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配管の腐食のメカニズムと「エルセ」による保全メカニズム

2019年7月27日
この記事のカテゴリー : 流動式セラミックス方式

著者:配管保全センター㈱ 代表取締役 藤田崇大

配管の肉厚が薄くなっていくメカニズム

1.酸素が配管の鉄と反応して錆が発生する

通常の水道水では、水の中の酸素と配管の鉄が反応して錆コブを作り出します。錆コブができた部分(赤丸の部分)は水に触れていないために酸素濃度が低い状態です。一方、錆コブの表面(黄色丸部分)は水に触れているので、水中の溶存酸素に触れて、酸素濃度が赤丸部分と比較して高い状態になります。

2.酸素濃淡電池により配管の腐食が進む

酸素濃度が異なると、鉄と錆コブが接触する酸素濃度の低い部分(赤丸部分)から電子が離れようとします(酸素濃淡電池機能)。結果的に赤丸部分の鉄から「鉄イオン」(Fe2+)と「電子」(e-)が次々と発生します。この鉄イオンと電子が発生することが、「腐食」という現象です。腐食は酸素濃度の低い配管の外側に向かって進んでいきます。腐食が進んで鉄管を貫通すると漏水事故に繋がります。

3.配管内では錆コブはさらに生成されて閉塞を作る

また腐食により生成された鉄イオンの濃度が水中で徐々に高くなり、その鉄イオンや電子と、水中の水分子や溶存酸素が酸化反応して、配管内では水酸化第一鉄→水酸化第二鉄(赤水のもと)が生成されます。さらに水酸化第二鉄から酸化反応により、錆コブへと変化し、錆コブが大きく成長して配管を閉塞してしまいます。
なお、腐食が進むにつれ水と触れあっている部分と、腐食の先端部との酸素濃淡の差が大きくなるため、腐食の速度は腐食が進行していくにつれ加速していきます。

抗酸化力の高い水による配管の保全メカニズム

1.抗酸化力の高い水は酸化による劣化をやわらげる

水処理装置「エルセ」を通した水はプラスに帯電した抗酸化力が高い水になります。人間の体と同じように、配管の鉄も酸化により劣化していきますが、抗酸化力が高い水は劣化の度合いをやわらげることが可能になります。

2.酸素濃淡電池の濃淡差が少なくなる

抗酸化力の高い水は、水中の鉄サビに対しても「抗酸化力」と「還元作用」を働かせます。その結果、酸素濃淡電池の濃淡差が少なくなり、錆も徐々に剥離していき、酸素濃淡電池の濃淡差はさらに少なくなります。

3.腐食が抑制され配管の延命に

「エルセ」装置を通した水により錆が分子レベルで徐々に剥離されます。閉塞が改善されることで、配管の酸化による腐食が抑制され配管の延命につながります。

また、「エルセ」装置を設置しない場合は、配管の酸化による赤水化(水中の鉄濃度が高くなる)が進行しますが、「エルセ」装置を設置すると、配管の鉄の酸化を防ぐため、赤水化が抑えられ、水中の鉄濃度も低くなることが期待できます。

※「水」についての研究は未解明な部分も少なくなく、上記はあくまで推論といえます。今後も大学等の研究機関との協力体制を継続していきます。

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