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組合の合意形成に役立つ情報 漏水発生マンションでも売却できる?
2024年6月12日
この記事のカテゴリー :
修繕積立金・専有部の取り扱い
築40年以上のマンションの管理組合さんから「漏水があちこちで起こり始めて…」とよくご相談を受けます。 漏水が出始めたら困りますよね。 もちろん漏水もそうなのですが、「修繕工事をしようと組合で話し合ったが、合意形成ができなくて困っている」ということも問題となります。 特に、専有部の配管からの漏水が頻繁になり、管理組合主導で共用部だけではなく、専有部の配管を一斉更新したいとなると、費用もかなり掛かるため、なおさら合意形成が難しい状況となるわけですね。
では、なぜ、合意形成が得られないかです。 築40年前後のマンションになると修繕積立金が不足して、配管を一斉更新するには、新たに修繕費用を追加徴収しなければならない場合が多く、住民の中には「追加徴収されるのは困る」「これ以上、工事にお金をかけたくない」と考える方も多くいるためです。 とはいえ、漏水が多発し始めているのに何も手を打たないままだと、マンション全体での資産価値は大きく下がり、この先、買い手もなかなか見つからなくなると予測できます。 ご相談を受けた理事の方でも、「漏水マンションとなって、売却しようにも売却できなくなる前に、今のうちに自分の住居を売却してしまおうかとも考えている」と話される方もいらっしゃいます。 そこで、今回の投稿記事では、このような状況において、マンションの1室を売却する際に、「漏水リスクが高いこと」や、「近々、高額な工事を管理組合で実施するかもしれない」ことを隠して、配管保全をしないままでマンションを売却できるのか? 売却した場合にどのようなリスクがあるのか?をご紹介します。 そして、ここからがポイントなのですが、結論として「配管の更新をした方が資産価値が維持できて、住み続けるにしても、売却するにしても結局得になる」ことが多いということについて、どうしてそう言えるのか? 相続や売却も視野に入れて詳しくお話します。 配管の工事の合意形成が得られずに困っている管理組合さんにとって、とても有益な情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。
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何も言わずに隠しておけば問題なく売却できるが…
まず、配管保全をしないままで、マンションを売却できるかどうかを考えるにあたって、ふたつのケースにわけてお話します。
ケース1:
ひとつ目のケースですが、 ・ 築40年あたりのマンションで専有部配管からの漏水が多少発生している ・ 現在、総会の議案等で、「配管の保全をどうしていくか」が懸念事項として挙がっていない ・ 住民間でもそういった懸念事項を共有していない といったマンションについてです。
こういったマンションでは、現時点では、立地条件等にも左右されますが、大幅な値引きをすることなく売却できるものと推測されます。 ただ、漏水リスクの高い専有部の配管を区分所有者任せにして放っておくと、近い将来、漏水が多発し始め、修繕積立金不足で配管の修繕もできずに、マンションがスラム化してしまう可能性が高くなるという別の大きなリスクもあります。
ケース2:
ふたつ目のケースとしては、 ・ 築40年あたりのマンションで同じく専有部配管からの漏水が多少発生している ・ 現在、総会の議案等で、「配管の保全をどうしていくか」が懸念事項として挙がっている ・ 住民間でもそういった懸念事項を共有している といったマンションについてです。 この場合、事実を伏せて売りに出すと、周辺の相場価格で売却できるであろうと推測されます。 地域によっては、売りに出して、売主の提示価格ですぐに買主が見つかるマンションも多いかもしれません。
ただし、「管理組合では配管の保全をどうしていくか話し合いが行われている」といった事実を伝えずに売買した場合、売主は「事実不告知」で買主から損害賠償を求められる可能性があります。 買主は、売主からその事実を伝えられていないので、知らずにその物件を買ったことになりますね。 住み始めたあとで組合の議事録の回覧が回ってきて、配管の保全に大きな出費をしなければならないことを知ります。 まさに「寝耳に水」で、「そんな話は聞いてなかった」と、買主が売主に対して損害賠償を請求してくる可能性があります。 このケースの場合、売買のタイミングでは、総会で話し合われていただけで、「管理組合主導で専有部の配管を一斉更新する」と決まっていたわけではないので、売買時に買主が入手できる重要事項説明書にもそのことは記載されていなかったはずです。 売主が、将来、修繕にお金がかかりそうだと伝えない限り、買主が積極的に総会の議事録等を事前に見ていなければ知りえない情報となります。
このように売買価格を左右するような重要な問題は、通常は売主が仲介業者に伝えることで、告知書に記載されます。 そして、告知書を基に仲介業者が買主にその情報を伝えることになります。 仲介業者に伝えなければ、事実不告知になりますし、かといって、仲介業者に伝えると、今度は、長い時間をかけても、買い手がなかなか見つからなかったり、相場よりも相当、価格を下げないと短期間では売却できないことにもなり得ます。 重要な事実を知らされていなかったということで、売買後の契約不適合責任の期間で、賠償請求された場合、裁判で勝てるかどうかは微妙なところです。 金額が少額であれば、裁判をわざわざ起こそうということにはならないかもしれませんが、100万円、200万円といった金額になると、訴訟される可能性も出てきます。 その場合、裁判所としては、「事実を伝えなかったことで高額な被害を被った」と判断する可能性は低くはないと言えます。
配管を更新して資産価値を維持したほうが得になる
このように将来的に起こり得ることを考えると、世帯当たり100万円、200万円といった費用をかけて配管の更新を行ったとしても、マンションの資産価値は維持されますから、更新をしておいて良かったということになるでしょう。 逆に配管の更新などに費用をかけないまま売却を考えると、例えばマンションの売却額の相場が5000万円として、更新していないことで2~3割安くしないと買い手がつかないということが起こり得ますから、その場合、1000万円以上の損失となりますね。 100万、200万円の費用をかけて配管を取替えることで、資産価値が下がるのを防ぎ、返って得になるということになります。
築年数が40年以上になってくると、「もう、これ以上、修繕費用にお金をかけたくない」という住民の方が増えてきますが、これまでお話ししてきたように、配管を更新することで、資産価値を維持できることになります。 これは、管理組合主導で一斉更新する際に必要な合意形成を得るための説得力のある理由になり得ると考えられます。 自宅を売却して老人ホームに移ることになっても、ちゃんと適正価格で売却できるでしょう。 売るに売れず、維持管理にも費用や手間がかかり、貸そうとしても借り手がつかない物件を不動産の「ふ」が「負ける」ほうの「負動産」と呼ぶようです。 しっかり配管保全をして資産価値を維持すれば、子供や孫に迷惑を掛けることなく、喜ばれる相続ができるということがいえます。 資産価値ということを考えた上での配管保全の意義を住民の皆さんにアピールすることで、管理組合主導で一斉更新することの合意形成が得やすくなるのではないでしょうか。
このように考えてくると、実際に自分のマンションで配管保全などの修繕をした場合、どれくらい資産価値が維持できるのかを知りたくなりますね。 配管保全センターでは、不動産経営管理士との提携により、給排水設備や耐震補強等の工事の見積もりをご提示する際に、「工事を実施するか、しないかで、資産価値にどれくらい差が出るのか?」を、無料にて試算させていただきます。 工事費用が掛かるために、住民から賛同を得られない場合、このように自分たちのマンションの具体的な資産価値に関する情報があれば、工事実施の賛同を得やすくなるかと思います。 ご興味のあるかたは、お気軽にご相談ください。
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修繕積立金・専有部の取り扱い
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