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マンションの屋内配管 “夜間断水せずに”すべて取替える工程例

2022年5月12日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

屋内の配管をすべて取替えるということは、共用部の給水管、排水管、さらに専有部の給水・給湯・排水管のすべてを取替えるということになります。

この工事を実施するには、かなり多くの作業員が必要ということは想像に難くないですよね。

大人数の作業員で工事を行う際は、ほうぼうから作業員を集めてこなければならず、通常は、いろいろな下請け業者を寄せ集めてきてチーム編成して、工事を進めることになり、統率のとれた工事を進めるのはかなり難しくなります。

自ずと無理のない工程を組むことになり、通常は、排水管の立管の取替えを行うだけでも何日も連続して夜間を含めて断水する工程になることが多いといえます。

表①

工事業者Aの工程では、断水により何日も水が使えない状態が続くことが前提となりますので、配管を取替えたくても住民の方々の合意を得るのは難しくなっていきます。逆に、もし、工事業者Bのように夜間は自由に水が使えるという前提であれば、合意を得るハードルは下がりますよね。

今回の投稿記事では、住民の方が納得しやすいような、”夜間は断水せずに”屋内の配管をすべて取替える工程例について、お話しますので、ご参考までにぜひ、最後までご覧ください。

今回の例は、5階建ての場合としていますが、状況によっては7階建て程度でも同様の日程で、夜間は断水せずに実施可能です。

また、10階建て以上でも、夜間断水せずに実施可能ですが、日中の断水は日数が増えることになります。

動画

 

 

工程例

それでは、早速ですが、5階建ての場合で、夜間断水しなくてもいい工程例をイラストを元にお話します。

表②

 

  イラスト①は、既存の共用部の配管のイメージです。各世帯に、給水管、汚水管と、雑排水管の立管がそれぞれ1本ずつあり、ここでは、01号室系統から04号室系統の4つの系統を例示しています。

イラスト①

1日目は、新しい給水管の立管を設置していきます。イラスト②に水色の点線で新たに給水管を設置したイメージを示しました。この日はまだ、既存の給水管をそのまま使いますので、日中も含めて断水はありません。

イラスト②

なお、04号室系統まででなく、例えば15号室系統まである場合は、1日だけでなく何日かかけてこの作業を繰り返していきますが、いずれにしろ日中も含めて断水はありません。

2日目は、イラスト③に示したようにポンプからの配管を1日目に設置した新しい給水管につなげます。

ただし、まだ新しい給水管は、各世帯のパイプシャフト内の水道メーターにはつながっていない状態なので、イラストに示したように、ポンプから新しい給水管へのバルブは閉めておき、既存の給水管へのバルブを開けて置きます。

この日は、工事中は全戸断水となりますが、工事終了後は通常通り水を使えるようになります。

イラスト③

  3日目は、イラスト④に示したように各系統ごとに各世帯のパイプシャフト(PS)内で、新しい給水管の立管と各世帯の水道メーターを接続します。該当する系統は日中は断水となりますが、工事終了後は、通常通り水を使えるようになります。なお、系統数が多ければ、この作業は何日かかけて行っていきます。

イラスト④

イラスト⑤は、全戸の水道メーターを新しい給水管につなげた状態です。

イラスト⑤

  4日目はイラスト⑥で示したように汚水管の立管まわりの壁や床、天井の開口作業を各系統ごとに行います。この作業は各系統で1日作業となり、系統の数だけ日数が必要となります。

イラスト⑥

汚水管の立管は、イラスト⑦に示したように、たいてい、トイレの壁の裏側にありますので、立管を取替えるのに必要な分だけ、トイレの壁や床、場合によっては天井を開口し、スラブに埋まっている立管の廻りのコンクリートを斫っていきます。コンクリートを斫る場合は、かなり大きな騒音となります。工事当日の日中は、解体作業や斫り作業を行うため、トイレは利用するのは難しいですが、浴室やキッチン等は工事中でも通常通り利用できます。工事終了後は、夜間にトイレを利用できるようにしておきます。

イラスト⑦

5日目は汚水管の立管の取替作業を各系統ごとに1日かけて行っていきます。当日の工事終了までに、新たに設置した汚水管の立管と、各世帯のトイレから立管までの横引きの汚水管とを暫定的に接続します。トイレから立管までの距離が短い場合は、当日中に横引き管も取替えてしまう場合もあります。

1つの系統の汚水管は、取替えに必要な壁や床・天井の開口作業と立管の取替え作業とで合計2日間かけて行います。全ての系統の汚水管をまず、取替えてしまうのか、各系統ごとに汚水管の次に、雑排水管を同様に取替えていくかは、ケースバイケースです。今回の例では、汚水管の立管の取替えのあとは同じ系統の雑排水管の取替えを行うようになっています。

従って、5日目に汚水管の取替えを行うとともに、イラスト⑧で示したように雑排水管を取替えるための壁や床・天井の開口作業も行う工程としています。

イラスト⑧

  イラスト⑨に示すように、今回の例としては雑排水管の立管は、押入れ内の右側の壁の裏側にありますので、キッチンに面した壁を開口し、雑排水管のまわりの斫り作業を行います。

雑排水管自体には、何もしないので、工事当日の日中は、キッチン、洗面、洗濯機、浴室の水は利用可能な状態です。5日目の工事終了後は、トイレも含めて、どの水回りも利用できるようにしておきます。

イラスト⑨

6日目は、雑排水管の立管の取替作業を行います。当日の工事終了までに、キッチンからと、洗面サイドからの横引きの既存の排水管と新しく設置した雑排水管の立管とを暫定的に接続しておきます。 こうすることで、6日目の夜も、どの水回りも利用できます。

  7日目から、いよいよ、各世帯の専有部の給水・給湯・排水管の取替作業を行うため、6日目には、雑排水管の取替作業と並行して、イラスト⑩のように専有部内の水回りの床下や壁、場合によっては天井の開口作業を行います。

6日目の夜は、多少不便ですが、どの水回りも利用できる状態としておきます。

イラスト⑩

表②の※1の注釈にありますが、

在来浴室の場合は、撤去作業や防水作業等、工程が多く、複数日にわたって、夜間も水が利用できなくなります。他のキッチンやトイレ等は、夜間は利用できます。

また、ユニットバスの場合、できるだけ、夜間は水を利用できるようにしますが、どうしても画像①のようにユニットバスの壁や床を開ける場合や、ユニットバスを交換する必要がある場合は、夜間は水が利用できません。

画像①

それから、配管のシンダーコンクリートへの埋設度合いや、部屋の広さ等によって、日程と費用は増えていきますが、極力、夜間は水を利用できる状態に戻すようにします。

今回の例では、9日目に、専有部内の配管の取替えが全て完了した段階で、内装復旧作業を行います。

各世帯の専有部内の配管の取替えは、作業要員をどれだけ投入するかによって、1日でできる部屋数が変わってきます。

トータルの工程がどれくらいになるかは、作業要員の投入人数によって変わってきますが、今回の例で示したように、夜間は断水にしなくても作業が進められるということが、イメージできたのではないでしょうか。

今回のような工事日程をどの業者でも対応できるわけではありません。特に排水管の立管の取替えや、専有部の配管の取替えを行う場合、何日も断水する工事日程が提示されるケースのほうが多いとも言えます。

配管保全センターの提携業者の場合は、今回ご提示したような工事日程を組み、夜間はなるべく断水にならないように工事を進めることが可能ですので、ご興味のある方は、こちらの配管保全センターのホームページのメールかお電話にてお気軽にご連絡ください。

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