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法務省公表 区分所有法改正 専有部配管 取替えが円滑に!?

2023年10月18日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

配管保全チャンネルでは、「マンション内の配管で取替えの優先度が高いのは、実は共用部よりも専有部の配管です」と常日頃からお伝えしてきました。

昨今の流れとしても、令和3年にマンション標準管理規約の改正があり、これが追い風となって、管理組合主導により、修繕積立金を使って専有部の配管を取替えていくという方向性ができつつあります。

実際に、管理組合の中でも、住民に対して専有部配管の取替えの重要性をきちんと説明し、総会の議決要件を満たして、専有部配管の一斉更新を実現させているところも増えてきています。

ただ、総会で可決され工事が始まったとしても、住民の中には強硬に取替え工事を反対し続ける方がいらっしゃる場合があります。

強硬に反対する方は、自分の部屋に業者を入れさせず、その部屋だけ配管の取替え工事ができなかったり、修繕積立金を専有部の改修に使うことに対して訴訟になるケースもゼロではありません。

訴訟になった場合、ほとんどのケースでは、管理組合側が勝訴しているようですが、訴訟にまでもつれ込んでしまうようなことがあると、管理組合としては、専有部の配管の取替えを管理組合主導で行うことに対して、二の足を踏んでしまいがちですよね。

このような状況を改善すべく、2024年の通常国会では、区分所有法の改正案が提出される予定で、中間試案に対するパブリックコメントの募集も終わりました。

ほぼほぼ内容が固まってきているようなので、今回の投稿記事では、どのように区分所有法が改正されようとしているのか、その概要をお話します。

管理組合主導で、専有部の配管の取替えを検討されているマンションの方にとっては、とても参考になる情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。

動画

 

区分所有法と管理規約の違い

区分所有法の法改正の内容をお話する前に、区分所有法とマンションの管理規約の違いをご説明しておいたほうがわかりやすいと思いますので、まず、この二つの違いについてお話します。

マンションの管理規約は、それぞれのマンションが独自に決めるルールです。区分所有者と居住者はそのルールを守らなくてはいけません。

ただ、管理規約は法律ではないため、ルールを守らなくても法的に罰せられることはありません。

一方で、区分所有法は法律です。順守しなければ法律違反となって、罰則もあります。

今回、区分所有法が改定されるということは、その改定内容を守らなければ、法的に罰せられるということになります。

区分所有法の改定内容の概要

それでは、今回の法改正で区分所有法がどのように変わるのでしょうか。

内容をそのまま記載しても、わかりづらいところがありますので、専有部の配管の取替えに関する改定について概要をお話します。

なお、内容自体はまだ確定されたものではありません。

改定内容の中で、今回特に注目すべきポイントは以下になります。

なお、区分所有法において、現時点では、管理組合主導で専有部分の配管を交換する工事を行うことの可否や、必要な多数決の割合は明らかにされておりません。

今回の改定で、
「あらかじめ、規約で定めを設けることによって専有部分の配管の交換工事でも、総会の決議で決められる」
ことを可能とすることを提案しようとしています。

その際、
「区分所有者間の利害の衡平が図られるようにしなければならない」
ということも併せて考慮されるべきだとしております。

なお、費用負担については、
「別途管理規約で定めることで、専有部分の配管の工事でも修繕積立金から支出する」
ことが可能と考えられるのではということも提案しています。

また、
「交換工事等を行うことに反対する区分所有者の専有部分への管理者の立入りについても、別途規約に定めを設けることによって、実効的な立入りが可能となる」
としています。

さらに、どこに住んでるのかわからないといった所在等が不明な区分所有者の部屋の取り扱いについても、改正されようとしています。

管理規約を改めて検討する必要あり

今回の改定内容で、「別途、管理規約で定めることで」という条件つきの表現が出てきますが、この部分について、少しお話します。

管理規約ではなく、区分所有法で必要なことを定義すればいいのではないかと思いますが、区分所有法では、個々のマンションの状況に応じて、修繕積立金などにも言及して定義するには限界があります。

ということで、今回の区分所有法の改定とともに、管理組合主導で専有部の配管を円滑に取り替えられるようにするには、区分所有者間で不公平感が出ないように、修繕積立金の取り扱い方を管理規約で定義しておくことが必要となってきます。

今回の区分所有法の改正を待たずとも、住民にきちんと説明して理解を得たうえで、専有部の配管の取替え工事を実施できたという管理組合さんも増えてきていますが、法的にも後押ししてくれるようになれば、理事会としても心強くなりますね。

最終的に、区分所有法の法改正が国会で承認された段階で、また、機会があれば、改めてこのチャンネルでもお伝えできればと思っています。

これまで申し上げたように、管理組合主導で専有部の配管の取替えを進めようとしているマンションにとっては、区分所有法の改定は追い風とはなりますが、なによりも大切なのは、住民の理解を得て工事を実施することといえるでしょう。

実際に、わざわざ管理規約を変えるのは大変だからと、管理規約を変えずに総会を経て工事まで完了できている管理組合もあります。

配管管保全センターのプラニングサポートグループでは、管理規約の改定の要否も含めて、管理組合主導での専有部の配管取替え工事の実現に向けて総合的にご提案できる体制を整えております。

ご興味のあるかたは、お気軽にご相談ください。

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