修繕積立金・水漏れ保険

長期修繕計画の費用を抑えるポイント (給排水管の立管の取替えはいくらかかる?)

2021年6月4日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・水漏れ保険

修繕積立金のムダな値上げを避けましょう

最近、管理組合の方から、給排水設備関連の長期修繕計画についての妥当性について、本当によくご質問をいただきます。
・共用部の立管の更新工事の見積もり額って妥当ですか?
であったり、
・更生工事って本当にやらなくちゃいけないの?
とか、
・築25年目に受水槽の交換ってやらなくちゃいけないの?
といった質問です。

 

今回は、長期修繕計画を作っている組合さんから、給排水設備に関して、よくお受けするご質問について、どのように考えたらいいのかをご紹介します。

このポイントを押さえておけば、修繕積立金の大幅な値上げを抑えることが可能になります。

ご存知かと思いますが、マンションを売りに出す際に、修繕積立金がいくら残っているか、重要事項説明書に記載する必要があります。

修繕積立金の残金が、大きく資産価値に影響するご時世ですので、是非最後までご覧ください。

①給水管の更新工事の見積もり額の妥当性

まず、最初に給水管の更新工事の見積もりの妥当性についてです。

パイプシャフト内の古い立管をパイプシャフト内で新しい立管に更新する場合、費用はピンキリですが、取替えのスペースが十分あれば、通常は世帯あたり相場としては30万円程度です。

ただし、パイプシャフト内が狭く、ガス管や給湯器も入っていて、作業スペースがほとんどないような場合は、労力がかかる分、世帯当たりの金額は高くなりがちです。

なお、業者によっては、もっと安くなる場合もあります。

また、パイプシャフト内でなく、露出配管にすれば、更に安い値段で給水管を新しくできるので、どのような方法で取替えを行うかも熟考したうえで、予算計上することをおすすめします。

②排水管の更新工事の見積もり額の妥当性

それから次に、排水管の更新工事の見積もりの妥当性についてです。

パイプシャフト内の排水管の立管を見たときに、専有部からの横引き管の接続部が、コンクリート内に埋まっているのか、あるいはコンクリートの床の上に出ているのか、また上の階の専有部の横引きの排水管が天井付近で立管とつながっているのかにより、工事の費用が異なってきます。

コンクリート内部に埋まっている場合では、
・汚水管、雑排水管の2本がパイプシャフト内にあり2本とも取替える場合は相場としては80万円近くになってきます
・パイプシャフト内の1本だけを取替える場合は60万円前後
・パイプシャフト内の1本と専有部内の壁の中にある1本を取替える場合は、100万円前後
という目安になります。

 

ちなみに、下の右の画像は、専有部内の壁の中にある排水管です。左の画像のように壁にある点検口を開いて、点検口の中にある立管と赤丸で囲んだ横引き管の接続部を取替えます。

点検口を開けるだけの狭いスペースで1日で取替作業が出来るのか、または、点検口の周りのボードやブロックも壊して、何日もかけて取替作業を行うのか、業者により異なります。

それによって、費用や工期日数も大幅に変わります。

③PS内のメーターユニット化の見積もり額の妥当性

次は、各戸のパイプシャフト内の水道メーター周りの配管をメーターユニット化する際の見積もりの妥当性です。

先日、お客さまから見せていただいた長期修繕計画上で驚いたのは、パイプシャフトが広くて、設置しやすいケースであるにも関わらず、メーターユニット化にあたっての費用が世帯あたり16万円という見積もりでした。

それほど、難しくない通常のケースでは、長期修繕計画上は7万円前後の相場で予算計上している組合さんが多いです。この金額は、業者によって、もっと安くなる可能性があります。

なお、左の画像のように、水道メーターが複数あり空中で縦に並んでいたり、右の画像のようにパイプシャフトの間口が狭く、水道メーターが奥に向かって配管されていたりすると、作業がしにくく交換費用が高くなるケースもあります。

④更生工事の要否を知るには、まず配管の材質をチェック

次は更生工事をする必要があるかどうかです。

更生工事は、配管内の錆びを研磨によりこそぎ落として、樹脂をその上から塗る作業ですので、配管が錆びない材質の場合、更生工事自体、必要ありません。

築20年以下のマンションであれば、錆びない材質の配管である可能性が高いといえます。

ステンレス配管、塩ビ系の配管、ポリブデン管、ポリエチレン管といった種類の配管ですね。

ご自分のマンションの竣工図面に、配管の材質が記載されていることが多いですので、チェックしてみてください。図面通りでない場合もありますが。

⑤更生・更新工事は諸条件を考察して実施是非を検討すべし

最後にですが、錆びやすい配管のマンションで、更生工事を実施すべきかどうかということについてです。

色々な要素が絡むので、単純に、「更生工事はしなくていい」とか、「したほうがいい」とは、言い切れないのが正直なところです。

少ない世帯数であれば、更生工事の費用と、更新工事の費用がほとんど変わらない場合もあります。

ワンルームであれば、業者によっては、更新工事のほうが安くなることがありますので、見積もり額の妥当性を見るのは、非常に重要です。

 

マンションができて築25年あたりで、今後の長期修繕計画の見直しをしている前提で考えてみましょう。

排水管の更生工事の費用が世帯あたり25万~30万円程度
とし、
更新工事の費用が世帯あたり90万円
と仮定します。

(1)は、更生工事を行わず、一気に更新工事をするケースです。
おそらく築80年あたりまでは水漏れリスクは低いと考えられます。
ただし、排水管に関しては、キッチンで油を捨ててしまったり、高圧洗浄の頻度や、詰まりを抑制する保全処置をしているかどうか等により、排水管が詰まるリスクはあります。

また、修繕積立金に余裕がないマンションでは、なかなかこの選択をしきれないという組合さんも多くいらっしやいます。

(2)は、築30年目に割安の10年保証の更生工事を実施するパターンです。
築50年あたりに、更新工事を行う必要性が高くなり、築60年以上住み続ける場合は、トータルでは更生工事の費用分の出費が多くなります。

(3)は、頑張って20年保証の更生工事を行うケースです。
この場合は、築60年あたりまでは、多少は水漏れリスクがありますが、更新工事をしなくてもいい可能性もあります。

難しいとは思いますが、住民全体で「うちのマンションはいつまで住み続けるのか」といった合意を早めにとり、それに基づいた配管保全の計画を立てることが肝要といえます。

更新工事の費用をなるべく正確に見極め、より長期的な視野で、更生工事が必要かどうかを判断することをお勧めします。

⑤受水槽の更新時期をチェック

最後に受水槽の交換ですが、長期修繕計画上は、屋内なら35年、屋外なら30年で交換の計画を立てるところが多いです。

ここで、気を付けていただきたいのは、実際に長期修繕計画の時期に近づいたから、必ず、受水槽を更新しなくてはいけないということはないということです。

状態を見て、本当に交換する必要があるのか、受水槽方式でなく直結方式にしたほうが長期的に安くならないか、交換ではなく受水槽の更生で延命できないか、更新するなら見積もり額は妥当かということをチェックしてください。

なお、給水管や排水管についても、長期修繕計画に載ってるから、その時期になったら、更生工事や更新工事を必ずしなくてはいけないというわけではありません。

修繕計画を策定することも大切ですが、
それから先は、
・計画通りに実施すべきなのか?
・他に保全方法はないのか?
など適切な協力業者を選んで、少しでも修繕積立金を抑え、かつ、マンション価値を落とさない方法を検討することが重要といえるのではないでしょうか?

関連記事