2024年2月23日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

管理組合主導で、専有部の給水・給湯管を取り替えようとする場合、今回のシミュレーションでは、世帯あたり80万円とし、合計4000万円が追加費用として必要となります。
なお、受水槽給水方式から直結増圧方式に切り替える費用を600万円としており、受水槽方式を続けるよりは600万円の削減としています。
それでも、合計は1億100万円で、修繕積立金が3400万円足りなくなってしまうということがわかります。
エルセを設置することで、専有部の配管よりも、肉厚で、漏水リスクの低い共用部の配管については、一斉更新は行わずに、漏水の都度、部分補修をする方針とします。
こうすることで、以前から共用部の配管の取替えのために積み立てていた積立金を、専有部の配管の取替えに充てることができます。
配管の取替えを考える際には、あとどれくらい住み続けるかを考えることが重要となりますが、なかなかすぐには管理組合としての結論を出すことは難しいといえるでしょう。
のちのち100年マンションを目指すことになったとしても、現時点で漏水リスクが高いのは圧倒的に専有部の配管ですから、まずは、専有部の配管を取替えて、共用部の配管はエルセにより、漏水リスクを抑えておくことが得策といえます。
そののち、住民間で100年マンションを目指す合意が得られて、積立金も貯まってきた段階で、共用部の配管で錆びやすい配管は全て取替えるという方法も取ることができます。
エルセの設置費用は、更生工事と比較して、かなり安いため、この方法が有効といえます。
また、配管を取替えたとしても給水管・給湯管のヌメリ付着防止や、排水管の詰まり防止効果は新規配管に対しても期待できます。
とはいえ、専有部の取替えも行い、直結増圧化も行うということであれば、予算オーバーになる可能性がありえますので、その場合は、エルセの設置費用と直結増圧ポンプの設置費用はリースを検討することをおすすめします。
初年度の費用ですが、専有部の一斉更新の費用4000万円と合わせて4190万円となります。
仮に修繕積立金が5000万円貯まっている場合には、修繕積立金を値上げしたり、一時金を集めたり、借り入れをすることもなく、組合主導で、専有部の配管を取替えられることがおわかりいただけたかと思います。
なお、総額としては、10%の予備費を入れて6086万円で、当初の長期修繕計画の6700万円より下回っています。
また、専有部の配管はあくまで区分所有者にまかせるという方針を取った場合、組合としての出費は、2086万円となり当初の6700万円の3分の1以下の費用となります。
ただし、専有部の給湯管の銅管からの漏水等が多発するリスクは残ります。
それでもエルセを設置していれば、専有部の給水管のヌメリや錆びの抑制、給湯管のヌメリの抑制、排水管の詰まりの抑制も期待できます。
排水管が塩ビ管ではなく鉄管系の場合は錆びの抑制効果も期待できます。
なお、エルセ設置により漏水や詰まりのリスクはかなり軽減される可能性がありますが、完全にゼロになるわけではありません。
設置前の劣化状態だったり、排水への食べ物カスなどの捨て方のマナー、また配管の内部ではなく外側の錆びによる腐食や、地盤沈下による屋外の排水管の詰まり等により大きく左右されるからです。
このような不確定要素を考慮して、この費用シミュレーションでは将来的に共用部の給水・排水管の10%を部分補修することを想定しています。また、10%よりも高い確率になる可能性もあります。
予備費確保シナリオでは、合計7586万円となり当初の6700万円よりは高くなり、修繕積立金の値上げを多少する必要がありますが、エルセを設置しない場合は、1億100万円でかなりの値上げが必要となりますので、住民からの賛同は得やすくなるのではないかと考えます。
なお、予備費確保シナリオでも、あくまで専有部は区分所有者に任せるとした場合、管理組合としては当初の6700万円から3586万円と約半分に費用を削減できることになります。
エルセを設置しなければ、専有部排水管の詰まりリスクが増え、区分所有者の負担が増えることが予想されますが、エルセ設置により、そのようなリスクの低減も期待できます。
100年マンションを目指すのであれば、今回のシミュレーションで前提となった配管の材質を給水管、給湯管、排水管に使用しているマンションでは、極力、配管を取替えるのが理想といえます。
ただし、築70年程度までを想定するのであれば、エルセとリースの活用は、かなり有効な手段だと言えるのではないでしょうか。
ご興味のあるかたは、お気軽にご相談ください。
キーワードから関連記事をご覧になれます。
ポンプ 修繕積立金 修繕積立金・専有部の取り扱い 共用部 受水槽の保全・直結化 更新工事 流動式セラミックス法 給水・給湯管の保全 長期修繕計画
