2025年11月28日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

「〇〇号室の○○です。先日ポストに入れた『修繕工事に関する意見書』ですが、ご覧いただけましたでしょうか?
この高額工事はどう考えても納得がいきません。
総会2週間前にいきなり出された工事案件と、それに伴う工事の総額ですが、その妥当性を確認する余地がまったくありません。
ほかの工事業者に相見積もりの依頼をしていますが、まだ私の手元に、もっと安い見積もりが来ているわけではありません。
時間がなくて取れなかったんです。
ただ、他の業者にどれくらいかかりそうかを聞いてみたら1億円前後じゃないですかねと言ってます。
今のまま総会で可決されてしまったら、その差額である世帯100万円を、私たちは二度と取り返せなくなる可能性があります。
これからこのマンションも経年劣化に伴って、さまざまな修繕工事が必要となるでしょうから、修繕積立金はできるだけ節約を心がけるべきです。
ですから、総会では、この高額工事に『反対』して否決にするか、せめて『継続審議(延期)』にして、一度立ち止まって調べませんか?」
マンション内で、特定の議案について賛成・反対を呼びかける行為を禁止する法律はありません。
選挙活動のような公職選挙法の縛りもありません。
ただし、長時間の居座りや強要は迷惑防止条例等に触れる可能性がありますが、常識的な範囲での意見交換や訪問は、区分所有者としての正当な権利行使です。
人は「文書」よりも実際に「会った人」の熱量を感じて動かされるものです。
直接顔を見て「100万円損しますよ」と言われると、無関心ではいられなくなります。
また、「自分一人だけが反対するのは怖い」と思っている住民も、「〇〇さんが動いているなら」と味方についてくれます。
まず、住民のなかで賛同してくれる仲間を5人作りましょう。この「最初の5人」の仲間を作れるか否かが勝負の分かれ目です。
ここで重要なのは、「議決権行使書(委任状)」の書き方をレクチャーすることです。
多くの住民は、何も考えずに「議長(理事長)に一任」という欄にハンコを押してしまいます。
これが、理事会の暴走を許す最大の原因です。
「もし総会に出られないなら、必ず『第〇号議案(工事の件)』の『反対』の欄にマルをつけて出してください」 と念押ししてください。
「反対票」を過半数集めることができれば、その時点であなたの勝ち、つまり議案は否決され、目論見を阻止できたことになります。
正直に言うと、これだけのアクションを起こしたとしても、今回の総会でこの議案が可決されてしまう可能性は、極めて高いと言わざるを得ません。
なぜなら、議案書が届いてから総会までは、たったの2週間程度しかないからです。
この短い期間で、無関心な住民の意識を変え、委任状をひっくり返すというのは、実質的には非常に困難なことといえます。
また、もっと怖いリスクもあります。
あなたが正論を言えば言うほど、癒着している理事会や、事なかれ主義の住民たちから、「あの人は文句ばかり言う変人だ」「マンションの和を乱すクレーマーだ」 そんなレッテルを貼られるかもしれません。
最悪の場合、マンション内で居心地が悪くなり、挨拶しても無視されるような辛い思いをする可能性だってゼロではありません。
ですから、「絶対に行動してください」とは言いません。
100%成功する保証もない。 下手をすれば、自分が嫌な思いをするだけかもしれない。
それでも、自分と隣人の資産を守るために、勇気を出して声を上げるのか。
それとも、波風を立てずに、不当な支払いを甘んじて受け入れるのか。
その行動を起こすかどうかは、最終的には、あなた自身の決断です。
ただ、黙って見ていれば、確実に資産は失われます。
しかし、行動を起こせば、未来が変わる確率は高まります。
そして、もし今回の総会で、悔しくも議案が可決されてしまったとしても…… そこで試合終了ではありません。
実は、「可決」された後でも、「契約」までの間にちゃぶ台をひっくり返す方法が残されています。
さらに言えば、ハンコを押してしまった後でも、逆転するウルトラCが存在します。
むしろ、総会で可決されてからが、本当の勝負かもしれません。
次回の投稿記事では、「総会で可決されてしまった後の、起死回生の逆転劇」についてお話しします。
失敗すると居心地が悪くなってしまうかもしれないというリスクがあるとしても、なお、最後まで諦めたくないという方は、ぜひ次の投稿記事もご覧ください。
