2021年6月4日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い
今回は、長期修繕計画を作っている組合さんから、給排水設備に関して、よくお受けするご質問について、どのように考えたらいいのかをご紹介します。 このポイントを押さえておけば、修繕積立金の大幅な値上げを抑えることが可能になります。 ご存知かと思いますが、マンションを売りに出す際に、修繕積立金がいくら残っているか、重要事項説明書に記載する必要があります。 修繕積立金の残金が、大きく資産価値に影響するご時世ですので、是非最後までご覧ください。
ちなみに、下の右の画像は、専有部内の壁の中にある排水管です。左の画像のように壁にある点検口を開いて、点検口の中にある立管と赤丸で囲んだ横引き管の接続部を取替えます。 点検口を開けるだけの狭いスペースで1日で取替作業が出来るのか、または、点検口の周りのボードやブロックも壊して、何日もかけて取替作業を行うのか、業者により異なります。 それによって、費用や工期日数も大幅に変わります。
マンションができて築25年あたりで、今後の長期修繕計画の見直しをしている前提で考えてみましょう。 排水管の更生工事の費用が世帯あたり25万~30万円程度 とし、 更新工事の費用が世帯あたり90万円 と仮定します。 (1)は、更生工事を行わず、一気に更新工事をするケースです。 おそらく築80年あたりまでは水漏れリスクは低いと考えられます。 ただし、排水管に関しては、キッチンで油を捨ててしまったり、高圧洗浄の頻度や、詰まりを抑制する保全処置をしているかどうか等により、排水管が詰まるリスクはあります。 また、修繕積立金に余裕がないマンションでは、なかなかこの選択をしきれないという組合さんも多くいらっしやいます。 (2)は、築30年目に割安の10年保証の更生工事を実施するパターンです。 築50年あたりに、更新工事を行う必要性が高くなり、築60年以上住み続ける場合は、トータルでは更生工事の費用分の出費が多くなります。 (3)は、頑張って20年保証の更生工事を行うケースです。 この場合は、築60年あたりまでは、多少は水漏れリスクがありますが、更新工事をしなくてもいい可能性もあります。 難しいとは思いますが、住民全体で「うちのマンションはいつまで住み続けるのか」といった合意を早めにとり、それに基づいた配管保全の計画を立てることが肝要といえます。 更新工事の費用をなるべく正確に見極め、より長期的な視野で、更生工事が必要かどうかを判断することをお勧めします。