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専有部の配管を一斉更新するための「管理規約の改定」 事例紹介
2022年10月21日
この記事のカテゴリー :
修繕積立金・専有部の取り扱い
前回の投稿記事では、管理組合主導で専有部の配管の一斉更新はできるということと、具体的な手順と費用についてお話しました。 その中で、一斉更新を行うにあたり「マンションの管理規約を改定した」とお伝えしましたが、今回は、具体的にどのように管理規約を改定したのかについて、お話します。 今回の改定内容が必ずしも正解というわけではなく、それぞれのマンションの事情で内容は異なってきますので、ご参考程度にというものです。 とはいえ、同じようなことを検討されている管理組合さんにとっては、とても参考になると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
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マンション管理規約の変更
それぞれの分譲マンションには、マンション管理規約というものが定められており、区分所有者は、その規約に従う必要があります。 国交省がその規約の標準となる標準管理規約を提示していますが、昨年、2021年に改定されました。 その際に、以下の内容が追加されています。 「共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。」
本来、専有部の配管の取替えに修繕積立金を充当することはできませんが、共用部の配管と同時に取替えることで、費用が安くなるのであれば、専有部の配管の取替えを共用部と一緒に行えるといった内容です。 ただ、今回事例となるマンションは築29年で、去年の改定前の標準管理規約を参考に管理規約が作られていました。 また、このマンションの管理組合では、共用部と同時ではなく、専有部のみを一斉更新する計画で、去年改訂された標準管理規約よりも、ハードルの高いことを行なおうとしていました。 専有部の配管を一斉更新することについては、実は、管理規約を改定せず、専有部の配管を取替えるという議案を上程し、総会での賛成が過半数で可決される普通決議で可決されれば、実施することは可能ではあります。
ただ、工事中に業者の立ち入りを拒否する住民が出てきたりといったトラブルを避け、円滑に工事を進めるためには、管理規約を改定したほうが良いという判断に当マンションではなりました。ということで、より慎重を期すことを目的に、4分の3以上の賛成が必要な特別決議を取り、マンション管理規約の改定と共に、管理組合主導で一斉更新を行うことを上程しました。 それでは、具体的に、当マンションの管理規約のどの場所を、具体的にどう修正したのかをお話します。
修繕積立金の取り崩しに関する規約改定
当マンションの管理規約では、「専有部のみの配管の更新を行う」際には、修繕積立金を取り崩すことはできない決まりでした。
今回の規約改定では、以下の2つの項目を具体的に追記しました。 【追加】 専有部分の配管等に係る修繕であって、管理組合が実施することにより、効率が高く安全性が確保できると判断される修繕であり、専有部分内に属する給水給湯管及び専有排水横引管(以下、専有部配管等という)を更新するために必要となる工事
この追加により、今回の専有部の給水・給湯管の一斉更新は修繕積立金を取り崩して行えることになります。 それともう一つの追加項目は以下です。 【追加】 前号のうち、専有部分内に属する専有部配管等に関して、管理組合が定めた一定以上の仕様の工事を管理組合が行う以前に実施していた区分所有者に対して、理事会が定めた条件によって支払う補償金
これにより、既に取替えを実施済みの区分所有者に対して、修繕積立金から所定の補償金を支払うことも可能となります。リフォーム後、何年経過しているかとか、一部分だけ取替えている場合はどうするかといった返金の詳細ルールについては、追って、住民が納得する内容で取り決めていくこととなりました。
管理組合の業務に関する規約改定
次は、管理組合の業務に関する規約の改定内容です。当マンションの管理規約では、組合が管理する共用部分に関する修繕のみに関われ、専有部分に関する修繕には関われないという決まりでした。
専有部の配管の一斉更新を管理組合主導で行えるようにするために、今回の規約改定で、以下の、項目を具体的に修正しました。 【修正】 (2) 組合管理部分及び専有部分内に属する専有配管等の修繕(修繕するために必須となる準備、調査、復旧工事を含む) この追加により、管理組合主導で、専有部の給水・給湯管の一斉更新を行うことが可能になりました。
返金請求に関する規約改正
それから、修繕積立金の返金に関する規約についても改定しました。当マンションの管理規約では、修繕積立金の返金処理はできない決まりとなっていました。
既に専有部の配管をしかるべきものに取替え済みの組合員に対して返金処理ができるように、以下の、項目を具体的に修正しました。 【修正】 6 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。ただし、第28 条第1項第7号に関する補償金として支払う場合を除く。
第28条第1項第7号というのは、さきほどの、管理組合が所定のリフォーム済の区分所有者に対して返金処理をするという部分ですね。
附則の改正
それと、最後に、管理規約の附則を追加しました。 附則は、管理規約では定義しきれないそれぞれのマンション独自に定義が必要な細かなルールといえます。
今回は、以下の、項目を具体的に修正・追完しました。
【修正】第1条 この規約は、令和4年8月1日から効力を発する。 【追加】(18)令和4 年7 月16 日開催の総会において改定承認された、第28 条第1 項第六号、第七号(追加)、第32 条第1号第ニ号(追加)、第58 条第5 項(変更)の部分は、令和4 年度に管理組合が主体として実施する給水給湯管改修工事に限って適用するものとし、それ以外の工事には適用しないものとする。 要は、今回の一斉更新で追加・修正した規約は、今回の工事に限って適用する期間限定のものであり、今後のそれ以外の工事では、この規約ルールは適用しないということになります。 以上が今回の改定内容です。 それぞれの管理組合さんの管理規約は微妙に異なるでしょうし、事情もそれぞれ異なると思いますので、今回の内容をそのまま使えばいいというものではありませんが、考え方として、参考にしていただければと思います。
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