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理事会あるある 理事長の暴走で配管工事費が高額に‼ どうやって阻止する?

2022年12月22日
この記事のカテゴリー : 修繕積立金・専有部の取り扱い

最近いただくご相談で、「うちのマンションは理事長がワンマンで、一人で暴走して、それでとても困っている」という話が増えています。

他の理事の方があまりモノいわぬ人たちの場合、施工業者の選定の時などに、相見積もりを取って十分検討することなく、理事長が自分の意見を押し通してしまうといったことですね。

この投稿記事では、そういったワンマン理事長が配管工事費を高くして、大切な修繕積立金が食いつぶされてしまうのを、どうやって阻止するかについてお話するので、ぜひ最後までご覧ください。

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ワンマン理事長が生まれやすい環境とは

ワンマン理事長は、何年にもわたって同じ人が理事長をしているマンションで、よく見かけられます。

住民の方々がみんな、管理組合の運営に無関心な場合、理事長が管理会社と癒着してリベートを受け取り、管理会社の進める高額な工事を推進するといったことが起こります。政治やビジネスの世界で聞くようなことが、身近なマンション内で起こりえるということです。

大規模マンションになると、リベートの金額もかなり高額で、ワンマン理事長自身、何が何でも自分の提案を通すために、他の理事を取り込んでゴリ押ししてくるため、暴走を食い止めるのは一筋縄ではいきません。

とはいえ、管理組合のために長年、献身的に理事長をなさっている方もたくさんいらっしゃいますから、健全な理事会運営がなされている場合は、暴走ワンマン理事長は生まれにくい環境といえます。

また、長年同じ理事長ということではなく、毎年、管理組合の理事が輪番制で、理事長も毎年交代する場合でも、とにかく穏便に1年間何事もなく、理事を全うできればいいという方が多い場合、ワンマン理事長が生まれることがあります。

どちらの場合でも、住民の無関心がワンマン理事長を生む温床となると言えます。もし理事の中の誰かが「おかしいのでは?」と気づいても、他の理事が無関心なために、一人でワンマン理事長の暴走を食い止めようとしても、うまくいかずに泣き寝入りするといったことも良くみられます。

ワンマン理事長の暴走による弊害

ワンマン理事長が暴走すると、大規模修繕工事や、給排水管の取替え工事など、高額な工事を行うにあたり、さまざまな手を使って他の理事や住民から推薦があった施工業者を排除して、自分が推している業者が受注できるように仕向けたりします。

体裁を整えるために、複数業者から相見積もりを取ったとしても、全て出来レースで仕組まれている場合もあります。

公正な相見積もりが行われないと、例えば、通常相場で行けば2千万程度で済むような工事でも、2倍以上の見積もり額で総会に上程されたりする可能性があります。

大切な修繕積立金がそのような形で搾取され勝手に使われてしまうのですが、住民は無関心なので、総会に上程されれば、ほぼ可決されてしまうということになります。

阻止する方法はないのか?

「このような搾取行為が公然と許されていいのか!」と、理事会の一部の理事の方が、問題意識を持ったとしても、先ほど話したように、他の理事が理事長に取り込まれてしまっていて、公正な相見積もりが行われずに、話が進んでしまう場合もあります。

また、理事会の理事ではなく、問題意識を持った住民のかたが総会への上程を阻止しようとしても、理事ではないので覆すのはかなり難しい状況であると言えるでしょう。

それでは、どうしたらワンマン理事長の案を総会にあげさせないようにしたり、公正な相見積もりが出来るようにできるでしょうか?

ここに、いくつかの手段を例として並べてみました。
① 他の理事に働きかける
② 管理会社にクレームする
③ 理事会で理事長を解任する
④ 監事に働きかける
⑤ 5分の1以上の区分所有者による総会招集

① 一つ目は理事に働きかけるです。
管理組合の運営に無関心で、また、多忙なためもあってか理事会にほとんど出席もしていないような理事もたまにいらっしゃいます。そういった理事がいる場合、ちゃんと状況を説明して動いてくれないか打診してみるのもひとつの手ですね。

また、理事会には出席しているが、事なかれ主義でモノいわぬ理事の方々がいる場合には、異議を申し立ててくれるように、説得してみるのもいいかもしれません。

ただ、そういった方々の協力を得ようとしても、なかなか、動いてくれない可能性も高いともいえます。

② 二つ目は管理会社にクレームするです。
仲間を集い、管理会社に強くクレームするのもひとつの手と言えます。ただ、「管理会社としては管理組合の判断で動いてるだけなので、どうすることもできません」と言って、なにも対応してくれない可能性もあります。

③ 三つ目は理事会で理事長を解任するです。
理事の多数決で理事長を選任している場合、解任も理事の多数決でできます。

ただし、留意点がもろもろありますので、手続きを確認の上、解任する必要があります。また、過半数の理事が理事長に取り込まれてしまっている場合は、この方法で理事長を解任するのは難しいですね。

④ 四つ目は監事に働きかけるです。
管理組合では、理事とは別に、会計のチェック等、透明性の高い運営を行うために監事が選ばれます。不正が疑われる場合、監事は総会を招集する権利があります。監事を説得して、理事長や理事を解任させて、上程を阻止するという手段があります。
ただ、これも、ワンマン理事長が監事も取り込んでしまっている場合は、監事に総会を招集してもらうのは難しいと言えます。

⑤ 五つ目は、5分の1以上の区分所有者による総会招集です。

  • 管理組合の区分所有者の5分の1以上、かつ、議決権の5分の1以上の賛同を得れば、理事長が拒否したとしても、また、理事のメンバーでなくても、臨時総会を招集することができます。

    ワンマン理事長がゴリ推しで通そうとしている議案を、総会で通してしまう前に、臨時総会を招集します。

    臨時総会の議案としては、理事長もしくは理事の解任要求とする場合が多いです。現在の理事長や理事を解任させることで、ワンマン理事長は総会を開催できなくなり、その結果、不公正な業者選定による工事の可決を阻止することができます。

総会開催に際して、マンションのエントランス等の掲示板にその旨の書面を貼って周知します。外部オーナーの場合、連絡先がわからないので、組合員名簿の開示を管理組合に請求することになります。

総会をせっかく開いても、過半数の賛同を得られなければ意味がないので、賛同を得るためには、各戸を地道に訪ねて丁寧に説明していく必要があります。理想としては、賛同者が過半数になるまで、出席者と委任状もしくは議決権行使書を集めてから臨時総会を開くことです。

なお、事実に基づかない憶測で噂を広げたり、ビラを配ったりすると、場合によっては逆に理事長から名誉棄損で訴えられたりする恐れがあるので慎重に動く必要があります。

また、招集活動をしているということを察知され、生活上の嫌がらせを受けたりして住みづらくなってしまうこともあります。招集活動は労力がかかり、嫌がらせを受けても屈しないという覚悟が必要なことは認識しておくべきです。

いずれにしても、理事長との結託が疑われる管理会社にこの先も管理業務を委託するのかどうかについては、今後どうしていくべきか考えたほうがいいでしょう。

より住民サイドにたった管理をしてくれる管理会社へのリプレースや、自主管理への移行を考えていくのであれば、配管保全センターグループでもご協力できる可能性はありますので、相談したいという場合には、配管保全センターにお気軽にご相談ください。

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