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給水ポンプの24時間監視システム導入で修繕積立金を節約へ

2020年11月9日
この記事のカテゴリー : その他 維持費削減の耳より情報

信頼性と経済性を両立した監視システム

従来の点検方法

受水槽のあるマンションでは、受水槽から水を汲み上げるために加圧ポンプもしくは揚水ポンプが稼働しています。受水槽がない場合は、直圧直結方式でなければ直結増圧ポンプが稼働しています。

  • 加圧ポンプ
  • 直結増圧ポンプ

これらの給水ポンプは定期的な点検が必要で、従来の点検方法では、技術員が現場に向かい、彼らの経験則に基づく判断が大きいために、点検報告をした直後に、ポンプに不具合が生じるといったケースも珍しくはありませんでした。 ポンプの実質的な耐用年数は、7年~10年といわれたり、15年~20年あるいはそれ以上といわれることもあります。当然、1台の単独運転より、2台、3台の組み合わせでの運転のほうが長持ちしますし、物件ごとに水道水の利用状況も異なりますから、それによっても寿命は大きく左右されます。

ポンプの交換時期は、俗人的な点検方法だと、正確には把握しづらいといえます。結果的には、安全策によって、「予防保全」的な考えで、早めに交換されるため、7年~10年といったサイクルでの交換となる場合が多いと言えます。また、従来の点検方法では、不具合が起こりそうな予兆を把握しきれません。突然、不具合が生じて、緊急対応での復旧費用が嵩んでしまうというリスクもあります。

KKS稼働監視システム

こういった俗人的な点検方法は決して効率が良いとはいえません。そこで、ポンプのオンオフの電気信号を検知して24時間365日、ポンプの稼働状態を見守る方法が導入されるようになりました。それが、今回ご紹介する株式会社レックアイ社のKKS稼働監視システムです。ポンプの稼働状況を把握することで、給水ポンプの保全コストを最適化して修繕積立金の節約を目指すことができます。

これまでが「予防保全」というなら、KKS稼動監視システムは「予兆保全」といえます。このシステムにより、ポンプの調子をより正確に把握できるようになるので、従来のように7年~10年経過したらポンプを交換するといった非効率な交換を回避して、ポンプの寿命を最大限に引き出すことが期待できます。

また、定期的に行われていた点検のための現地への訪問回数も減らして管理コストを削減ことも可能となります。

KKS稼働監視システムは、大手の管理会社で採用が始まっております。

動画

 

KKSシステムとは

システムの運用イメージ

KKS稼動監視システムでは、まず初期設定としてポンプが稼働(ON)する際と停止(OFF)する際に発信される稼働信号を時系列で蓄積できるようにします。 蓄積したデータは、携帯通信回線等で監視センターにデータ送信できるように設定されますが、設定が難しい場合は、現地で蓄積したデータを定期的にUSBに記録してセンターに持ち帰る方法をとります。

設定後の運用イメージとしては、以下のようになります。 ①ポンプの稼働(ON)時と停止(OFF)時に発信される稼働信号を時系列で蓄積 ②蓄積データからレックアイ社独自の分析ロジックで不調を判定 ③不調判定とともに、不調原因を推定し、対応マニュアルを担当者毎に行動手順レベルで提示 ④定例報告書にグラフとともに不調内容と対応方針を提示

ちなみに、このシステムは、ポンプの稼働監視だけでなく、貯水槽給水弁、機械式駐車場、自動ドア、ボイラー、エントランス監視カメラ、ライト点滅といった設備の稼働監視を行うこともできます。

システムの運用事例

では、KSS稼動監視システムを導入したマンションでの事例をご紹介します。このシステムによって受水槽の二次側の加圧ポンプの不具合がどのように検知され、どのような対応がなされたかを時系列で記載します。

検知

  • このマンションでは3台の給水ポンプが稼動していますが、そのうちの1台のポンプの運転回数が通常よりも増えているのを検知しました。他のポンプが稼働中に3号機が追い掛けて運転している状態で(追掛運転)、アラートメールにて不調を監視者に通知しました。

根拠判定

  • 1ヵ月の運転回数累計では、ここ数日3号機のポンプの稼働回数が増加していることがわかります。 ユニット全体の平均回数に対して3号機の稼働回数が管理値を超過しているため、制御盤、制御ロジックの交互運転指令不調と自動判定しました。

対策

この結果を受けて、監視者は現地に連絡を行い、ポンプメーカーに調査依頼を実施。実は、1ヵ月ほど前にメーカーがインバーターを交換し、その後、圧力スイッチ・逃し配管逆止弁交換を行い、自主点検の停電時にインバーターを取替えて、設定の変更を実施していましたが、その作業が適切ではなかったことが判明しました。今回の不調判定により、インバーターの設定の再調整を行うことを決定しました。 今回の不調では、装置からの異常信号は出ておらず、作業したメーカーも気づきませんでしたが、KKS稼動監視システムにより不調を検知できました。

故障の予兆を検知するロジック

KKS稼動監視システムでは、下のような現象を察知して、故障を予兆検知します。

  • 運転時間・回数のデータを基に、統計的にバラツキを把握して管理値を設定します。「管理値を超えた特異な運転」が現れた時にアラートとして通知します。

  • 運転時間・回数のデータを基に、統計的にその推移を把握して管理値を設定します。「管理値を超えた特異な運転傾向」が現れた時にアラートとして通知します。

  • ユニット内の他機の運転状況を比較し、設定した管理値を超えた「異なる傾向」が現れた時にアラートとして通知します。

  • 例えば過去数年の同時期の運転の様子の変化など、何らかの変化傾向が見られた時に「経年変化」と推測し、アラートとして通知します。

KKS稼動監視システム導入価格(税別)

初期費用:60万円~ ・初期費用には監視サイト立上げ作業、管理値初期調整作業、設置作業が含まれます。 ・設置作業は簡易な取り付けとし、配線は外出しのモールとします。 ・交通費、車両費等については含まれておりません。 ・監視対象の設備の種類、場所、台数に応じて、機器の選定および設置を行います。

月額費用:500円/監視点~ ・通信回線が必要な場合は、別途費用が発生します。 ・月額費用にサーバ費用が含まれます。 別途有償相談: ・設備稼働データから不調判定、不調原因を推定し、対応マニュアルを行動レベルで示します。 ・蓄積した稼働データから寿命に与える因子分析を行い、信頼度データを把握し、残寿命予測を行い、適切な交換/修繕計画の策定が可能になります。 ・月次レポート等必要な帳票類の開発・提示が可能です。

受水槽を撤去し直結増圧ポンプを設置しようとしているマンションの場合、設置費用をある程度削減できる方法をご紹介できる場合もありますので、同時に今回の稼動監視システムをご検討いただくことをお勧めします。

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