
なお、このマンションでは排水管が、図のように、各階下の天井裏に配管されているために、それぞれの世帯の工事は、階下の天井裏から行うことになります。
それから各階の床下に、横引き管と接続できるこのピンク色で示した継手を新しく付けます。 これがないと、各世帯が将来リフォームをする際に、お風呂や洗面所のレイアウトを変えたいと思っても、階下の天井から配管を替えなくてはならず、階下の方に迷惑をかけてしまいます。この継手があれば、自分の住居の床下で、この継ぎ手と新しい排水管を繋げば良いので、階下に迷惑を掛けずに、排水管のレイアウトを自由に変更できるようになります。
築年数が経ったマンションでは、階下の天井裏に排水管が配管されている場合がかなり多いと思います。そういったマンションでは、今回のように排水管の立管を取替えるときに、見積金額もほとんど変わらないと思いますので、こういった継手を付けることをおすすめします。
下の図は、各部屋で取替対象となる洗面所、お風呂、洗濯機の排水管のレイアウトイメージです。黄色の部分は塩ビ管で錆びにくいので今回は取替え対象にはなっていません。 緑色の部分はもともと鋳鉄管でしたが、ここを耐火VPという配管に取替えます。 耐火VPも塩ビ管の一種ですが、消防法にも適合した耐火仕様になっています。
赤丸部分は先ほどお話しした今回取替え対象となる立管の位置を示しています。
実際の取替え作業を行う場所ですが、各世帯の横引き管は階下の天井裏に配管されているので、階下の世帯の天井にある既設の点検口(図では赤い枠の部分になります)を利用して取替え工事を行います。
今回、他の業者の見積もりでは、この点検口だけでなく、天井をもっと開口する工事内容になっており、それだけでも見積り額が上がり、工期も長くなっていました。 この小さな点検口から配管を取替えるという作業は、慣れた職人さんでないとなかなかできません。ですから、熟練した職人さんが施工するかどうかで、工事の費用と工程、さらには工事金額に大きな差がつくことになります。
次に、立管の取替え作業ですが、立管は各世帯の物入の裏側のスペースにあります。
よって、立管の取替えでは、この写真にある物入の背面のボードをいったん取り壊して、新しい配管の施工後にボードを復旧することとしました。
最後に工事費用としては、下の表のように、他社が1億円近くの見積だったのに対して、わたしたちは半額近い5700万円で実施することができました。
世帯あたりでは、約33万円となります。
見積額合計 | |
---|---|
配管保全センター提携会社 | 5700万円 |
A社 | 1億3200万円 |
B社 | 9350万円 |