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マンション給排水管工事 失敗しない業者選び10のコツ!

2025年4月7日
この記事のカテゴリー : 未分類 配管に関する知識

マンションの給排水管工事で「相見積もりを取ったのに、結局どの業者を選べばいいのかわからない」「管理会社に任せたら予想以上に高額な工事費になってしまった」という経験はないでしょうか?

多くの管理組合さんが知らないことですが、管理会社や設計コンサルタントに施工業者選定を丸投げすると、施工業者間で談合が行われたり、不必要な中間マージンが上乗せされたりと、倍近い工事費になってしまうことも珍しくありません。

「大手だから安心」という思い込みが、結果的に管理組合の積立金を大きく減らしてしますことになるのを、私はこれまで数多くのケースで見てきました。

築年数が経過したマンションでは、給排水管の保全を効率よく行い、取替え工事を妥当な費用で実施しているかどうかが、マンションの資産価値を大きく左右するポイントになります。

今回の投稿記事では、理事会の皆さんがご自身でしっかりと給排水管工事の施工業者を見極めるための10のポイントを現場のリアルな視点からお話しますので、ぜひ、最後までご覧ください、

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施工業者選びの重要なポイント

ポイント1:特定建設業許可は必須ではない

まず最初のポイントですが、特定建設業許可は必須ではないということがあげられます。

給排水管工事の場合、一定期間に多くの人手が必要となるため、元請けとなる施工業者がいくつかの下請け業者を使うのが一般的です。

管理組合は工事を実施してくれる元請けの施工会社を選ぶわけですが、全体の工事費用のうち、元請け業者から下請け業者への支払額が税込み4,500万円以上になる場合、元請け会社は一般建設業許可ではなく特定建設業許可を得ている業者でなければなりません。

ただ、下請け業者への支払額が4,500万円以下の工事であれば、特定建設業許可にこだわる必要はなく、一般建設業許可だけで十分です。

なぜなら、特定建設業許可を持つ施工業者は基本的には、管理コストを上乗せするため、見積もり額が高くなる傾向があるためです。

ですから、工事規模に合わせて、適切な建設許可を持つ施工業者を選ぶことで、コストを抑えることが可能となります。

ポイント2:見積もりの値上げ幅に注目!

次のポイントは、見積もりの値上げ幅に注目ということです。

現在、工事関係の資材費と人件費は急速に上昇しています。

そのような状況下で工事の見積もりを出す場合には、二つのタイプの施工業者がいるといえるでしょう。

一つ目は、将来の値上がりを見越して大幅に上乗せした見積もりを出す施工業者。二つ目は、現在の価格で見積もりを出し、「数カ月後には1割程度の値上がりがあるかもしれません」と伝える施工業者です。

見積もりを依頼する際に、管理組合側が「見積もった金額は、何か月後であっても値上げは認めない」というスタンスだと、当然、前者の施工業者ばかりになります。

無駄に、値上げ分を上乗せされるよりも、値上げがあった場合は、再見積もりを許容したうえで、見積もりを依頼するほうが、賢明かと考えます。

ポイント3:元請け実績の確認方法

次は、元請け実績の確認方法についてです。

見積もり依頼をする際には、管理組合は給排水管工事の元請けになってくれる施工業者に依頼することになります。

その場合、元請けとしてどれくらいの実績があるのかを確認する必要がありますが、過去に工事を実施した管理組合の工事完了報告書を提出してもらうのもいいでしょう。

工事完了報告書は工事実施後に、元請け業者が管理組合に必ず提出する報告書です。

工事完了報告書は通常、元請けのみが作成する報告書ですので、いくら元請け実績がありますと言っても、そういった報告書を提示できなければ、元請けの実績自体が疑わしいものとなります。

また、元請け業者を選ぶ際には、少なくとも10年以上の社歴がある施工業者を選ぶことをお勧めします。

長期にわたり事業を継続している施工業者は、技術的な蓄積があり、様々な問題に対処してきた経験を持っており、かつ、現場を途中で投げ出すことはないと考えられるからです。

最近は人手不足の影響で、工期を間に合わせるために、破格の値段で職人を大勢集めようとする現場が多くなっており、そういった現場に工事途中でも平気で移動してしまうところもあるためです。

ポイント4:瑕疵(かし)保険と資本金について

次は、瑕疵保険と資本金についてです。

管理会社や設計コンサルタントに施工業者選定を依頼すると、資本金5千万円以上といった条件をつけられることが多いですが、施工業者の信頼性を判断する際に、現在では、資本金額にこだわりすぎる必要はないと考えます。

