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住民の無関心の弊害!! 修繕工事の費用が不当に高くても総会で否決できない!?

2023年10月12日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

分譲マンションの区分所有者の方であれば、マンションの管理組合の総会の議案書を毎年、一度は目にすることと思います。

住まいの資産価値にも大きく影響する大事なことなので、しっかり読まれる方もいらっしゃると思いますが、文字も多いし読むのが面倒なので、ほぼほぼ読まずに、総会にも出席せず、議決権行使書か委任状を出して終わらせてしまってる方も多いのではないでしょうか。

自分たちの修繕積立金が、無駄遣いされずに効率的に活用されているのかどうかを知るうえで、総会の議案書は必ず読むべきであるにも関わらず、多くの方が無関心だというのが国内の分譲マンションでの現状だと言えます。

配管保全センターにいただくお問い合わせで多いのも、
「管理組合の総会の議案書をたまたま見たんですが、配管の取替え工事費用が見たこともないようなすごい金額でビックリしたんです。しかも、修繕積立金で足りない分は、管理組合でローンを組むということで、他で相見積もりも取っていないようなんですよ。これってどういうことかと思って、今からでもどうにかならないですかね?」
といった内容です。

自分のマンションでは、こういったことは起きないだろうと思ってる方は多いと思いますが、無関心な住民が大半をしめる分譲マンションでは、どのマンションでも普通に起こり得ることと言えます。

今回は、注意喚起の意味合いも含めて、議案書が配られてきた段階ではほぼ手遅れで、それをひっくり返すことは難しく、泣き寝入りするしかない可能性が高いということをお話します。

マンション管理への無関心が多大な出費を招き、ひいては修繕積立金不足から必要な修繕さえできなくなり、マンションの資産価値にも影響を及ぼすことになりかねませんので、ぜひ、最後までご覧ください。

動画

 

なぜ、議案書の内容を総会で否決できない?

まず、管理組合の役員ではない区分所有者の方が総会の議案書を見てから、内容が不当だとして、反対しようとしても、余程のことがないかぎり、総会で否決にいたらないのは、何故かということについて、お話します。

議案書が配られたということは、当然、すでに総会の日時が決まっており、2~3週間後には総会が開かれるということです。

無関心な方が多い分譲マンションでは、総会への出席率も高くはなく、たいていは内容を十分に確認せず、議決権行使書に賛成と記入して提出したり、委任状を提出する方がほとんどです。

ということで、たいていの議案は、総会が開かれた時点で、ほぼ可決されると言ってもおかしくありません。

総会までに反対票を集められる?

では、総会までに反対票を過半数集めることは可能なのでしょうか。

自分は住んでおらず、人に貸している外部オーナーの場合は、区分所有者の知り合いがほとんどいないので、区分所有者の名簿もなければ連絡先も全くわからないのが普通です。

外部オーナーの方が、総会までの短い時間で、反対票を過半数集めるのは、ほぼ無理といっていいのではないでしょうか。

では、外部オーナーでなくそのマンションに住んでいる場合について考えてみます。

その方が、頑張って、半数以上の世帯を訪問すること自体も、時間的に余裕がないですよね。

たとえ、熱く反対を訴えたとしても、住民が無関心であるならば「なぜ、そんなに反対しているのか?」と変な印象を持たれて終わる可能性も高いでしょう。

時間と労力と心理的な負担が大きいにもかかわらず、過半数の世帯から反対票をもらうのは、かなり難しいと言えます。

訪問する世帯の中には、理事と仲のいい方もいらっしゃって、議案書に反対しているということが、理事長や理事の耳に入るかもしれません。

また、過半数の反対票を集められずに、総会に出席して議案書の内容に異議を唱えた場合、自分が管理組合の敵のような存在になってしまう場合もあります。

さらに、不当な議案を提案するような理事長だとすると、管理会社と癒着している可能性もあります。

そうすると、「あの人は、モンスタークレーマーだ」といった変な噂を流されるなど、その方が、今後住みづらくなるような嫌がらせをされる可能性も十分ありえます。

相見積もりを取らないことで善管注意義務違反になるか

工事費用などが大きな金額になる場合、通常は、複数社から相見積もりを取ることが多いのですが、1社だけしか見積もりを取らなかった場合、「理事長が住民のためにやるべきことをやっていない」「善良なる管理者の注意義務」を怠ったとして、「善管注意義務違反」に問うことはできるでしょうか?

結論としては、基本的に理事長や理事は工事に関しては素人であり、見積もりを複数取ったとしても、その妥当性を評価できるわけではないということで、善管注意義務違反に問うことは難しいと言えます。

住民に不利益を被らせたということで、理事長を訴訟する手段もあるにはありますが、勝てる見込みは少なく、弁護士費用や時間もかかるのでそういった手段も通常はあまりとられていないのが実情です。

管理規約の細則で縛れるか

今回の議案はあきらめたとして、将来の工事で同じようなことをされないようにするために、管理規約の細則で縛りをかけておくという手段があるにはあります。

管理規約の細則で、

「一定以上の費用の場合は、複数社から見積もりを取らなくてはいけない。募集も住民の推薦するところであれば拒めない。」

といったことを取り決めておくということです。ただ、細則に記載してさえいれば、必ず相見積もりをとらなくてはいけないというわけではありません。

また、あらかじめ話を付けておいた会社から見積もりをもらっておき、複数社から見積もりを取ったという体裁にするのは、難しくありませんので、実質的には細則が意味をなさないケースが多いと言えます。

どうすればいいの?

ということで、議案書が配られた段階で、異議を唱えて議案内容が否決されるまでもっていくのは、かなり難しいということはおわかりいただけたのではないでしょうか。

こういったことを避けるには、区分所有者各自が無関心を止めることですが、そうは言っても、それを望むことはかなり難しいと言えるでしょう。

結局は、危機意識を持っている住民が理事長や理事になって管理組合を運営してくのが早道だと言えます。

ただ、仮にそうしたとしても、ずっと理事長を続けることも難しいですよね。自分の目の届かない期間で、不当な議案書を出されてしまうこともありえます。

そこで、そもそも、管理会社自体を良心的な会社にリプレースしたり、経験豊富なマンション管理士等と顧問契約をして、住民の立場で議案の内容をチェックしてもらうという方法も考えてみても良いのではないかと思います。

参考サービス

ご参考までに、経験豊富なマンション管理士を活用できる組織として、私も理事をしている一般社団法人マンション維持管理費削減機構をご紹介します。

顧問料は多少必要となりますが、それ以上に、今後の工事費用を大幅に抑えられる可能性が大きいと考えます。最初はお試しで3カ月間、オンライン顧問として月5千円で契約できます。 

管理会社が常に、良心的であるとは限らないという中で、自分が理事長や理事になっていなくても、安心して管理組合の運営を任せられる味方がいるということは、持続可能なマンション生活を送るうえで、大切なことではないかと考えます。

ご興味のある方は、マンション維持管理費削減機構もしくは、配管保全センターのHPから、メールや電話にてお気軽にお問合せください。
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