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錆びない樹脂管をなぜ取替える?排水管の立管の一斉更新は本当に必要か?

2026年1月18日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全

配管保全センターへの問い合わせの中で多いのが、「うちの排水管の立管は錆びない樹脂管ですが、一斉に取替えなくてはいけないのでしょうか?」というご質問です。

管理会社から排水管の一斉取替えの提案があり、その見積額を見て、「数千万円掛かるのか!?」と驚いて、「排水管の取替えは本当に必要なのか?」と検討し始めたというのです。

また、それほど費用が掛かるなら、「修繕積立金が足りなくなるのでは?」と将来に不安を感じたといった方もいらっしゃいました。

まず、結論から申しあげると、あなたのマンションの排水管が塩ビ管やトミジ管といった「樹脂製」であるなら、その一斉更新、実は「まだやらなくていい、もったいない工事」といえる可能性が高いでしょう。

今回は、業者があまり教えてくれない排水管立管に関する事実と、漏水対策についてお話します。

そもそも「樹脂管」は錆びません

まず、大前提として知っておいていただきたいのが、昔のマンションで使われていた「鋳鉄管(ちゅうてつかん)」や「白ガス管」といった金属製の配管と、塩ビ管やトミジ管といった「樹脂管」は、全く別物だということです。

金属の配管は、時間が経てば錆びてきます。配管内で錆びがコブのように膨らんで流れを悪くし、最後には配管そのものが腐食して孔が空きます。ですから漏水事故が増えてきたら、一斉更新をしたほうが、賢明である場合が多いです。

一方で、樹脂管はどうでしょうか。樹脂ですから、どれだけ時間が経っても錆びることはありません。

樹脂管でも漏水する理由とは?

ただ、樹脂管は錆びない代わりに「注意すべき別のリスク」があります。

樹脂管でトラブルが起きる主な原因と、それぞれの対策についてお話します。

① 汚れの固着

漏水の原因:排水管内に捨てられた食べ物カスや油脂類がきちんと洗浄されずに取り残されて固まり、配管を塞いで溢れさせてしまうケースです。

これは管の寿命というより、捨て方や洗浄の仕方の問題です。

対策:これについては、配管内が閉塞しないように、捨ててはいけないものはマナーを守って捨てず、きちんと排水管洗浄を行うことにつきます。

なお、流動式セラミックスの延命装置を設置することで、配管内の汚物が固着しにくくなるという効果が期待できます。

エルセやエミールといった延命装置を導入するのもお勧めの対策となります。

延命装置については、これらの投稿記事等を参考にしてみてください。

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②高圧洗浄

漏水の原因:最近は少なくなってきましたが、年に1回等、定期的に行う「高圧洗浄」が原因で漏水することもあります。

高圧洗浄を実施する際、高圧洗浄のホースが配管の曲がり角(エルボー部)を長年にわたって何度も擦り続けることで、内側から削れて破損するということが起きます。

対策:高圧洗浄ではなく、配管へのダメージを減らすことができるムース洗浄をおすすめしています。

ムース洗浄については、これらの投稿記事を参考にしてみてください。

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③気温差による「伸び縮み」

漏水の原因:樹脂管は、気温の高低差により伸び縮みします。

長年この伸び縮みを繰り返すうちに立管と各世帯の横引き管との継手に負担がかかり、破損することがあります。

対策:通常はこの問題を回避するために、配管の伸び縮みを吸収する伸縮継手やパッキン等を横引き管近くに設置します。

これによって、継手部分の破損を防ぐことができます。

伸縮継手やパッキンが設置されていない場合には、イラストのように伸縮継手を新たに設置するのも、選択肢のひとつです。

これにより、全世帯での一斉更新を回避できる可能性が高くなります。

費用の目安としては、1世帯あたり9万〜15万円程度です。

一斉更新をすれば世帯あたり50万~100万円近くかかることもありますから、それと比べれば圧倒的に安く、しかも効果的に排水管の寿命を延ばすことができます。

④地盤沈下

漏水の原因:これは屋内でなく、屋外の排水管で起こりがちですが、地盤沈下により排水桝が沈んでいき、排水桝と排水桝の間にある塩ビ管が破損してしまうことがあります。

なお、破損しないまでも、逆勾配となって詰まりの原因になることもあります。

対策:地盤沈下は屋外の排水桝がある全てのエリアで起こりえますが、一部のエリアだけ沈下するといったことも多いので、やみくもに全てを取り替えるのでなく、沈下が起きているところのみ取替えるという対策が望ましいと考えます。

⑤施工不良

漏水の原因:立管から先の共用部の排水管は縦方向でなく水平方向に勾配をつけて配管されています。

この水平方向の横引きの排水管が、うまく支持金具等で固定されていないと、たわんできたりして、逆勾配になったり破損してしまうことがあります。

対策:施工不良も、どの職人がその部分の対応をしたかによって、一部だけ施工不良になっていることもありえますので、そのあたりを見極めて対応するのが望ましいと考えます。

⑥地震

漏水の原因:軽度の地震でも数十年にわたり揺れが繰り返されることで、排水管が破損してしまうことがあります。

対策:いつ起きるかわからない地震を想定して、全ての配管を取替えるということは、あまり意味がないかと考えます。

塩ビ管には、VP管とVU管という異なる材質があります。

古いマンションでは、VP管よりも配管の肉厚が薄いVU管が使われている場合があり、VU管のほうが、地震に限らず、破損しやすい傾向にありますので、VU管のマンションでは、塩ビ管の保全費用として予備費を多めに積んでおいた方が安心かもしれません。

クロージング

樹脂管の排水管で、漏水したからといって、業者からの提案を鵜呑みにせず、どういった理由で、漏水しているのかをきちんと把握することが大切かと考えます。

「うちのマンションではどう判断すればいいのか、客観的な意見が欲しい」といったときは、配管保全センターにお気軽にお問合せください。
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