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専有部の給水・給湯管 取替事例と費用 ベランダに洗濯機があるケース

2022年12月3日
この記事のカテゴリー : 給排水設備の更新費用

この勉強部屋でも何度か専有部の給水管と給湯管を全て取り替える事例と費用について、ご紹介してきましたが、今回は、ベランダに洗濯機がある賃貸マンションのケースです。

日程と費用についてもお話しますので、ぜひ最後までご覧ください。

動画

 

取替え前の配管レイアウトイメージ

早速ですが、今回の部屋の既存の給水・給湯管の配管レイアウトイメージをご覧ください。

築30年を越して、漏水リスクの高くなった給水・給湯管を取替えることで、漏水を未然に防ぐために水道メーターより先の給水・給湯管を全て取り替えることになりました。

給水管はライニング鋼管、給湯管は銅管です。

パイプシャフト内に給湯器があり、洗濯機がベランダにあります。

洗濯機にいたる洋室の床を開口する必要がありますが、開口した部分だけを点検口のような形で復旧するのは見栄えが悪くなるため、今回の復旧は床を全面張り替えることになりました。

取替え後の配管レイアウトイメージ

配管を取替えた後のイメージもご覧ください。パイプシャフトの中の水道メーターから先の配管を全て架橋ポリエチレン管という錆びない材質に取替えます。

床や壁を開けたところは赤い点線枠で示していますが、それぞれの箇所で説明します。

パイプシャフト(PS)内

それではパイプシャフト内から見ていきましょう。

① 施工前の配管ですが、水道メーターから先は給水管は分岐させて、一方は床下を通して浴室へと配管されています。もう一方はパイプシャフト内にある給湯器に配管されています。給湯器から出ている給湯管も床下を通して浴室へと配管されているのがわかります。

② 浴室にパイプシャフトから新しい配管を通すための孔を空けます。

③ 施工後の青い配管は給水管、赤の配管は給湯管です。

浴室

次に浴室を見てみましょう。

① 浴室内に既存の点検口があります。この点検口から蛇口へ配管できるため、今回は浴室の壁を壊すことなく、楽に配管作業が行えました。

② 点検口を開け、既存管と蛇口を撤去します。

③ パイプシャフトから新規配管を点検口まで伸ばしてきて、浴室の蛇口につなぐ配管とキッチンのほうに向かう配管に分岐させます。

④ 蛇口と新規配管をつなぎます。

⑤ 施工が終わり次第、既存の点検口を閉じます。

トイレ

次はトイレです。

① 新規配管を通すために、トイレの床に孔を空けます。

② 洋室の床を開口して、浴室からキッチンに向かう給水管を分岐させてトイレへと配管します。

③ ②の開口部から①で空けた孔まで架橋ポリエチレン管を通して、床上でタンクとウォシュレットに配管し直します。なお、②の開口部から①の孔までの最短距離上には、排水管等があったため、架橋ポリエチレン管は排水管等を迂回するように遠回りして配管しました。

キッチン

次にキッチンを見ましょう。

① キッチンの下に既存の給水管と給湯管が配管されているのが分かります。

② 新規配管を通すためにシンク内の床を開口し、既存管を撤去します。

③ 新規配管をつなぎます。

④ 開口した部分を復旧します。

洗濯機

最後は、ベランダにある洗濯機への新規配管です。

① ベランダにある洗濯機の蛇口近くの床を開口します。

② 蛇口のある裏側の洋室の壁を蛇口の高さまで開口し、新規の配管を取り付けます。

③ 壁の裏まで来ている新規配管と蛇口を取り付けます。

④ 壁を復旧します。

⑤ 床のフロアタイルを全面張り替えます。

⑥ 張り替える範囲ですが、玄関からの廊下と洋室との間に仕切りがあれば、洋室だけ張り替えればよかったのですが、今回は、洋室と廊下の間に仕切りがありませんでした。その場合、洋室だけを張り替えると見た目が悪くなるため、玄関までの床を全て張り替えました。

工程と費用

それでは、工程と費用についてお話します。

工程としては、初日に開口作業と新規配管作業を全て終わらせます。

2日目に内装復旧を行いました。

費用は、税抜きで40万円でした。

今回は、洗面所がありませんでしたが、洗濯機がベランダにあり対象面積としては広めでした。床下に新規配管を通しやすい構造で、新たに壁や床を開口する必要が少なかったため、このような金額になっています。床の張り替え費用も含めた内装復旧費用も込みです。

この賃貸マンションでは、空き部屋が出次第、今回と同様の給水・給湯管の取替えを行うことになっています。1棟賃貸マンションオーナーさんで、給湯管が銅管で、次第に水漏れの心配が出てきた場合、空き部屋が出た際に、このように一部屋ずつ配管を取替えるのはおすすめの方法です。

配管工事は、配管の取替え費用よりも内装復旧費用のほうが高く、空き部屋が出た際に実施するリフォームと合わせて、配管工事をしたほうが、配管の取替え費用を抑えることができるからです。
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