なぜなら、工事後10年間の瑕疵保証をしてくれる瑕疵保険が充実しているからです。

この瑕疵保険にはほとんどの施工業者が加入可能ですので、資本金は1,000万円もあれば十分といえます。

ポイント5:専門業者を選ぶ

次のポイントは、専門業者を選ぶということです。

大規模修繕などの様々な工事に対応できる施工業者も便利ではありますが、給排水管の工事は、大規模修繕とは別に行うことがほとんどです。

配管工事以外もできる施工業者の場合、専門業者と比較して、管理コストがより多く上乗せされる可能性が高いです。

また、給排水管工事の専門業者のほうが職人が社員として雇用されている可能性が高く、技術的な知識や経験も豊富です。

ポイント6:ホームページがない=NGではない

次のポイントはホームページについてです。

最近は、多くの施工業者がホームページを持っていますが、ホームページがないからといって、すぐに依頼できないと判断するのは早計です。

管理会社からの紹介案件が多い施工業者の場合、管理会社からホームページの作成を禁止されているケースもあります。

管理会社を通さずに直接管理組合からその施工業者に問い合わせが来るのを避けたいという意図があるからです。

インターネットでの情報発信が少なくても、技術力や対応が優れた施工業者は多く存在します。

ポイント7:小さすぎる施工業者には注意

次のポイントは、小さすぎる施工業者には注意ということです。

一人親方のような小規模な会社に依頼すると、見積もり額は安くなることが多いです。

ただ、小規模な施工業者の中には、工事中の事故や損害に対する保険に加入していないケースもあります。

工事中の事故や、施工ミスによる損害が発生した場合、施工業者によっては、現場をほったらかして逃げてしまうこともあります。

また、最近の人手不足で、より条件のいい現場に簡単に移動してしまうこともあるので、工期が長かったり、費用が1千万円以上になるような工事を小さすぎる施工業者に依頼するのは要注意です。

ポイント8:緊急対応部門の有無を確認

次のポイントは、緊急対応部門の有無を確認するということです。

計画修繕のみを行い、緊急対応部門がない施工業者は、工事完了後のサポートが不十分になりがちです。

給水管の取替え工事を行った直後は、蛇口をひねっても水が出ないといったトラブルが発生しがちで、緊急対応が必要なケースも少なくありません。

緊急対応部門を持ち、24時間体制で対応できる施工業者を選ぶことで、工事後の安心感が得られます。

施工業者選定時には、アフターケアの内容や緊急時の対応方法について具体的に確認しておきましょう。

ポイント9:すぐに工事ができる施工業者は要注意

次のポイントは、すぐに工事ができる施工業者は要注意かということです。

現在、建設業界全体が人手不足で、多くの施工業者は半年以上は、スケジュールが埋まっています。

そういった状況の中、工期が最低でも1カ月以上かかるような工事でも「すぐに工事に着手できます」と即答する施工業者は要注意です。

これは仕事が少ない可能性を示唆しており、技術力や信頼性に疑問符がつくケースがあるといえます。

もちろん、タイミングによってはスケジュールが空いていることもあるかもしれませんが、すぐにでも工事ができることを前提にしてしまうと、いい施工業者を選べなくなる可能性があります。

焦らず、余裕を持った工事計画のもと、施工業者選定を進めることをお勧めします。

ポイント10:ISO認証について

最後にISO認証についてお話しておきます。

品質マネジメントシステムの国際規格にISO9001がありますが、これを取得している施工業者は一定の品質管理体制を構築・運用していることが期待できます。

ただ、ISO9001の維持・運用にはコストがかかるため、その一部が工事費用に転嫁される可能性があります。

また、規格に沿った手続きや記録作業が増えることで、工事が非効率になり、結果的に費用が高くなる場合もありえると考えます。

ISO9001の取得が目的化し、形式的な書類作成や手続きに終始し、実際の工事品質向上に繋がらない可能性も否定できません。

ISO9001は品質管理の仕組みに関する規格であり、必ずしも個々の施工業者の技術力や専門知識の高さを保証するものではありません。

給水管・排水管の取替え工事は、大規模修繕工事と比較すると、必ずしもISO9001のような厳格な品質管理体制が必要であるとはいえないと考えています。

ISO9001を取得していることは、一定の品質管理体制の目安にはなりますが、給水管・排水管の取替え工事においては、それだけで施工業者を決定するべきではありません。

工事の特性を踏まえ、専門性、実績、見積りの妥当性、提案内容、アフターサービス、担当者の信頼性などを総合的に評価し、管理組合にとって最適な施工業者を選定することが最も重要といえます。

設計会社が施工業者をISO9001取得業者に限定している場合でも、その理由を確認し、他の優良な施工業者を選定する余地がないか検討すべきです。

管理組合として、費用対効果の高い、質の高い工事を実現できる施工業者を選ぶことが最終的な目標となります。

今回の投稿記事では、マンションの給排水管工事における施工業者選びの重要なポイントを解説しました。

改めて、これらのポイントを意識して施工業者選びを行うことで、工事費用を抑えて適切な工事を実施することができるはずです。

もし、施工業者選びで迷ったり、不安に思えることがあるのであれば、私たち配管保全センターまでお気軽にご相談ください。中立的な立場で、最適な施工業者選びをお手伝いさせていただきます。

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