2021年10月1日
この記事のカテゴリー : 排水管の保全
イラスト①
このような事情から、「容積率の制限が緩和されれば、建替えの話も進められるのに」と思う管理組合さんもいらっしゃることと思います。 今回、法改正により「排水管の劣化により条件を満たせば、建替え後の容積率が緩和される」可能性が出てきました。築年数が経ったマンションでは、排水管の劣化も進んでいますので、これに当てはまるケースが多くなります。 今回の投稿記事では、法改正によって、排水管がどのような状態であれば、容積率アップにつながるのかをご紹介しますので、建替えをあきらめかけている管理組合さんは、是非、ご覧になってみてください。
イラスト②
なお、配管設備に関する要除却認定だけでは、この総会では全員からの同意が必要になります。 総会で全員の同意でなく、5分の4以上の同意で可決できるようにしたいのであれば、表①にあるように、「生命・身体への危険性がある」と判断される①耐震性不足、②火災安全性不足、③外壁等剥落危険性のどれかで、要除却認定を取得する必要があります。この3つのどれかで要除却認定されれば、5分の4以上の同意で可決できるとともに、容積率も特定の条件を満たせば、特例緩和されますので、配管設備に関しての要除却認定を取得する必要はありません。表①
ただし、築40年経っていないマンションの場合、1981年以降に適用された新耐震基準に基づき建てられているので耐震性があり、火災安全性は十分で、外壁剥落の危険性も少ないため、①②③で要除却認定を取得するのは難しいといえます。その替わり、築40年経っていないマンションでも排水管がスラブ下にあり、すでに多少の漏水があるマンションは割と多いといえますから、今回の認定では、スラブ下配管の排水管で漏水が2か所あれば適用されるので、比較的、要除却認定されやすいといえます。 また、マンションの建替えを検討するにあたっては、比較的初期の段階で、マンションを買い取り、新しくマンションを建設してくれるディベロッパーなどの買受人の目途をつけておく必要があることは言うに及びません。 総会で、敷地売却が可決されれば、容積率の緩和は既に認められていますので、さきほどのイラスト①のような世帯数を増やす建替えが可能になります。区分所有者の自己負担がない、もしくはかなり負担額を抑えられるということであれば、全員の同意は得やすい環境になると言えますね。イラスト③(出典:国交省の要除却認定実務マニュアル骨子案)
排水管のどの場所での漏水が該当するのかというのは、この図のようにスラブに埋設している部分からスラブ下を通って立管に至るまでの箇所になるようです。 なので、スラブの上に排水管があるマンションは対象外ということになりそうですね。 排水管がどこを通っているのかは、現地調査や竣工図等で建築士さんが確認することになりそうです。 また、漏水事故が発生したかどうかについては、修繕履歴や保険適用履歴といった情報での判断になるようですね。 それから、基準概要には「2か所以上で漏水が生じているもの」とありますが、2か所以上という定義案については、同じく国交省出典の情報であるイラスト②に次のように記載されています。 左側の例のように、異なる住戸のスラブ下の排水管から漏水した場合、2か所としてカウントされます。 また、真ん中の例のように、同じ住戸でも、スラブ下の汚水管と雑排水管のそれぞれで漏水した場合も2か所としてカウントされます。 ただし、右側の例のように、スラブ下の同じ排水管で2か所漏水が発生した場合は、2か所ではなく1カ所での漏水としてカウントされます。イラスト④(出典:国交省の要除却認定実務マニュアル骨子案)
最近、一般社団法人マンション維持管理費削減機構という組織が設立されて、私も理事になっています。ここでは、名前の通り、マンションの維持管理の削減に関する提案を行っており、こちらの削減機構でも要除却認定のご相談を受け付けています。 要除却認定について、更に情報を入手したい方は、お気軽に削減機構や配管保全センターにお問合せください。 削減機構の問い合わせ先はこちらです。